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KICK THE CAN2! ~In Summer~

リアクション公開中!

KICK THE CAN2! ~In Summer~
KICK THE CAN2! ~In Summer~ KICK THE CAN2! ~In Summer~

リアクション


第四章


・ドキッ! 水着とユニフォームの缶蹴り大会――ポロリもあるよ☆


 ゲーム終了まで残り一時間。
 最後の北エリアは、それまでにもまして凍り付いていた。
「さっき壊された分を直さんといかんのう」
 だが、その準備をしている間にも、攻撃側は攻め込む態勢を整えていた。
「そろそろ攻め時ですね」
 ずっと息を潜めていた御凪 真人(みなぎ・まこと)セルファ・オルドリン(せるふぁ・おるどりん)が、そろそろ頃合と判断する。
 少し前に大規模なサンダーブラストがあったが、二人はコンテナの上で伏せ、ことなきを得た。地面に接していたら、間違いなく倒れていただろう。
「セルファ、蹴るのは任せましたよ」
「うん、今度こそは負けないわ!」
 真人がセルファにパワーブレスをかける。
 さっきまでの激しい攻防を見ているため、大体のトラップの位置や、守備の動きは把握している。
 真人が道を作り、セルファが駆ける。
(またあれが来たら厄介ですからね)
 移動の際は、守備から見えるのは覚悟の上で、コンテナの上だ。缶のある場所まで接近し、そこで地表に足をつければいい。
 そうすれば、守備側も下手なことは出来ない。攻撃の衝撃で缶が倒れたら元も子もないのだから。
 一気に駆け出す二人。真人がファイアストームで地表の氷を溶かす。
 そこに着地し、並行しながら途中までは走っていく。
(来ましたね)
 真人に対し、闇術が繰り出される。視界が塞がれるが、そこはディテクトエビルと超感覚で敵の接近を感知する。
(今です!)
 バニッシュを放つ。神聖な光が闇をかき消し、同時に接近してきていた者への目晦ましとなる。
「こしゃくな!」
 アンドラスを突破し、倉庫の方へと走る。しかし、地上はトラップだらけでもある。
(セルファ、この先は任せましたよ!)
 最大火力のファイアストームを放つ。炎の嵐は、仕掛けられていたしびれ粉を焼き、氷の壁や地面を溶かす。
 だが、その炎自体も囮であった。
 セルファがファイアプロテクトで炎への耐性を身につけ、自ら炎の中へ飛び込んでく。まさか炎の中を突っ切ってくるとは敵も予想はしないだろう。
 バーストダッシュとランスバレストを組み合わせることで、限界以上に加速する。その勢いを利用し、炎から飛び出す。
「見えた!」
 炎を抜けた先に缶があった。守りは離れている。どうやら意表は突けたようだ。
 だが、
「……え?」
 蹴ろうとした足が空を切る。本物の缶ではない。
「――!!」
 ブリザードが吹き荒れる。炎がかき消され、一気に冷気が押し寄せる。
「このエリアの缶は簡単には見つけられんよ」
 態勢を立て直すため、近くのコンテナの上に飛ぶセルファ。
 だが、ここから攻める手立てはまだない。

 と、その時上空から閃光が降ってきた。
 上空から攻撃の隙を窺っていた、ザカコ・グーメル(ざかこ・ぐーめる)である。
 轟雷閃で雷を纏わせたカタールを前方に構え、自由落下してくる。
 自らに奈落の鉄鎖で重力を増し、さらにバーストダッシュ、
(自由落下で普段の二倍、バーストダッシュで四倍、奈落の鉄鎖で八倍、これでどうです!)
 陣が破壊したのとは別の倉庫の屋根を破壊し、缶のあると思われる位置に突撃する。そこには缶が確かにある。
 彼に対し、氷術が繰り出されるが、加速により当たらない。
 そのままカタールで攻撃する、と思わせておいて身体を空中で一回転させる。
 勢いに任せて、蹴りを繰り出した。
「稲妻反転キックです!」
 しかも、彼は前に見えている缶も偽者だろうと疑ってかかっており、一見何もない空間を蹴った。
 そこがビシッとヒビが入って割れる。
 氷術の壁をそうだと分からないようにカモフラージュしていたようである。
 その中から、缶が現れた。今度こそ本物である。
 さらに回って蹴ろうとするが、
「させるか!」
 と、朔にラスターエスクードで受け止められてしまう。
 二重にも三重にも守りが張られ、どこまでも攻撃側を阻む。

