校長室
「封神計画」邪なる魂たち
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第9章 魂魄封神 -AM10:00- 「完成する前に来るなんて気が早いですね☆」 騎沙良 詩穂(きさら・しほ)は姚天君たちの姿を見てニッコリと微笑む。 「材料を持ってきました!」 残りの材料を持ってきた幸がエリシアに渡す。 「ありがとうございます、これさえあればもうすぐ完成できますわ」 ゴーレムの手の平に乗せて、建築現場の方へ置く。 「邪魔な堀ね。あんたたち橋になりなさい。他のやつらはその橋を踏み台にして進むのよ」 足を掴んで橋になれとゴースト兵へ命じ堀を越えさせ、直接封神台を壊させようとする 「かかったわね」 ローザマリアは菊に視線を移す。 「例の仕掛けは・・・」 「大丈夫、ちゃんと作動するはずだよ」 ノートパソコンの画面を見て、メタモーフィックはクスッと口元を笑わせる。 「うぁああーっ」 「何だ、どういうことだ!?」 柵を飛び越えようとした兵の身体が突然断裂し、堀の外にいる兵たちが唖然とする。 「ワイヤートラップ成功ね」 無事に作動したのを見て、ローザマリアはニヤリと笑う。 「見ないほうがいいです」 幸は断裂し死体に戻った者たちをケレスに見せないようにする。 「そじゃあこっちからいきなさいっ」 「いいのかその場所へ行かせて」 コウは死角から土壁の裏に置いた木屑の入った麻袋に向かって火術を放ち、飛び越えようとする兵を阻止する。 「ホームゲームだと思ったら大間違いよ。アウェーゲームで好き勝手、出来るわけないでしょ」 「―・・・っ。また私の邪魔をするのね」 「もうすぐティセラさんは、ホイップさんの玄武甲で洗脳を解かれます。そしたら、あなたたちがティセラさんを女王にするという計画もおしまいです!」 「はぁ?何を言っているの。まるでティセラ様が女王になれない口ぶりじゃないの。ゆえに・・・あの女が邪魔なのはかわりないわ」 ベアトリーチェ・アイブリンガー(べあとりーちぇ・あいぶりんがー)の言葉に、女王にするための意思は変わらないと姚天君が言い返す。 「ミルザム何某が例え今は人形扱いと見られても、その内自我は目覚める。ティセラ何某よりも劣っていると断ずるのは、聊か早計に過ぎるというものだ」 「そのうち? そんないつかわからない不確定のものを待つわけにはいかないわ。それまで待つ気はないわよ」 フンッと笑いあくまでも認めるものかという態度をとる。 「あららぁまた作りなさなきゃ」 死体を見下ろして軽々しく言う姚天君にケレスがムッとする。 「魂たちを逝くべき場所へ連れて行かせていただきますわ」 ケレスは袖からカンテラを取り出し、死体に戻った兵たちの身体から魂を回収する。 「これでもう・・・ゴースト兵としては利用出来ません」 「―・・・そう。だったら兵器の実験に使うわ。死んだ者ならどう扱ってもいいでしょ?」 「酷い・・・その言葉は・・・死者を冒涜する言葉です。取り消してください・・・」 「地球人たちだって、医学の進歩とやらでラットを実験に使ったりしているでしょう。それと同じことよ。対象がなんであれ勝手に実験に使っていいものと、そうでないものを決めないでちょうだい」 「ラット・・・ですか。(たしかに命には変わりないですし・・・)」 幸は勝手に実験動物扱いをし、小さな生き物を粗末に扱っていいものか考え込んでしまう。 「一番残酷なのは地球人でしょ?自分が優位な立場になるために平気で人を陥れてるやつもいるじゃない。心無い言葉でね。そうされたやつはどうなるかしら?死なせても平気なやついるわよね。それと実験で命を奪うことと一緒だと思うんだけど。結果的に命を奪うことになるんだから、その行為を勝手にいいとか悪いとか決めつけるのはおかしいんじゃない?」 「何がいいたいの・・・」 ずっと黙って聞いていた美羽がようやく口を開く。 「つまり私を殺すということは、そいつらはどうなの?