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「暗き森のラビリンス」生命を喰い荒らす蔓

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「暗き森のラビリンス」生命を喰い荒らす蔓

リアクション


第5章 守る者・・・奪う者

「―・・・まだ戻って来ないのかっ」
「さっき陽太さん行ったばかりじゃないですか、少しだけ待ちましょう」
 歌菜が苛立つ陣の気を抑えようとする。
「暇ですねー。妖精でもいじめて遊びましょうかシャムシエルさん」
「そうだねぇ」
「いらなくなったら石化していいかなぁ?」
 5階のワープ装置が起動されたのを見て、彼らの後に装置を使いシャムシエルと共に先回りしていたマッシュ・ザ・ペトリファイアー(まっしゅ・ざぺとりふぁいあー)が、アウラネルクを石化させてしまいたいとニヤつく。
 シャノンの命令でシャムシエルに協力しているが、相手を玩具のように傷つける彼女の性格と、どこか気が合うように思い今では友好的に感じている。
「どうする?」
「そうですねぇ、いらなくなったら考えておきます。不用品はさっさと捨てるしかありませんから♪」
「くっ・・・あいつら・・・・・・!もう我慢の限界だ、行くぞリーズ、真奈」
 鞭で叩いて遊ぼうとする張天君たちから、妖精を助けだそうと陣とパートナの2人が室内に駆け込む。
「怒りに任せて突っ込んでくるなんて、ばっかみたいだねぇ〜♪」
 彼の殺気に気づいたマッシュがクスリと笑い振り返る。
 さざれ石の短刀で毒草を刺し増やす。
「どけ、クソガキ共!」
 黒焦げにしてやるとおぞましい気配を放ち、相手を威圧しようとする。
「その程度じゃあ・・・ぜぇーんぜん恐怖を感じないねぇ」
「退いてよぉおっ」
 リーズはマッシュに向かって爆炎波を放ち追い払おうとする。
「それくらいではこの私に傷を負わせることは出来ないぞ」
 シャノン・マレフィキウム(しゃのん・まれふぃきうむ)がブリザードで炎を消してしまう。
「フッ・・・苦しむがいい」
 闇に覆ってやろうとリーズに闇術を放つ。
「撃ちます」
 影の翼で舞うシャノンを、真奈が六連ミサイルポッドで撃墜してやろうとする。
「行けっ、私のアンデッドたち!」
 撃とうとする彼女をレイスに命じて妨害する。
 霊体のアンデッドが真奈の視界を封じるように旋回する。
「くぅっ、外してしまいましたか」
 妨害されミサイルの照準がズレ、ターゲットから外してしまった。
「邪魔者を虫さんたちの餌食にしてやりますっ」
 バーストダッシュで妖精の元へ駆け寄ろうとする陣に向かって、張天君が毒虫の群れを放ち襲わせる。
「燃えろ羽虫っ」
 炎の嵐で毒虫を囲い黒焦げにする。
「まだ魔力を奪い終えていませんので、ここから先は通行止めです。キキャァアアーーッ!!」
 趙天君が叫びの凄まじい音で陣を吹っ飛ばす。
「うっ、耳が・・・なんていう声だ!」
 陣は耳に激痛が走り、両手で押さえる。
「後45分・・・もう諦めたらどうだ?」
 シャノンが彼らを冷たい眼差しで見下ろす。
「せっかくここまで来たんだ、諦めてたまるか。彼女はオレたちの大切な、友達なんだ!絶対に死なせないっ」
「ならば何も出来ない絶望に苦しみ、果てるがいい」
 冷徹に言い放ち陣に転経杖を向ける。
「遙遠もこれ以上は待てませんよ」
「私も我慢の限界です!行きましょう」
