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闇世界の廃校舎(第3回/全3回)

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闇世界の廃校舎(第3回/全3回)

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第9章 暖かな日差し

「今・・・何か聞こえたような気がしたが?」
 解放されナラカへ向かう死者たちの声を聞いたブラッドレイ・チェンバース(ぶらっどれい・ちぇんばーす)が周囲を見回す。
「たしかに聞こえかも・・・。やっと落ち着ける・・・嬉しいような、悲しいような声だった・・・」
 召されていく声が聞こえた歌菜は、目を閉じ呟くように言う。
「―・・・誰!?」
 歌菜は突然突き刺すような視線を感じ、ぱっとドアの方を見ると、フードを被った人物が睨みつけていた。
「どこへ行くんだ、おいっカナ!」
 止めようとするブラッドレイの声を聞かず、家庭科室にいた彼女たちを睨んでいた謎の人物を追いかけていく。
「そこの人、止まりなさい!」
 鋭い口調で言い放つとフードを被った人影はピタッと足を止めた。
「あのいらないヤツと一緒に処分してやる。フフフ・・・」
 ボイスチェンジャーで声を変えているのか、男女とも区別つかない声色で言う。
「いらない・・・いったい誰のことを・・・・・・まさか!」
「フフ・・・」
「あのゴーストたちは・・・あなたが作ったの・・・?」
 歌菜の問いかけに相手はニヤリと笑う。
「一部はそうだね。アイツが作ってないのもいるけど。ほらほら早くいかないと・・・お友達と一緒にゴーストの餌食に・・・」
「う・・・くっ」
 この怪しき人物の口ぶりに仲間が心配になり、逃げていく相手を追うより歌菜は急ぎ幸たちの方へ戻る。
 駆けつけると大量のゴーストたちが家庭科室を襲撃していた。
「数が多すぎます!悔しいですが、ここを離れましょう!」
「幸姐さん・・・はい、分かりました!」
 謎の人物が逃げいて行った方へ振り返ったが、幸の方へ身体を向け校舎の外へ出て行った。

-AM5:20-

「んん・・・っ、ふぅ・・・やっと出られた」
 ベックォンにナラカへ連れて行かれそうになっていたアリアは、校庭の土の中に埋まっていた。
 生徒たちによって成仏した死者が離れ、無事に戻って来れたようだ。
「こんなこと・・・絶対に、止めなきゃ・・・。もうこれ以上・・・犠牲者を出したくない・・・・・・」
 落としたライトブレードを拾いに行き、痛む身体をひきずるようにトンネルの外へ向かう。

-AM6:00-

「(今回のことが、彼女の心の安らぎに繋がりますように)」
 エースはトンネルを出る前に白百合“マドンナ・リリー”を1輪、手向けにそっと投げ落とす。
 一瞬だけ目を閉じて黙祷を捧げた。
「お疲れ様、戻ろうか。俺達の世界へ・・・命の光あふれる、生きたものの世界へ・・・」
「えぇ・・・」
 真紅の薔薇をルカルカに1輪手渡し、彼はにっこり微笑みかける。
「幸姐さん・・・さっき廊下でフードを被った人を見たいんですけど・・・」
「えっ・・・どんなヤツでした!?」
「う・・・うん・・・えっと、声は変えていたみたいだから分からなかったんですけど。なんか・・・すごい嫌な感じだった。あの人を利用するだけして、殺そうとしていたんです」
 両肩に掴みかかる幸に気圧されながらも、歌菜は相手の印象を思い出しながら言う。
「―・・・・・・そう・・・」
 幸は悔しそうに沈んだ表情をする。
「あー・・・やっと朝か。(ここで病院に行かなきゃな・・・て言ったら、今度こそさっちゃんに手術されそうだな)」
 SPが切れたカガチたちもトンネルの外へ向かう。
「あれ、ヘルドさんは?」
 途中で会ったベアトリーチェがトンネルの外へ連れて行こうとしたがすでにその場にいない。
 トンネルの奥の方へ視線を移すと、タバコの白い煙が見え白衣を着た人影が片手を振り、暗い闇の中に姿を消してしまった。
 彼は自ら太陽の光が届かないゴーストタウンで、余生を終わらせようと選んでしまう。
 ゴーストたちが徘徊する世界、たった1人残るというのは死を選んだのも同然だった。
 助けられなかったことに美羽とベアトリーチェは泣き出してしまう。
「あぁー、せっかく実験について教えてもらえると思ったのに」
 不服そうに言うニコはユーノが軽く睨まれ、知ってはいけないという彼の仕草にしょんぼりする。
「ま、謎も残っているけど。それより、学校だよな」
 外へ出たとたん政敏はだらりとする。
「厄介事がまだ残っていますが、一先ず、新しい朝なので、今日も今日とて学校に行きましょうか」
「はいはい。泣かない泣かない。今日も頑張りましょうね」
 カチェアとリーンが慰めるように言う。
 死の匂いに満ちた世界から出た生徒たちは、生きている者が住まう青空の広がる大地に降り注ぐ暖かな太陽の光を浴びた。

担当マスターより

▼担当マスター

按条境一

▼マスターコメント

おはようございます、按条境一です。
廃校舎のゴーストたちは無事、成仏いたしました。
重症の方になってしまった方・・・お大事に。
以外な結末だったと思う方もいるかもしれませんね・・・。
そろそろ病棟のでの犯人も気になるところではないでしょうか。
3回目の病棟に新NPCがでた・・・?と思う人もいるでしょう。
さぁ・・・誰かの本名かもしれませんよ。
廃校舎と病棟、合わせて読み返すと疑わしい人物がいます。

では今回の謎解きの説明をさせていただきます。

「月は星を見る。」
4階の生物室の天井(真ん中)には星の絵柄の石。
3階の美術室の床(真ん中、2箇所のうちどちらか1箇所)には月の石。

「水辺に生える草。」
3階の美術室の床(真ん中、2箇所のうちどちらか1箇所)には緑色の石。

「土と水で青々と草が茂る。」
2階に上って2つ目の教室の天井(真ん中)には水色の石。
2階に上って2つ目の教室(床の真ん中)には土色の石。

「大雨の後、現れる七色の橋。」
3階の美術室の蝋燭たてを外した裏側(美術室に入って右側)には虹の石。

と、いう感じになります。

一部の方に称号をお送りさせていただきました。

死者たちが良く眠れるように蝋燭の明かりを消しておきましょう。
では、他のシナリオでお会いできる日を楽しみにお待ちしておちます。