見つけたら殺すわけ、って言ってるの」 「たしかに・・・そんな過ちのない人なんてほとんどいないわ。でも・・・反省して2度とやらないと誓うなら、1度くらいはチャンスはあってもいいともうの」 「じゃあ私にもそのチェンスをくれるかしら?」 「それは無理、だってあなたはいろんな人たちを傷つけすぎたもの」 「だったら仕方ないわね。ここで絶望につきおとしてあげる♪」 落魂陣を発動させ美羽たちを取り込む。 「残った僕たちはゴースト兵の相手かな?」 綺人は妖刀を鞘から抜き、向かってくるゴースト兵の得物を持つ手を斬り落す。 「さすがに私たちまで行くわけにはいかないわね」 ローザマリアたちも封神台に近づきさせないように防衛する。 「ほとんど落魂陣の中へ行ってしまったか」 「材料があったところにも何人かいるけど・・・。7人だろうと十分でしょう?私たちならやれるわ」 グロリアーナに勝機を信じないものにはやってこないと言う。 「たしかに信じない者には、そのようなものを手にすることはできないのであろうからな」 堀を越えられない兵を倒そうと、北都が彼らの手首にナラカの蜘蛛糸をまきつかせて引っ張る。 「(これくらい離れていれば気づかれないよな)」 ゴースト兵は木の陰からスコープで北都の位置を確認して狙う。 「誰を狙っているんですか?」 表情は崩さないものの大切なパートナーを狙われたクナイの心には怒りの感情が満ちている。 「こそこそと不愉快ですねっ」 潜んでいる兵のライフルを破壊し両腕を叩き斬る。 「引きこまれた者たちが戻ってくる間、なんとしてでも守りきらねばな」 菊のサンダーブラストで怯んだ隙に、グロリアーナが遠当ての剣風を飛ばす。 「まだ動けるのね。利用されないように倒してあげるわ」 堀を越えようとする兵の首元をローザマリアが狙う。 「当たったみたいね。他の人たちは大丈夫かしら?」 双眼鏡を覗き戦況を見る。 「今のところ大丈夫みたいだけど、数で押されて不利にならないようにしないといけないわね」 「わっ、く・・・」 クリスを庇い血煙爪を避けきれず、片足に傷を負ってしまう。 「アヤ!よくもアヤを、許しませんっ」 大切な人を傷つけられたことに怒りクリスが反撃する。 「後・・・何体いるんでしょうか」 「でもここで諦めたら、せっかくここまでやってきたのに全部無駄になっちゃうよ。うっ・・・」 「傷を負わされたんですね、私が治してあげます」 足に傷を負った綺人を見つけたクナイがヒールで癒してやる。 「治ったみたい、ありがとう」 「もうそろそろ完成するみたいだし頑張らないと。僕とクリスは森へ行こう。遠くから狙ってくる場合もあるからね・・・」 森に兵が潜んでいないか探す。 -AM11:00- 「(ここが落魂陣ですか、かなり薄暗いところですね)」 緋桜 遙遠(ひざくら・ようえん)は睨むように目を凝らし姚天君を探す。 「墓石か・・・この辺りのどこかに隠れてそうだな」 周囲を見回しコウは姚天君がどこに潜んでるのか警戒する。 「生徒から聞いた情報だが、悪霊がSPを吸い取ってくるらしい」 土壁の傍で美羽に聞いたことを他の協力者にも伝える。 「吸い取るんですか、とってもウザそうですね☆」 軽く口調で言うものの、詩穂は殺気看破でどこから狙ってくるか分からない相手の殺気を察知しようと集中する。 「詩穂は姚天君お嬢様を襲撃させていただきますので少し離れますね」 ベルフラマントを羽織り姚天君を探し始める。 「ではわたくしも失礼いたしますわ」 セルフィーナ・クロスフィールド(せるふぃーな・くろすふぃーるど)は詩穂と共に探そうと立ち去る。 「何だこの気配・・・生き物とも違うようだ」 左之助は殺気看破で嫌な気配を察知する。 「もしかして悪霊か?」 傍にいる真が小声で言う。 「俺たちと姚天君以外にもいるならそうだろうな」 「(どこだ・・・?まさかこんなところで憑かれたりしないよな)」 「遙遠からなるべく離れないでくださいね、超感覚だけじゃ探知できないでしょうから」 ディテクトエビルを発動させる。 