 生徒たちの到着を待っている遙遠と歌菜たちが、室内へ突撃しようとした瞬間、アシャンテ・グルームエッジ(あしゃんて・ぐるーむえっじ)が先に飛び込む。
「余計なのが増えてたようだな」
 シャノンはアシャンテを見て顔を顰める。
「はぁ・・・はぁっ皆さんを連れてきました」
 陽太がぜぇぜぇと息をきらせる。
「(魔力タンクはそこかっ)」
 部屋の外から一輝が確認し、張天君が背後に隠している魔力タンクにペイント弾で印をつける。
「怪しい者を発見!蔓さんたち、そこの者たちを捕らえちゃって」
 張天君は蔓に命じ一輝たちを捕らえようとする。
「蔓は私た対処しますわ、今のうちに行ってください」
 捕縛しようと襲いかかる蔓を爆炎波で燃やし、ローザ・セントレス(ろーざ・せんとれす)が仲間たちのために道を切り開く。
「ぬうっ」
 一輝を狙う鞭をユリウス プッロ(ゆりうす・ぷっろ)がタワーシールドでガードして守る。
 盾と地面の隙間からフェザースピアで貫こうと張天君の足を狙う。
「―・・・っ、んきゃぁあああーーっ!!」
 片足を刺された彼女は、ユリウスを叫びで吹っ飛ばす。
「なんという声だ・・・」
 彼女の声にユリウスは顔を顰め、盾を支えに立ち上がる。
「その程度の傷、私の魔法で治してやれる」
 張天君の足の傷をシャノンがあっという間に治してしまう。
「ありがとうございます〜」
「なんだか楽しそうだね、混ざろうかなぁ」
 戦いの様子を見ていたシャムシエルがニッと笑う。
「動くなら撃つ・・・」
 遊び感覚で混ざろうとする彼女に向かって、アシャンテが光条兵器の小銃を撃つ。
「なるべくなら厄介な相手はしたくないんだけどねぇ」
 ラズ・シュバイセン(らず・しゅばいせん)が光学迷彩で姿を隠し、ライトニングブラストをくわせてやろうと、攻撃のチャンスを待つ。
「目的を邪魔するなら、痛めに遭わせることになるけどいいかな?」
 シャムシエルは光条兵器の剣でガードし相手を睨む。
「―・・・・・・こっちは遊び気分で戦うつもりなはない・・・」
 クルード・フォルスマイヤー(くるーど・ふぉるすまいやー)はアシャンテの傍へ行き二刀の初霜を鞘から抜く。
「そう言えばシャムシエル、あなたはティセラたちと一緒に来たってことはエリシュオンから来たことになるわね?」
 魔力タンクを破壊してやろうと部屋に侵入した泡が、シャムシエルに問いかける。
「知りたい?どぉーしよかなぁ♪」
「(言ってもいいけど、私の反応を見て楽しむ気かしら)」
 わざとらしく考えるように言おうとしない彼女に別の質問をする。
「シャムシエル、あなた他の剣の花嫁を操れるみたいだけど、女王になったティセラを操るつもりなのかしら?・・・それとも、既に?」
「女王になりたいティセラのために、色々協力するのは友達として当然のことだよ?友達のために何かしてあげたいからやっているんだよ」
「友達たちのためとはいえ、やっていいことと悪いことがあるわっ」
「ふぅん、・・・で?止められるものなら止めてみたらぁ?」
 クスクスッと小ばかにしたように笑うシャムシエルに苛立ちながらも、泡は十天君の2人に顔を向ける。
「そして十天君・・・オメガを苦しめてた2人も含めて、あなたたちはコンロンから来たんでしょう?違う国の人たちが集まって、ティセラを女王にしようと行動する・・・何を企んでいるのかしらね?」
「あたいたちがそんな遠くから来るわけないじゃないすかぁ〜。それになるべき方が女王に相応しいと思ったからやっているだけですし♪」
