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リアクション
「もうこっちにはちびっこがいないんだから、身長で攻めるっきゃないよね」
と、アルメリアと交代する葉月エリィ(はづき・えりぃ)。
これで西チームは5人とも身長170センチを越えた。
対する東も選手交代したものの、背丈は見事にばらばらだ。
「弟の為にも勝ってやるぜ!」
と、意気込んでボールを奪うカセイノ・リトルグレイ(かせいの・りとるぐれい)。コート内の東チームで最も背が高い。
特技の投擲を活かし、遠距離からのシュートを狙う。
「そこだっ」
ブロックしたのは巡だった。弾かれたボールはエリィがキャッチし、ドリブルでゴール近くまで運ぶ。
「入れさせない……!」
と、エリィの邪魔をする鬼崎朔(きざき・さく)。エリィは軽く舌打ちすると、近くにいたハンス・ティーレマン(はんす・てぃーれまん)へパスを回した。
朔が動く前にハンスはバスケットめがけてボールを投げる。
――西:59点。
『良いチームワークネー。やっぱバスケットボールはこうでなくっちゃ』
「どちらかというと、妹ですわっ」
リリィ・クロウ(りりぃ・くろう)は他人には通じない言葉を叫びながらカセイノへパスをした。
「は?」
わけがわからなかったものの、また巡にブロックされては困るので味方へパスを回す。
「今がチャンスです!」
と、赤羽美央(あかばね・みお)はドリブルで移動すると、ちびっこへパスをした。相手は背の高い人ばかりだ、マークされていないちびっこは有利である。
「我に任せろ!」
受け取った毒島大佐(ぶすじま・たいさ)がバーストダッシュで素早いドリブルを見せる。
カットしようと前へ出る風斗だが、大佐の動きにはついていけない。
「くっ」
そのまま高く跳び上がると、大佐はバスケットへ突っ込んだ!
『豪快なダンクシュートネ。ボールは入ったけど、自分も入っちゃってるヨ』
大佐は勢い余ってネットに突っ込んでいた。――東:73点。
「巡、次こそ俺がシュート入れるから見てろよな!」
「え、あ、うん」
風斗は勝ち負けよりも、シュートを入れて良いところを見せたかった。
巡はチームの勝利を第一に考えていたが、どうなるか心配である。
攻撃的に動く風斗を見て、クレアは彼を中心にするよう指示する。
「ボールは全部、彼に回せ!」
ちびっこからボールを奪ったエリィが風斗にパスをする。
試合時間は残りわずかになっていた。
ドリブルでゴール近くまで向かう風斗だが、朔と美央に阻まれてしまう。
「……」
どちらかといえば背の低い美央の頭上にボールを放つが無謀だった。バックボードにぶつかったボールはすぐにリリィへ取られてしまう。
「後は任せます!」
「さっきから何なんだ、お前!」
と、怒鳴りながらカセイノがボールを受け取り、反対側にいる大佐へパス。
しかしハンスがそれを奪い取り、再び風斗へボールが回る。
「がんばって、風斗!」
巡の声援で胸に火が点いた。先ほどよりも距離は離れてしまったが、ここで入れれば3点だ。
よく狙いを定めて力強くボールを投げる――。
「入れっ!」
カセイノが手を出したが遅かった。
残り時間がゼロになり、静寂の中で誰もがボールの行く末を目で追う。
ぽすっとバスケットの中へ落ちた。
「やったね、風斗!」
「巡……!!」
あまりの嬉しさに巡るへ抱きつこうとする風斗。しかし巡はそれを嫌がって避けてしまう。
――西:62点。
ベンチへ戻ったエリィへエレナ・フェンリル(えれな・ふぇんりる)は言う。
「吸精幻夜があるじゃない」
「え? 別に、普通の飲み物が良いんだけど」
一方の東チームでは、大佐が用意した緑茶で選手たちが疲れを癒していた。
残るは最終ピリオド。両チームともにとっておきの選手を用意している。
「十点差なのであと一回か二回、シュートを入れておけば大丈夫です。東の勝利です」
と、美央。
「でも、まだ気は抜けないのですぅ」
エリザベート校長も最後まで試合を見届けるつもりらしかった。
インターバルが終わりに近づき、ついにその二人が現れる。
「絶対に勝つざんす!」
「勝負はまだ終わってないんだ!」
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