「姉様たちは?」 「そういえばカガチも見当たらないな・・・」 「この空間ですからちょっと分かりづらいですね。襲撃する気です、気をつけてください」 悪霊は人魂のような姿になり、遙遠たちのSPを吸い取ってやろうと襲いかかる。 「すばしっこいですね。誰か光術かバニッシュを使えませんか?」 生徒たちの方へ顔を向けて聞いてみるが、その術を使える者はいなかった。 「(不安ですね・・・他の人は大丈夫でしょうか)」 仲間たちが悪霊に襲われていないか心配する。 一方、幸たちの方も姚天君を探しているところだった。 「どこかに隠れているはずですが。その墓石の傍に1匹います、フィック・・・気をつけなさい」 「悪霊・・・ママに近づかないで!」 トライポッド・ウォーカーに乗ったメタモーフィックが光術で追い払う。 「椎名くんとは逸れちゃったか」 カガチは珍しくいつも一緒の真と逸れてしまっている。 「あれは・・・・・・姚天君!」 憎き仇を見つけた美羽がブライトマシンガンを撃ち鳴らす。 「さぁさぁさぁ〜私たちと踊りましょう!」 二丁の奪魂のカーマインを手に、幸はニヤリと笑い姚天君に向かって撃つ。 「当たらないわねー」 ディテクトエビルで察知し、墓石の後ろへ隠れながら走っていく。 「あ〜ら、モルモットもいるの?」 「ようハニービッチ待ち切れなくて来ちゃったのー。孤島での腕の借りを返してあげにきたんだよ」 「そんなもの返さなくてもいいわ。プレゼントとして受け取っておきなさい。んー今度も同じ場所を狙おうかしらねクスッ」 「2度も好き勝手出来ると思ってると、痛い目みるかもよ?」 「じゃあ・・・あなたのお友達を目の前でいたぶるとかどうかしら。いっそのこと盾にしてやってもいいかもね」 「し・・・椎名くんをどうするだって?ふざけるな出て来いっ!」 「いやぁーね、そう言われて出来るやつなんていないじゃないの。あっははは」 「まずいですね、人質にとられてしまうかもしれません。早く探しましょう」 幸たちは姚天君より先に見つけようと真を探す。 その彼らは悪霊に囲まれ奮闘している。 「姚天君か・・・例の容器を持っているかもしれない気をつけろ」 熊谷 直実(くまがや・なおざね)は現れた姚天君が手に持っている容器を指差し、仲間たちに注意するように言う。 「モルモットのお友達見っけ」 彼の言葉を気にもせず、墓石の上に立ち真を見下ろしてクスリと笑い、弓矢の弦を引き数本の矢を放つ。 「大人しく捕まりなさい」 「・・・お前さんには、真が色々世話になっているみたいだな。この上まだ何か世話してくれるというのか?」 忘却の槍を構え、パートナーを狙う矢を左之助が叩き落す。 「ちょっと盾代わりにしようと思ってね。そうすれば皆、私に攻撃出来ないものね?余計なのは悪霊にSPを吸われて倒れてちょうだい」 「真さんまであなたの卑劣な手段に利用させるわけにはいきませんっ」 遙遠は地獄の天使の翼で飛び、真の服を掴んで姚天君から離そうとする。 「だったら落としてあげるわ、行きなさい悪霊たち♪」 悪霊に命令して遙遠のSPを吸い取らせようとする。 「隙が出来たな」 滑らせてやろうと墓石の陰に隠れているコウが氷術で土を凍らせる。 「何っ!?」 「どりゃぁああ、気合の一撃ーっ!」 左之助は凍った土に足を滑らせ、体勢を崩した彼女の背後を狙い、黒色の双眸をギラつかせる。 ヒロイックアサルトのパワーを込めた、ランスバレストの一撃でくらわす。 「私の足をよくもっ!」 「ぐぁああーっ!」 火術をファイアプロテクトで防ごうとするが耐え切れず、左之助の体力は尽きてしまう。 「見つかったか・・・だが、手傷を負わすことが出来た。これで満足に動けないだろう・・・」 怒り狂う姚天君が放った悪霊に囲まれたコウは、じっと彼女を見据える。 足首と肩に傷を負わすことが出来た2人は満足そうに笑う。 「何その顔、気に入らない・・・気に入らないわ!」 