 泡の疑問に対して2人は口を揃えて言う。
「何か話していたようだけど、今らならこっちに気づいていないわよね」
 2階で傷を負わされた仕返しをしようと、アリア・セレスティ(ありあ・せれすてぃ)は光学迷彩で姿を隠し、シャムシエルの傍へ忍び寄る。
「さっきのお返しよっ!」
 氷術で彼女の周囲を凍らせて蹴り飛ばす。
「(本命はこっちだけど)」
 それと同時に懐から忍の短刀を取り出して投げつける。
「残念だったな小娘」
 シャムシエルを守ろうとシャノンが氷の破片をブリザードで吹き飛ばしてしまう。
「かかったわね」
「何・・・?私の位置では・・・。マッシュ、シャムシエルを守れ」
 アリアの策に気づき、短刀からシャムシエルを守るように言う。
「甘いね」
 シャムシエルに刃が届く寸前、マッシュにさざれ石の短刀で弾かれる。
 弾かれた短刀が地面へ落ちる。
「覚悟は出来ているよねぇ?」
 襲撃に失敗し存在位置がばれたアリアが、灰色の毒草に囲まれた姿を見てニヤリと笑う。
「いやっ、あぁああ!」
 アリアは手足を毒草に噛まれ石化されていく。
「誰かと思ったらデータにある方ですね、孤島で散々ゴースト兵にいたぶられた子です」
 カルテのような資料を見て趙天君が確認する。
「へぇ〜そうなんだぁ?散々ぶっ叩かれて、今度は石にされちゃうんだねぇ」
 マッシュに肩を刺され、アリアの身体が徐々に石化していく。
「ぁあっ・・・身動きが・・・・・・」
 彼女は言葉すら発することが出来なくなってしまう。
「(この隙に魔力タンクを破壊してしまおう)」
 彼がアリアで遊んでいる隙に破壊してしまおうと一輝が魔力タンクへ近寄る。
「そこ!何をしようとしているんだよ」
 シャムシエルに気づかれ光条兵器を向けられる。
「うわっ、何!?ボクの邪魔しないでよっ」
 望に弾幕援護で目晦ましされ、ぎゃあぎゃあと文句を言う。
「いえ、とても楽しそうでしたので・・・・・・邪魔したら、楽しいだろうなぁ、と」
 アサルトカービンを構えたまま、望がクスリと笑う。
 襲いかかるシャムシエルの刃を、ノート・シュヴェルトライテ(のーと・しゅう゛るとらいて)がタワーシールドでガードしようとする。
「だから、望?主であるわたくしの盾になるのが普通ではありませんの?」
「下手に突っ込まれても、皆様の邪魔にしかなりませんし、光条兵器を相手に接近戦して勝てる見込みあるんですか?」
「むぐぐぐ」
 盾を構えたままノートが不服そうに眉を吊り上げてムスッとする。
「生意気な子の足を毒草に噛ませちゃって」
 動きを止めてから遊んでやろうとシャムシエルが趙天君に命令する。
「はぁ〜い♪おいでませぇ毒草さん〜」
 黄色の毒草を呼び集め、望とノートを襲わせる。
「やらせないよっ」
 部屋の外からレキが機関銃で毒草を撃つ。
「まだあんなにいるようじゃのう」
「凍らせて砕いてしまいますか」
 ミアと望はうじゃうじゃと集まった化け物どもを葬ろうと氷術で凍てつかせる。
 氷が気化するまえに葬ろうと、レキが機関銃の銃弾で粉砕する。
「さぁどう対処するんですか、もう降参したほうが身のためですよ?」
 望はシャムシエルに銃口を向けてにっこり笑う。



「ここにあいつらがいるのね」
 美羽は室内に入り魔力タンクの破壊を邪魔している十天君に向かってブライトマシンガンを撃つ。
「早く魔力タンクの破壊を!」
 ベアトリーチェ・アイブリンガー(べあとりーちぇ・あいぶりんがー)が張天君に向かって光術を放ち、一輝をそのターゲットの傍へ行かせる。