            * * *

(行くならそろそろなのです)
 真人が攻めに転じるのと同じ時、咲夜 由宇(さくや・ゆう)も缶を蹴り飛び出そうとする。
 その時、風に乗ってお面が飛んでくる。雷を食らったせいなのか、端の方が焼けているが、顔を隠すことは出来そうだった。
(使わせてもらうのです)
 それは陣が被っていたツァンダーの仮面なのだが、とりあえず被っておく。念のため顔を見られないようにするのも一つの手だ。
 近くにも守りがいることを考え、恐れの歌を歌う。
(クク、頼むのです)
 由宇がペットの狼の片方を放つ。そのままエリア内を駆け巡らせて撹乱させようというのである。
 そして、自分はもう一匹の大型騎狼に跨り、そのまま缶付近まで突っ込んでいく。
 なんだか狼にお面を被った少女が跨っているというと、二十世紀末くらいにあったアニメ映画を想起させるが、決して彼女は狼に育てられたわけではない。
 地表のトラップはいろいろあって半分くらいは除去されている。だが、油断は出来ないためコンテナの上を駆けていく。
 缶を蹴りに行こうとするセルファや真人の姿を捉えた。
 味方であるため、幸せの歌を歌って支援する。
 直後、真人に対して闇術が迫った。だが、それをバニッシュで打ち消してファイアストームを放つところまでを彼女は目撃する。
 すると、今度はあえて存在感をアピールし、自分に相手を引きつける。
 缶からは近いためなのか、朔のパートナーのスカサハが加速ブースターで追ってくる。
「まだ捕まるわけには行かないのです!」
 それを振り切るため、あえて缶から遠ざかる。
 由宇の目的の一つは撹乱だ。それに、ファイアストームの影響で中の氷が溶けてきている。
 さらに、北エリアの境界付近も凍っていたのだが、いつの間にか大部分が溶けている。そろそろ他エリアの人も辿り着いたということだろう。
 ここからが、攻守ともに本当の勝負なのだ。

            * * *

(さあ、そろそろいくぜ!)
 北エリアの境界付近、ミューレリア・ラングウェイ(みゅーれりあ・らんぐうぇい)は最後のエリア攻略のため、行動に出る。
「セットアップ!」
 変身! によって彼女の姿は魔法少女コスチュームとなる。
「魔法少女マジカルミューミュー参上だぜ!」
 そして彼女は、あえて北の激戦地帯に飛び込むようなことはせず、そこから倉庫の辺りを眺める。
 既にギャザリングへクスで魔力は高めてある。SPタブレットも持った。あとは集中攻撃するのみだ。
 
『マジカル流星群!』

 要はシューティングスターの連続使用なのだが、持てるSPをつぎ込んで、流れ星を落としまくる。
 デフォルメされいると考えればそれほど怖くないが、これがリアルな魔法だったら隕石落しとか星座崩しなどという恐ろしげな雰囲気に様変わりだ。
 とはいえ、それこそ五角形の星型が北エリアの中心部、上空に吹き荒れるブリザードを突っ切って降り注いでいく。
 だが、彼女の背後には他のエリアの生存者の影がある。
 しかも、ここに来て生き残っている他のエリアの守備陣営が一気になだれ込んでくるというのだから厄介だ。
 北エリアの中だけで、何人かは行動不能になっているとはいえ、守りを固められたらさすがに厳しいものがある。
 しかも、イコンまでこっちに向かってくるかもしれないと考えると、どうしても勝つのが厳しくなる。
(少し場所を変えるぜ)
 バーストダッシュで海側へと移動していく。引きつけるのが一人ならいいが、そういうわけにもいかず、ポジション取りに回る。
 