短剣の刃をコウに突きたてようとする。 「なーんだ、短剣もあったんだ。詩穂、てっきり近距離戦に持ち込めば勝てると思いましたけど」 幻槍モノケロスを手にバーストダッシュのスピードで、墓石に隠れながら間合いを詰める。 「気配ばればれよ?」 ディテクトエビルでセルフィーナの気配を察知する。 「(ばれてしまったようですわ、でもこの速度なら!)」 バーストダッシュの速度を利用して飛び、ランスバレストの一撃をくりだそうとする彼女に見上げる。 「自ら燃やされにくるようなものね」 彼女たちに向かってファイアストームを放ち避ける。 「―・・・まさか避けられてしまうなんて」 セルフィーナはファイアプロテクトでガードしようとしたが炎を防ぎきれなかった。 「危なかったです☆」 詩穂の方はなんとか避けることが出来た。 「そっちから出てくるなんてバカね」 詩穂の方へ振り返り矢を放つ。 「フフフッそれだけじゃ止まりませんよ」 両手で槍をクルクルと振り回し、迫り来る矢をガードする。 パシッと柄を握りターゲットの肩を狙う。 「椎名真ちゃんのお友達が傷つけられたところってどこでしたっけ?ここですか姚天君お嬢様〜」 刃を刺したまま詩穂は柄をぐりっひねる。 「小娘・・・よくも私の肌に・・・丸焼けにしてやるっ」 詩穂をギロリと睨みファイアストームを放つ。 「―・・・ぁあっ!」 避けるのが遅れてしまい、ゴロゴロと土の上へ転び火を消す。 「生焼けにしてパラミタ内海に放り込んでやろうかしら。塩水がその傷にしみ込んで痛いでしょうね?」 姚天君は刺さった槍をズブリと抜き投げ捨てる。 「お仕置きですか、酷いですねこの仕打ち・・・」 「張天君たちがあの妖精の魔力を持って、そろそろここへ来るはずだし。もう終わらせるわ」 「―・・・魔力?もしかしてあの魔力タンクのことでしょうか」 「そうよ、あなた幻草陣の中へ行ったの?」」 問い返され詩穂は口元をニッと笑わせる。 「あぁ〜あれは、姚天君お嬢様がよくご存知に方々が壊しちゃいました」 「何ですって・・・?嘘よそんなの」 その言葉を信じられない彼女は訝しげに詩穂を睨む。 「嘘かどうかよぉくご存知の方にお聞きになったらいかがですか〜?あぁーそうそう、張天君様の方は詩穂たちが適度に遊んであげました。あれから数日経ってますけど、もし回復しきってないとしたらどうなるでしょうね」 「そんなのでたらめよっ」 「封神台が完成したらどうなってしまうのでしょう〜?」 詩穂はわざとらしく相手を苛立たせる言葉攻めをする。 「たしか永遠の地獄とやらに葬られてしまうんですよね?」 言葉で引きつけながら、隙を窺っている幸たちの方へ視線を当てる。 「それがいいことがどうか肯定するつもりはありませんよ☆そんなことを肯定してしまったら、姚天君お嬢様たちと同じ精神の持ち主になってしまいますし。そんなのまっぴらです☆」 「ふぅん・・・で?」 「ですけど・・・姚天君お嬢様は生かしておくと大変危険だと思いまして。数々のイケナイ行いを反省していただきたく思って、このような手段を取らさせていただいたんです☆」 「姚天君、貴方をここで葬ります」 幸の声に姚天君が気をとられた瞬間、詩穂はその場から離れる。 「やっと来ましたね」 遙遠は真を地面へ降ろす。 「またお前かメガネ女・・・よくも今まで邪魔しまくったわね」 姚天君が憎々しげに幸を睨みつける。 「あれがママたちをいじめるイヤなヤツだね!」 メタモーフィックは光術を放ち、幸たちに悪霊を寄せ付けないようにする。 「墓石の陰に逃げたよっ」 「逃がすものですか!(察知しようにもこう視界が悪く、隠れられてしまう場所が多いと厄介ですね)」 奪魂のカーマインで撃とうとするが、なかなか当たらない。 「こっちの気配をディテクトエビルで察知しているようね」 美羽は走り回る相手の足元を狙いブライトマシンガンを撃つ。 「そうみたいですね」 ベアトリーチェもライトニングブラストで狙うが当たらない。 