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【十二の星の華】籠の中での狂歌演舞

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【十二の星の華】籠の中での狂歌演舞
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リアクション

「姫さぁん!!」
 爆破と共に飛び込んできた。瞬時にリアトリス・ウィリアムズ(りあとりす・うぃりあむず)ノーム教諭の前に立ち、両手を広げた。
「教諭っ、下がって!」
「私よりも!」
 教諭は既に駆け出している生徒にも含めて言った。
「女王候補様殿は動けない! 全力で護りたまえ!」
「言われなくたってっ!!」
「行きますわっ!
 朝倉 千歳(あさくら・ちとせ)イルマ・レスト(いるま・れすと)が飛び出して、着地の瞬間を狙ってトライブ・ロックスター(とらいぶ・ろっくすたー)に斬りかかった。しかし綾刀とライトブレードに返ってきたのは斬り応えでは無く、衝突感だった。
「そんなっ!」
「甘いんだよっ!!」
「きゃっ!」
「千歳っ!」
「お主も、じゃっ」
 ベルナデット・アンティーククール(べるなでっと・あんてぃーくくーる)の氷術がイルマを吹き飛ばした。
「くっ、どうして…… !!」
 トライブは氷塊の上に立っていた。地に着地するよりも早くに2人の剣撃を迎する準備をしていたという訳だ。
「トライブ、お主、先に行け。ここは、わらわ一人で十分じゃろう」
「そうか? ……………… よし、任せたぜ!」
「うむ」
「うむ、じゃないわよ!」
 突っ込んでくる千歳ベルナデットは火術を放った。これをイルマのアルティマ・トゥーレが迎し、千歳は宙から綾刀を振り下ろそうと−−−
「きゃっ」
 強い光に視界を奪われた。バニッシュの光の中、星のメイスに殴打されて千歳は飛んだ。
「ふぅ、危ないのう。さては、本気じゃな?」
「当たり前でしょ!」
「トライブがパッフェルを想う気持ちも本気じゃ。じゃからのう、邪魔はさせん!」
 イルマが飛び出した時、百々目鬼 迅(どどめき・じん)の匕首をマッシュ・ザ・ペトリファイアー(まっしゅ・ざぺとりふぁいあー)がさざれ石の短刀で受けていた。の身のこなしにマッシュは受けるのに手一杯だったが、それでもどうにか受けきっていた。
「あれ? あんた、結局ミルザムの味方なわけ?」 
「違う! 俺はセイニィを悲しませたくねぇだけだ!」
「何それ…… ダッサイ」
「何だと! このガキがっ!」
 は左足一本に力を込めて、バーストダッシュで加速した。拳で思い切り殴りつけて、追撃を試みた所でシャノン・マレフィキウム(しゃのん・まれふぃきうむ)のサンダーブラストに動きを止められた。
「へっ、覚えたぜ、この味。次は効かねぇぞ」
「そうか… それなら、これはどうかな!」
 シャノンの背後から7体ものグールが現れた。
「君の相手は、こいつ等にしてもらうとしよう」
「待ってよ! さっきのと俺の疾風突きの、どっちが速いか決めるんだから」
 マッシュも戻って来て…。
 グールが3体同時に飛びかかって来た。
「くそっ、面倒くせぇ」
「2体は引き受けた!」
 声と共に飛び出して来た姫神 司(ひめがみ・つかさ)グレッグ・マーセラス(ぐれっぐ・まーせらす)を追いても飛び出した。
 爆炎波と至近距離からの火術、そしてはグールの頭を殴り落とした。
「加勢しよう」
「何だ? てめぇ等は」
「教諭が手伝ってこいと仰いましたので」
「相手がアンテッドなのが残念だがな」
 用意した水筒を使うよりも火の方が効果ありに思われるから。数は圧倒的に足りてはいないが、それでも背を向けるつもりは毛頭になかった。
「ほらほらぁ、どんどん行くよっ!」
 桐生 円(きりゅう・まどか)の銃撃を、
赤嶺 霜月(あかみね・そうげつ)は柱に隠れ避けていた。
「あれは黒薔薇の銃…。近づけば眠らされる可能性が…」
「すごいねぇ! よく勉強してるじゃないか。でも、ずっと隠れてると」
 背後に視線を感じて−−−
「もう遅いよねぇ」
「霜月っ!」
 メイ・アドネラ(めい・あどねら)オリヴィア・レベンクロン(おりう゛ぃあ・れべんくろん)を狙撃した。