 星をエリアの守りに対し直接落すというミューレリアの行動がマジカル、というよりも「本気狩る(まじかる)」なものだとしたら、率先して守備側をさーちあんどですとろいしている神代 明日香(かみしろ・あすか)はなんと言えばいいのだろうか。
「もう、ほんとに埒が明かないですぅ!」
 空飛ぶ魔法で飛びながら、逃げるフリをしてとにかく他エリアの守備陣営を排除しようと躍起になっている。
 残るエリアは北なのだから、せめてそこを目指している者達だけでも足止めすれば多少は攻撃側が優位になる。
 もっとも、攻撃側に至っていもこの時点でどれだけ生き残っているのかは分からない。
 エリア移動の際はもはや鬼ごっこというレベルではなく、互いに戦力を減らすための潰し合いと化している。
 タッチされなくても足止めされている人もいれば、守りのはずなのに逃げざるを得ない状況に持ち込まれている人さえもいる。
 もはや、缶蹴りと呼ばれる行為をしているのはこのエリア内だけであり、外のいろんな意味で本気なバトルに関しても触れたいところだが、尺の都合と過激な表現が含まれる可能性があるため、ここでは想像にお任せするほかない。
 
 そして、なぜかこの缶蹴りは女の子の方がアグレッシブだという現象が起こっている。
「仮面ツァンダーソークー1☆ 参上! 私の歌を聴きなさーいッ!!」
 ツァンダー仮面な遠野 歌菜(とおの・かな)も、その一人である。彼女もまた変身! によって魔法少女へと姿を変えているのだ。元々の服装はイルミンスールの公式水着である。
 迫り来る守備陣営に対し、子守歌を歌い、侵入を防ぐ。
 彼女もまた、今は魔法少女アイドルなのだが、ヒーローの面に応援旗を持ったその出で立ちは、何かがおかしい。
 だが、接近されないようにし、なおかつ顔も見られなければ缶を踏んで名前を叫ばれる心配もない。
 どれだけ目立っても、それは囮としての効果がある。
 子守歌で眠らない人には、しびれ粉を浴びせ、動きを鈍らせて時間稼ぎをする。
 その間に、北エリア内部の敵を引きつけようとする。
 が、その前に攻撃陣営に対して驚きの歌を聞かせ、SPを回復させる。タイムリミットは刻一刻と迫っており、少しでも攻撃側の士気を高める必要がある。
「さあ、派手に行くよー!」
 応援旗をビシっと構え、走り出す。
 それでも守備側への警戒は決して怠らない。超感覚と殺気看破を併用し、少しでも敵の攻撃や人の接近そのものに遭わないように注意する。
 
 だが、こういった行動が守備側をこれまで以上に本気にさせてしまった。
「くくく、これはもう殺す気でいった方が良さそうだな」
「……手段を選んでいる暇はない。勝つためには、そう持てる力を出し切って殲滅するしかない!」
 アンドラス、朔が気を引き締める。
「んふ、面白くなってきたのう」
 ファタはSPリチャージ分を遺し、SPを使いブリザードと氷術を繰り出す。
 