 ハンドガンはシャープシューターで狙いを目印に狙いを定め、魔力タンクに傷をつける。
「6発程度じゃ無理か」
 舌打ちをして銃弾を補充する。
「あぁっ、何しているのさ!」
 銃声を聞いたシャムシエルが一輝の方へ走る。
「君の相手はこっちだよ」
 リアトリスがブライトシャムシールを手に立ちはだかる。
「むっ、また邪魔者が出てきたよ」
「相手が1人だけじゃ楽しくないでしょ?私も相手してあげるわ、私のパートナーを玩具ように扱ったことを後悔させてあげる」
 リカイン・フェルマータ(りかいん・ふぇるまーた)はシャムシエルを睨む。
 洗脳されないように彼女から離れないよう、アストライト・グロリアフル(あすとらいと・ぐろりあふる)が待機する。
「んーっじゃまぁあ!」
 アルティマ・トゥーレの冷気で葬ってやろうと刃を振るう。
「これでもくらいなさいっ」
 パルマローザ・ローレンス(ぱるまろーざ・ろーれんす)は砂利を掴み、ドラゴンアーツのパワーで思いっきり投げつける。
「後ろから誰か狙っているぞ」
「え?わわ!危ないなぁっ」
 シャノンの声に気づきシャムシエルは地面へ転び砂利を避ける。
「はぁああっ!」
 起き上がる前に倒してしまおうと、リアトリスは得物を持つ手を狙う。
「ふっふ〜それくらい軽いよ」
 迫り来る刃を片手で受け止め、ゆっくりと立ち上がり投げ飛ばす。
「―・・・くっ、大丈夫ですか?」
 投げ飛ばされたリアトリスをパルマローザがキャッチする。
「うん、平気だよ。やっぱり手強いね」
「正攻法じゃ上手くいかないわ」
「へ・・・?」
「くらいなさいっ」
 リカインはアストライトの片腕を掴み、ドラゴンアーツのパワーを込めてシャムシエルにぶん投げる。
「おわぁああっ、玩具扱いしているのはどっちだぁああ!」
 投げ飛ばされた彼は絶叫する。
「こっち来ないで!」
 半身ずらしで避けられてしまい、地面へ顔面から着地する。
「ぶほっ」
 墜落の衝撃によってアストライトは気絶してしまう。
「どこを見ているのかな」
 リアトリスは腰の高さに剣を構え、シャムシエルに斬りかかる。
「(また避けられたか・・・)」
 隙を狙うものの避けられてしまい、リアトリスの表情がだんだんと険しくなっていく。
「だったらまとめて玩具にいてやるんだから」
 顔をムッとさせシャムシエルが反撃する。
 フラメンコを踊りながらリアトリスが、腕を狙い破邪の刃を放つ。
「避けちゃうもんね」
 シャムシエルはべーっと舌をだしからかう。
「どこまで持つかな?」
「うっ・・・」
 彼女の刃を避けず身体を掠められてしまい、くらってしまった箇所からじわっと血が滲み出る。
「(倒すのは無理なのかな、それなら・・・)」
 エルの方へ視線を移し、自分たちに気を取られているうちに、妖精を助けるように目配せする。
 彼は小さく頷き、仲間と共に妖精の方へ走っていく。
「んもうっキミたちなんか冷気で凍りついちゃえ!」
 なかなか倒れないリアトリスたちに苛立ち、シャムシエルがアルティマ・トゥーレの冷気の刃を乱発させる。
「このっ大人しくしろ」
 気絶していたアストライトが目を覚ましシャムシエルにしがみつく。
「だったら洗脳しちゃうもんね」
 洗脳して自分から離そうと彼女はアストライトの目をじっと見る。
「沈めぇえ!」
 ドラゴンアーツの力でぶっ飛ばそうとする。
「危ないなぁ、何するんだよ」
 遠当てのような衝撃をかわしリカインを睨みつけた。
「あぁーっそっちいっちゃいけないんだよ」