「小娘ども孤島でのことを懲りてないようね」 悪霊にSPを吸い取らせようと美羽たちに放つ。 「その魂・・・ナラカへ連れて行きます」 カンテラの中にケレスが悪霊の魂を吸い込む。 「隠れる場所も減らしておきまひょか?」 ルフナは長剣の刃を墓石に叩きつけ片っ端から破壊する。 「えぇ加減観念しなはれ」 「誰がするものですかっ。―・・・メガネ女!?離しなさいよっ」 「多くの悲しみをつくった貴方が、この場から逃げられると思っているのですか?離しません、えぇ離しませんともくふふっ」 「だったらこうしてやるわっ」 しがみつく幸の腕を短剣で突き刺す。 「いいえ離しません。貴方は絶対に逃がサない、私がどんなに傷つこうとも・・・フフフッ♪」 「俺の名は東條カガチ・・・名を持たぬモノのみを貫けぇっ!」 とり憑こうとする悪霊どもに支配されないよう、なぎこの驚きの歌を聞き光条兵器で悪霊を斬り裂く。 「ようハニービッチ、やっと捕まえたよ」 カガチが片側からしがみつき、姚天君が動けないように捕まえる。 「悪霊どもこいつらのSPを吸い尽くせーっ!!」 「―・・・っ」 幸たちに向かってくる悪霊を遙遠が盾となって防ぐ。 失われていく彼のSPを回復させようと真が驚きの歌を歌う。 「さぁっ今のうちにやってください」 「分かったわ・・・」 姚天君を捕まえているうちにと言う幸に頷く。 「―・・・・・・っ」 美羽のブライトマシンガンとベアトリーチェのライトニングブラストをくらい必死に耐える。 「あんたが行く地獄のような場所は、これ以上のものなんだろね」 痛みに耐えながらカガチが姚天君に言う。 「しでかしたことはいつか全部己の身に返ってくるものなんですよ。今がその時です、覚悟なさいっ」 「いやよ、そんなところへ行くものですか!離せ、離せぇえ!」 「おや怖いですか?自分がやったことが全部ふりかかってくることが。他者がいやがるこを平気でやって、今更逃げようというのですか」 「フンッだからぁ?」 「少しはしおらしくなると思いましたが始末に終えませんね、あなたというやつは!」 姚天君が持つ短剣の手首を握り、首元へ突き刺す。 「―・・・うぅっだったらそいつを」 「邪魔なお化けさんは、なぎさんが消します!」 なぎこはSPタブレットを食べてバニッシュを放ち悪霊を消す。 「これを撒いてやるわっ」 試作品が入っている容器を姚天君が地面に投げつけようとする。 「あれは・・・!」 直実は奈落の鉄鎖で落下速度を落とそうとする。 「それじゃ無理だ!これが例の試作品か、野望もここまでだな」 コウは地面につっぷしたまま、火術で容器を全て灰にする。 「うっ・・・だったら燃えてしまいなさいよっ」 ファイアストームの炎を姚天君は自分を取り囲むように発動させる。 「ぐああぁああっ」 「椎名さん1つお願いしてもいいですか?椎名さんの声ならきっと、黄泉比良坂下りかけたとて戻ってくるでしょう」 「分かったよ」 エヴァからなぎこのSPタブレットを受け取って食べて驚きの歌を歌う。 「ほんとうるせぇな・・・」 意識が飛びかけた瞬間、彼の声を聞いたカガチがニッと笑う。 「あなたが弄んだ命の重さと、ヘルドさんの無念・・・・・・今度こそ思い知りなさい!」 憎き敵に美羽がブライトマシンガンの弾丸を浴びせる。 「う・・・っくぁあっ」 深手を負わされた姚天君は落魂陣を維持できなくなってしまい解けてしまった。 「もうその状態じゃ無理そうね?それとゴースト兵は全部倒してあげたわ。さぁどうするの」 ローザマリアがもう負けを認めろというなことを姚天君に言う。 「おかえりーっ、出来てるよ」 レキたちが美羽たちに声をかける。 「途中で部首を前にしようと間違えたアル」 じっと目でチムチムがレキを見る。 「それを言わないでっ」 「足場の撤去作業や片付けも終わりましたわ」 エリシアはゴーレムに命じて片付けをさせた。 「あれは・・・封神台!?」 「そう・・・あんたが逝く場所だ。