            * * *

「月夜さん、缶蹴りとはこんな殺伐したものなんですか?」
「……刀真に聞いてたのと違う」
 なんとか北エリアでまだ潜伏していられた漆髪 月夜(うるしがみ・つくよ)封印の巫女 白花(ふういんのみこ・びゃっか)だったが、何やら外の様子が、缶蹴りが大詰めになるにつれておかしくなってきていることに気付いた。
「俺にも何が起こってるのか分からない」
 樹月 刀真(きづき・とうま)にも今一つ状況が飲み込めない。
 確か、始まってしばらくは何事もなかったはずだ。
 開始の合図が稲妻だったり、北エリアでいきなり爆発が起こったり、かといってここに来ようとしたらコンテナが邪魔で入れない。
 と、思ったが別に光条兵器呼び出せばいいし、ダークビジョンもあるから閉め切ったところで別に困らない。
 と、いうわけでわずかな隙間を作ってずっと外の様子を窺っていたのだが、何かがおかしくなり始めた。
「それで、ここからどうやって攻める?」
 如月 佑也(きさらぎ・ゆうや)が刀真に尋ねる。
「守りの人達は目がマジだ。多分、反則にならない魔法攻撃なんかは殺せるレベルで放ってくるだろうさ」
「……やばくないか、それ?」
「まあ、審判をやってる術者が術者なので、『魔法』に関して言えば安全だ。生死ということに関しては」
 普通、缶蹴りで生きるとか死ぬという話題は出てこない。
「とりあえず作戦会議だ。俺達が今いるのが、大体缶から二百メートルくらいの地点。入ってきた場所は多分さっきの衝撃で戻れなくなってるはず」
 コンテナ滑走などというものをやらかした人がいるため、一部のコンテナは使い物にならなくなっている。
「それで、大分地形は変わったけど、このコンテナは上手い具合に並べられていて、このまま進めば缶から五十メートルくらいの場所に出られるようになってる。ってさっき調べただろ?」
「うん、そうだったな。ただ、コンテナが連結してるからって、そこを光条兵器で辿るなんて」
 守りからしたら、さすがにコンテナの中を辿ってくるというのは想定外だろう。ただ、コンテナの上を動物が走る音が聞こえたりで、居心地はよくなかったが。
「まず、ここから俺と佑也が外に出て、守備を引きつける。その間に月夜と白花が一気に攻める」
 外がゴタゴタし始める中、まさかコンテナの中から飛び出してくるとは思わないだろう。一度要所になりそうな場所に切れ目を入れたため、蹴れば簡単に外れるようになっている。もっとも、ブリザードの影響で多少は固まっているかもしれんが。
「よし、行くぞ!」

            * * *

 バン、と言う音ともに、二人の男が出て来た。
(あれは、ダディ!)
 光学迷彩で隠れていた橘 恭司(たちばな・きょうじ)は、コンテナから出てきた佑也を発見するなり、カメラを回し始めた。
(コリマ校長、お許し下さい)
 別に彼には海京の機密的な部分を撮影する意図はない。
 ただ、彼はいずれ使えるだろうネタのために、佑也を撮ることにしたのである。とはいえ、今の北エリアの状況を考えると、恭司はさながら戦場カメラマンである。
 空からは星が降り注ぎ、空の上はブリザード、かと思えば炎が発生するし、歌は聞こえてくるし、人がまたがってる狼がコンテナの上を駆け回っているしとよく分からないことになっている。
 なお、彼には缶を蹴るつもりがない。守りに気付かれずにここにいられるのは、そのためである。
 目の前を走る二人が、守りと対峙するのを見る。
 刀真は神子の波動で相手のスキルを封じ、佑也は魔法攻撃に対してフォースフィールドを展開、そしてミラージュによって接近されるのを防ぐ。
(まだ面白くないな)
 現時点では、これと言って面白いネタがない。
 このままだと離れすぎてしまうため、バーストダッシュで追いかける。だが、すぐその先で思わぬ光景に出くわすことになる。
「恥ずかしい姿を晒したくなければ大人しくして下さい」
 相手のスキルを封じた刀真が言い放つ。
 光条兵器という反則スレスレなものを持っており、しかも相手は女性である。
「!!」
 彼と佑也の足下にブロウガンの矢が飛んでくる。
 さらに、悲しみの歌と恐れの歌が耳に入ってきた。
 彼らの視線の先にそういう行動をしている者はいない。
 唯乃が美央のサポートをこっそりとしているのだ。倉庫の屋根の上から。
「スキルが使えなくても、この身があれば関係ありません!」
 そして美央は黒壇の砂時計を起動し、一気に二人にタッチしようと迫る。
「頼むぞ、佑也……飛んでけー!!」
 レビテートで浮かんだ佑也を、刀真が金剛力で思いっきり飛ばした。
(俺、飛んでる……!)
 そのまま美央の頭上を飛び越え、百メートル離れた缶の位置まで飛ぶ。なお、その缶も本物であるという保障はないのだが、それでも彼は飛んでいく。
(ダディが飛んだ、よし)
 とりあえず宙に浮いたようになっている彼の姿をズームでカメラに収める恭司。
 その姿を見ていたのは、何も彼らだけではない。
(ん、おやっさん達、もうそんなとこまで攻めてたのか)
 カモフラージュでコンテナの死角から死角へと何とか移動していた閃崎 静麻(せんざき・しずま)が、ちょうど彼らの姿を発見した。
(おやっさんが飛んで、その先には……)
 静麻が視線を移したその場所には、二人の少女の姿があった。
 