 妖精を助けようとするエルたちの存在に気づいた彼女が叫ぶ。
「彼らの方へは行かせませんよ」
 仲間に襲いかかろうとするシャムシエルを止めようと、パルマローザがドラゴンアーツの力で思い切り砂利を投げつける。
「うぁっ、邪魔やだぁあ」
「(避けましたか・・・。ですがこのまま行かせないように阻止してやります!)」
 エルたちの方へ向かわせないように砂利を投げ続ける。



「シャムシエル・・・っ、援護しようにも近すぎる」
 シャノンは彼女を助けようとするが、仕掛けてきたリアトリスたちと距離が近すぎてなかなか手が出せない。
「毒草の群れを向かわせちゃいますかぁ」
 趙天君が毒草に援護させようと呼び集める。
「あの生意気な小娘さんたちを退治しちゃってくださぁい」
 黄色の毒草をリアトリスたちの方へ向かわせる。
「アウラネルクを助けようとしている者たちもいるぞ」
「あうっ、では紫色の毒草さんにでも始末させますか。おいでませぇ〜、金ピカ小僧どもをお寝んねさせてあげてくださぁい」
 張天君は呼び寄せたクリーチャーを、エルたちの方へ向かわせる。
「しまった気づかれたか」
「ここは詩穂にお任せして、アウラネルク様を救出に向かってください☆」
 詩穂が毒草を忘却の槍で突き殺し、彼らを妖精の元へ行かせる。
「あなたが張天君様ですか?」
「そうですよぉ」
「あっ!詩穂も鞭欲しいなぁ・・・。いい得物をお持ちですね、ご主人様☆」
 彼女が手に持っている鞭を見て欲しそうな顔をする。
「逆らうならあなたも叩きますよ」
「何言っているんですか、詩穂は逆らう気満々ですよ。だからここへ来たんです」
「でも〜魔力を奪い終わるまで、残り時間20分を切りましたよ」
「おやおやそれは早くしないと大変ですね。それを聞いて安心して戦えます。この酷い光景を見て張天君様たちを始末しちゃいたいなぁ、と思っていましたけど。今のお言葉でその気持ちでいっぱいになりました♪」
 十天君に向かって微笑みかけるが、明らかに殺意が滲み出ている。
「あらあら1人であたいたち4人を相手にしようっていうのですかぁ?そういえば他にもいらっしゃいましたねぇっ」
 クルードの抜刀術を毒虫の群れでガードする。
「―・・・・・・さすがに一撃とまではいかないようだな・・・」
「へぇー、ビーストマスターなんだ。じゃぁ、こういうのは興味あるかな?」
 詩穂は張天君が毒虫の群れを呼んだのを見て、琥珀の盾に封じられている小さな虫をけしかける。
「フフフッ虫さんなんて見慣れているから平気です」
 虫を張天君が鞭で叩き潰す。
「どう?面白いでしょー。盾なのに攻撃できるんだよ(驚くと思ったんですけど、驚きませんでしたね)」
「面白いですねぇ、あたいにくれるんですかぁ?」
「―・・・どうしましょうかねぇ」
 せっかく考えてきたアイデアが失敗してしまい、詩穂は次なる策を考える。
「よせ・・・手を汚すのは俺だけで十分だ・・・・・・」
 敵に聞こえないようクルードが小声で詩穂に言う。
「お人で片付けるつもりですか?その考えには賛同しかねます」
「自らの手を汚して・・・・・・いいことはなにもないぞ・・・」
「申し訳ありませんが賛同出来ません」
「―・・・・・・なぜだ、俺にとっては・・・パートナーに害なす者を葬る理由がある・・・・・・」
「どエスをそれを超えるどエス的に始末したい気持ちもありますが。アウラネルク様を傷つけたり今度も皆様を困らせることがありそうな方々を、生かしておけるほどの広い心は残念ながらございません」