「ちょっとぉ〜 横から割り込むなんて卑怯じゃなぁ〜い?」
「キミが後ろから霜月を狙ったんだろっ!」
「あら〜 そうだったかねぇ」
「じゃあミネルバは正面からっ!!」
 弾むように跳んだミネルバ・ヴァーリイ(みねるば・う゛ぁーりい)が2人に向かったが、方天戟はアイアン・ナイフィード(あいあん・ないふぃーど)の乾坤一擲の剣が受け防いだ。しかし、視線が交わった瞬間、2人は表情に喜びを浮かべてゆき、戦闘を続けた。
 スキルなど使わずに、全力で武器をぶつけ合うような、身のこなしを競うかのような。何とも生き生きとした姿だった。
「ミネルバ、楽しそうだね」
「そうだねぇ、何となく似てない? あの2人」
「なるほど… アイアンも戦いたがりだから、瞬時に相手の素質を感じ取ったって事でしょうか」
「霜月ぃ! 敵の言葉に反応してどうするんだっ! ったく、どいつもこいつも」
 メイが眉を寄せた時、オリヴィアの気の抜けた声が聞こえてきた。
「ね〜ぇ、そろそろ再開したいんだけど〜」
「分かりました〜」
「分かりました〜じゃない! 遊んでるんじゃないんだかんなっ! 分かってんのかっ!」
「分かってますよ。飛び道具で来るなら、氷術で対抗しますか」
 ようやく目つきを鋭くしたのを見て、少しだけ安堵したような、こんな事で安堵して良いのだろうかと不安になったりしていたわけで。
 爆破された壁付近でも戦闘は起きていた。
「よしっ、抜けたっ!」
「行かせないでありますよっ!」
 駆けようとした騎沙良 詩穂(きさら・しほ)クルーエル・ウォルシンガム(くるーえる・うぉるしんがむ)は轟雷閃で斬りつけたが、察知した詩穂はこれを避けた。
「あぁもう! 抜けたと思ったのにぃ!!」
「惜しかったですね」
 笑顔のままにシャーロット・モリアーティ(しゃーろっと・もりあーてぃ)が出迎えた。
「相手の方も、良いコンビネーションをしますね」
「感心してないで! 詩穂はパッフェルちゃんの所に行かなきゃなの!」
「安心してっ、コンビネーションが良いのはこちらも同じだから」
「でもさ、コンビネーションが良い同士だったら、決着つかないんじゃないの?」
 霧雪 六花(きりゆき・りっか)の言葉に呂布 奉先(りょふ・ほうせん)が笑って言ったが、2人はすぐに鋭い目つきで相手を見つめた。
「確かに、どちらもコンビネーションが良い、だと決着がつかないわね」
「でも、俺たちのコンビネーションの方が良いからな、勝負は見えてるぜ」
「2人とも、行きますよ」
 シャーロットの笑みに2人も続いて駆けだした。
「全く、うまく避けるであります」
 詩穂に轟雷閃を避けら、苛立つクルーエルに、アリシア・ミスティフォッグ(ありしあ・みすてぃふぉっぐ)は嬉しそうに耳打ちをした。
「えっ、その策で行くでありますか?」
「もちろん! 絶対うまく行くって!」
 クルーエルは共に策を実行する小鳥遊 律(たかなし・りつ)ネクロノミコン 断章の詠(ねくろのみこん・ふらぐめんと)に伝えたが、反応は大差なかった。
「アリシア様、どう考えても、おかしいです」
「やれやれ、しかし主殿がやると言うのであれば、やるのでしょう?」
「もちろん、やるわ」
 アリシアだけが胸を張る中、シャーロットたちが駆け迫ってきた。
「行くわよっ!」
 六花が爆炎波を打ち合った。共に弾いた死角から、間髪入れずに奉先が忘却の槍での突きを放っていたが、読んでいたかのようにアリシアは笑んで、氷術を放った。
 迎撃用ではなく、この氷術は奉先の進行先に造られ生まれた。突進は止まらずに、この氷塊を突き砕いた−−−
 砕いた氷塊の中から、柏餅が現れた−−−
「今よっ!」
 呆気に取られた相手は動きが止まるはず! そこを一気に叩く−−−
「って、あれっ!」
 シャーロットを含めた4人は柏餅が現れた瞬間に加速した。それもう、初めから遙か先のゴールテープを目指して走っていたかのように、アリシアたちの事など知らなかったかのように。
「ちょっと! 何で行っちゃうのよ!」
「妥当な判断であります」
「ワタシの柏餅……」
「それでは参りましょう」
 を先頭に追い始めた時、詩穂は一直線で演舞場へ向かっていた。共に敵を振り切って駆けていたトライブと並んで、今、パッフェルの姿が見える所まで−−−
 2人が見たパッフェルは、ミルザムの腕の中で、ぐったりと横たわっていた。