「白花、今っ!」
「はい、月夜さん!!」
 佑也が飛んだところまで見届け、月夜と白花が飛び出す。
「これ以上は行かせまセン!」
 彼女達の前にはジョセフがいるが、彼に対して白花が神子の波動を放つ。
 相手がスキルを使えなくなったその隙に、バニッシュ。
 目晦ましをしている間に一気に缶を蹴りに、というところで白花が転んでしまう。
「きゃっ……あれ?」
「白花、だいじょ……え?」
 月夜は胸の辺りに違和感を感じた。そして、白花の手には黒い水着が握られている。なお、今回月夜は黒のビキニ、白花が白のワンピース型の水着を身につけている。
「なんだ!? 俺を投げた後、樹月くんは何をやらかしたんだ?」
 とはいえ、いくら刀真でも、引きつけた守備を全部撒いて白花らがいるところまでダッシュするのは難しいだろう。
 軌道はそのままに、声のした方を見る。
「グッジョブ!」
 彼が見たのは、胸に何もつけてない月夜と、本来つけてあったものを握って目を見開いている白花の姿だった。
(眼福眼福)
 拝んでいるうちに、彼は頭から地面に激突した。

(おーっと、月夜の水着がー!)
  ほとんど同時に、その光景を見てしまった静麻は、咄嗟に海パンの中に仕込んであったデジタルビデオカメラを取り出し、月夜……ではなく、それを横目で見てしまった佑也を撮る。
(よし、離脱だ)
 そのまま缶を蹴りに行ければいいが、如何せんその近くに月夜と白花だ。
(これは……よし、ちゃんと保存しておこう。空中でポロリに見とれて頭から落下するとは)
 恭司もまた、その瞬間をちゃんと録画していた。一旦電源を切り、メモリーカードを抜いてユニフォームのポケットに仕舞う。
 だが、その直後、
「全員記憶を失えー!!!」
 月夜の叫びが聞こえてきた。右手で胸を押さえて、涙目になりながらマシンピストルのトリガーを引く。
「あ、白花やっちゃたのか……ぐはっ!」
 タッチされてしまったものの、白花の悲鳴に慌てて駆け出した刀真が、まずヘッドショットの犠牲になった。
 続いて、頭から地面に激突しながらもなんとか起き上がった佑也にも、
「お前もかー!」
「……殺気!? って近っ!!」
 ドン、と音がする。
 さらに、コンテナや屋根にも乱射する月夜。
 直後、巻き添えなったらしい男が屋根から落ちてきた。
 なお、この時点で反則認定である。
「うう〜……」
 プルプルと涙目で震える月夜。が、この混乱に乗じて蹴ろうとした缶はダミーだった。
「つくよさ〜ん、落ち着いてください、止まって下さいよ〜」
 白花も涙目であった。
 一旦月夜を慰めるため、反則取られてしまっているが、コンテナの中に戻っていく。

 だが、まだ缶蹴り自体が終わったわけではない。