それも・・・地獄の層にな」 コウがゆっくりと立ち上がる。 「誰かの魂魄が飛んでくるぞ」 「もしかして詩穂たちが傷を負わせてあげた張天君様ですか?詩穂たちがやったことは無駄じゃなかったんですね・・・。よかった・・・です・・・・・・」 封神台に張天君が封神されたのを見届け、詩穂は微笑みそのまま気絶する。 「おのれ・・・よくも!」 それを見た姚天君が怒り狂い、捕まった状態から逃れようと暴れる。 「そうだ思い出した・・・張天君たちが魔力を奪っていると途中経過を聞いたんだった。あの妖精の魔力はほとんど奪ったとね」 「もうそれは阻止したわ」 希望を打ち砕いてやろうと美羽は銃口を向けたまま言う。 「―・・・でも、回復しきれなかったらどうなるかしら。タイムリミットのギリギリだったんじゃないの?」 「そんなまさか・・・」 遙遠は妖精が魔力を回復出来るか分からないと、メイベルが泣いてる姿を思い出しいやな予感がした。 「この声は・・・」 材料を置いていた場所で封神台へゴースト兵がいないようにしていた陣たちの耳元に、聞きなれた囁くような声が聞こえてきた。 “せっかく助けにきてくれたのにすまない”という言葉が聞こえたのだ。 「―・・・っ」 予感あたってしまったメイベルはショックのあまりハンマーを手から滑り落としてしまう。 「うそ・・・やだよぅ、陣くん。なんとかならないの、ねぇ陣くんてばぁあ!」 呆然と立ち尽くす陣の裾をリーズが掴む。 「これはオレが渡したプレゼント・・・」 友情の証に渡したプレゼントがいつの間にか、陣の手元に戻っている。 “あれから魔力がこのようなことになってすまない、わらわにこれを受け取る資格はない。ただ・・・そなたたちが来てくれなければ、わらわは悪しき者たちの手によって殺されていた・・・。感謝する・・・”という言葉が聞こえてくる。 妖精が封神された瞬間を見た遙遠と北都は何が起こったのか、目の前で起こったこと理解したくないと涙を堪える。 「もっと早く助けられれば・・・」 陣は妖精に送ったはずの友情の証を握り締める。 「そうだ・・・あの中にいけば助けられるんだよな?」 「やめてくださいっ、まだ回復すらしてないんですよ!」 「記憶だってちゃんとあるか分かりませんわ」 フラフラと封神台へ歩き出す陣をメイベルたちが止める。 「悲しいのは陣さんだけじゃないんですよ!」 「うわぁあーっ、十天君のやつら。許さんーーっ!!」 「クククッ・・・焔のボウヤが泣き叫ぶ声が聞こえるわ」 「満足そうだな・・・」 不幸を楽しむ女をコウが見下ろす。 「そうよっ満足よ!もっと絶望に沈むといいわっ。あっははは!!」 制御輪が光り輝き高笑いをする悪女を永遠の死の地獄へ閉じ込める。 董天君は寒氷陣を解除したとたん、姚天君の気配を感じられなくなり、ナタクたちに向かって許すことは出来ないがどうするかは自分で決めると言い1人でどこかへ行ってしまった。 封神台を完成させてなんとか十天君の2人を死の封印をした生徒たちは達成感に喜びの声を上げる。 その傍ら陣は呆然と座り込む。 たとえそれが死ではないにしても・・・いつ会えるか分からない、触れられない・・・声が聞こえない姿さえ見えなくなってしまった。 十天君の企みによって犠牲になってしまった者たちがあまりにも多すぎる。 生徒たちは夕闇に淡く輝く封神台の灯りを一時見つめ、それぞれの学園へ戻っていった。
▼担当マスター
按条境一
▼マスターコメント
皆様お疲れ様でした。 いつもはお食事なんてほぼないんですが、今回は空腹にならなかったかと思います。 ウィルスはリアクション内で、全て破壊された状態です。 ひょっとしたら意外な展開だったという方もいるかもしれません。 董天君は再び、敵として現れるかどうかは彼女の気持ち次第でしょう。 お姉さんが死んだことで、趙天君はどこかで泣いてるかもしれません。 一部の方に称号をお送りさせていただきました。 それではまた次回、別のシナリオでお会いできる日を楽しみにお待ちしております。