 メガネをかけ直しクルードを見据える。
「そこまで言うなら好きにしろ・・・・・・」
「えぇ勝手させていただきます☆」
「なにやらこそこそお話中のようですが、そろそろ片付けさせていただきます」
「あぁ・・・・・・待たせたようだな・・・」
 張天君の声を聞き、クルードたちは方へ顔を向ける。
「妹ちゃんは金ピカ小僧と焔のボウヤたちのお片づけをお願いします」
「分かったですぅ」
「ここは通させない・・・」
「私たちがいることを忘れるな」
 趙天君を行かせないように立ち塞がるアシャンテに、シャノンがファイアストームを放ち阻止してしまう。
「3対4だけど問題ないねぇ」
 近くに光学迷彩でラズを隠れていることを、殺気看破でマッシュが気配を感知し見破る。
「分かっちゃったか。じゃあもう躊躇している場合じゃないねっ」
 ライトニングブラストの電撃でシャノンを落とそうする。
「それくらいの技は術で緩和出来るから避けるまでもないがな」
 ディテクトエビルで大よその位置を察知してふわりと飛び避ける。
「くぅ〜なんか悔しいっ!」
 シャノンを見上げ、ラズは悔しそうな顔をした。
「あっははは、残念賞として石化のサービスをしてあげるよ」
「ラズ!」
 アシャンテが駆けつける前に、さざれ石の短刀に刺され石化してしまう。
「おっさんに酷いことするなよ・・・うぐっ・・・」
「よくもラズを・・・」
 憎々しげにアシャンテがマッシュを睨みつける。
「ちょっとシャムシエルの方にいってこようかな。何人か生徒たちがいたようだし」
 ヘラヘラを笑いマッシュはシャノンと共にシャムシエルの方へ行く。
「待てぇえっ」
「あら、あたいと戦いたかったんじゃないんですかぁ?」
 張天君が鞭でアシャンテの足元を叩きつける。
「いきますよ毒虫さんたちカモォンですぅ〜」
「―・・・くっ」
 毒虫の群れを小銃で撃ち落とす。
「(動きを封じてやる・・・)」
 巾着からしびれ粉を取り出し、動きを止めようと張天君に向かって撒く。
「うぁんいやです〜、毒草さんあたいを守ってぇ〜」
 黄色の毒草が張天君の盾となり増殖する。
「くぅっ・・・」
 ブライトシャムシールで数体を倒すものの増えすぎてしまい対処しきれない。
「アシャンテ・・・・・・ここでそういうものは敵を増やすだけだ・・・」
 毒草に襲われそうなる相棒を守ろうとクルードは刀を土に突き刺し、土砂を巻き上げて毒草の群れを潰す。
「すまない・・・まさか毒草を盾代わりにしてくるとは思わなかった・・・」
 クルードに言われ、しびれ粉を入れた巾着の紐を縛る。
「むぅ〜生意気ですぅ。毒草さんはぐはぐ食べちゃってあげてくださぁい!」
「そればかり相手してやるわけにはいかないからな・・・・・・。そろそろ・・・決着をつけさせてもらう・・・・・・」
 片方の初霜の柄を咥えて張天君の方へ走る。
「お仕置きしてあげます!」
 張天君が鞭を振るう。
 バシィイイッ。
 鞘で鞭を受け止め、攻撃を止めたと思っている余裕な表情の張天君を一睨みし、それを持っている片腕をぐいっと持ち上げて左肩を斬りつける。
「フフッ☆」
 詩穂は煙幕ファンデーションで姿を隠し、張天君の死角へ回り槍の刃で首元を突く。
「調子に乗らないでくださいガキども・・・!」
 凄まじい形相で詩穂たちを睨み、毒虫の群れに襲わせる。
「あっ、逃げるんですか。待ってくださぁい張天君様☆」
 今度は虫を盾代わりにマッシュたちの方へ逃げていく張天君の後を追う。