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リアクション
秋葉原のビルの合間の路地に逃げ込んだ。小さな体を生かして素早くすばしっこくチンマリと小歩幅で−−− これ以上は、怒られるから自重しましょうか。
「はぁ… はぁ… はぁ、一体何なのよ、アイツらは〜」
大した距離じゃないはずなのに。立ち止まったセイニィ・アルギエバ(せいにぃ・あるぎえば)は小さな肩を上下させた。
どうにかこうにか、カメラ小僧たちは撒いたようだが、彼らの不気味な迫力に恐怖を抱いたことが不覚であり、悔しすぎた。
「どう… にか逃げき… ったか?」
セイニィよりも小柄な毒島 大佐(ぶすじま・たいさ)は、より大きく息をしていたが、その瞳は 『悪い娘』 の色を宿していた。
「セイ… ニィ… これ先に、飲んで良い… よ」
「えっ」
いつの間にかに買っていたのか。大佐は缶ジュースを差し出していた。表面には冷えている証の汗をかいている。『炭』 だか 『酸』 だかの文字が見えるのが気になる所ではあるが。
「いいよ、大佐が買ったんでしょ? 先に飲みなよ」
「我は… 息が上がってしまっていて飲めんのだ、だから… 先に…」
「そう…? じゃあ」
セイニィが手を差しのべた瞬間だった。
プシュッッーーーーーワァァァァアーー!!!
泡〜 あわ〜 OUR〜 HOUR〜 泡〜
セイニィは顔から炭酸を浴びた、というよりも炭酸に撃たれた? まぁ、それでも瞳を閉じないのは流石ですが。
「わー 大変だー 濡れちゃったから着替えないとねー そこっ! あっ! 偶然にも着替え屋があったよ!!」
「えっ、ちょっとっ!」
『着替え屋』 なる 『コスプレショップ』 にセイニィを連れ込んでっ! 濡れた服を剥がして着せるのですよっ!! コス服の数々をっ!!!
「申し訳ありません、ご試着は、ちょっと…」
店員に断られた……。
口を開けて愕然とする大佐の後方で、天苗 結奈(あまなえ・ゆいな)が次原 志緒(つぐはら・しお)に訊ねた。
「こすぷれ店って、試着室、無いの?」
「そうですね、事故が起こりかねませんし、そこから事件に発展する危険性も考えると、多くの店舗が試着室を設けないようなのです」
「ふぅ〜ん、そうなんだ」
結奈は納得しても、大佐はそうはいかない。丁寧に断った店員に、再び噛みついていた。
「ビショビショなのっ! すぐに着替えなきゃ風邪ひいちゃうでしょっ! この娘っ!」
「えっ、あなたじゃなくて、この娘が…?!」
「そうよ! ………… って、若干、鼻につく言い方ね……」
「はいっ! どうぞっ!」
「速っ!!」
膝をついて腕を伸ばして指さしていた。そこにはカーテンで仕切られた試着スペースが完成していた。
「ふっ、まぁ良いわ。さぁ、セイニィ! これに着替えるのよっ!」
「え? でも…」
「いいから! ごちゃごちゃ言わないっ!」
無理矢理に押し込んだ。 『着替え終えるまで出させない』 と見張っている、フリをして大佐は瞳に 『悪い娘』 の色を宿した。
「ふっふっふっ、事件は会議室で起こすんじゃないわ、現場で起こすのよー!」
シャーッと勢い良くカーテンを開けた−−−のに。
「着替え早っ!!」
セイニィは着替えを終えていた。体のラインが平坦だと着替えも早い…… って、そんな事ないわよ!
「ちょっと! 何でスク水にセーラー服なのっ? しかもスカート無かったし!」
「可愛いー! ほらほらっ、銃を抱えて 『セイニィ、飛びますっ!』 って言って言って!」
「嫌だよっ! よく分かんないけど、なんか嫌だよっ! それに、銃を持たせるならパッフェルに着させば良いでしょ!」
パッフェルもアリだけど、意外と胸もお尻もあるからなぁ。どちらかと言うと、管制官かな? …… 白のね。
「それから、これっ! どうしてネコ耳っ?!」
「それは必須でしょ! ほら、銃をギターに持ち変えれば 『放課後なバンドの唯一の後輩部員』 の出来上がりっ! ツインテールもバッチリだよっ!」
「『だよっ!』 じゃないよ!」
「ほら、コウモリの羽を付ければ、きゃあー! 『ロリっ娘サキュバス』 だよっ! セイニィ、凄いよ!」
「嬉しくないよっ!」
言われるままに次々に着替えてツッコんで。まぁ、こちらも結局は目立つ服装はNGなわけで。
結局の所、セイニィは学ラン姿で出てきたようだ。もちろん拳までスッポリ隠れる 『ダボダボ丈』 ですよ♪
ティセラが 『アニメイト秋葉原店』 に行きたいと言っていたのを思い出して、一行は、とあるコスプレショップを後にした。
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