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マホロバで迎える大晦日・謹賀新年!明けましておめでとう!

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第四章 初詣3

「よおーし、初参りもやったし。家に帰って睦姫ときゃっきゃウフフでもするかな……あれ、現示なにやってんだ」
 魔剣士なのに大奥に忍者のように忍んで出入りし、ついには瑞穂 睦姫(みずほの・ちかひめ)を連れていった紫月 唯斗(しづき・ゆいと)が、東光大寺院の前で青い顔をしている瑞穂藩士日数谷 現示(ひかずや・げんじ)を見つけた。
「唯斗か。俺としたことが、さい銭を忘れてきたぜ」
「ふーん、そりゃ災難だったな……まあがんばれよって、いうか、アホがーー!」
 唯斗は高くジャンプし、現示の頭を両足で挟み込む。
 後方に回転すると、そのまま地面にに叩きつけた。
「俺にあそこまでお膳立てさせといて、あの肝心な場で寝るやつがあるかああ! こんのボケがああ!!」
 続いて空高く放り投げ、忍者よろしく飯綱落としの術(いずなおとしのじゅつ)である。
「はあ、はあ、わかったか……じゃな」
 きゅううと倒れこんだ現示を置いて颯爽と立ち去ろうとする唯斗。
 その彼にエクス・シュペルティア(えくす・しゅぺるてぃあ)の光条兵器の光刃が飛んできた。
「唯斗のアホー! ひとりだけスッキリとして帰ろうとするな!」
 エクスは紫月 睡蓮(しづき・すいれん)の制止をもろともせずに喚いている。
「わらわ達の口調が安定せんのは貴様がギリギリまでやる事ハッキリせんからであろう!」
「エクス姉さん落ち着いて下さい! 私もいろいろ安定してなかったですけど! もっと弓撃ちたかったとか! 狙撃巫女として頑張らせたかったとか! そんな声が何処からか聞こえて来てますけど 落ち着いて下さい〜!!」
 睡蓮の実体化した心の叫びに、プラチナム・アイゼンシルト(ぷらちなむ・あいぜんしると)がひとり冷静に突っ込んでいた。
「おやおや……私ももっとクールな突っ込みを入れるべきでしたね。それにしても、私たち、見事なまでに潜入してますし、唯斗にいたっては最後に睦姫様の手を取り姿を消す所は、どこの怪盗紳士三世ですか?」
「ちょ……それは俺の管轄外だろ、うしろのやつに言ってくれ。というか、俺だって被害者だっつーの!」
 現示がむくりと起き上がった。
「女絡みが一切なく、あってもバイオレンスのみってどーゆうこった? ふつーもう少しなんかあっていいだろ。なあ?」
「……それには俺も同情するけどよ。あんた結構男前だし、瑞穂藩でもそこそこ偉いんだろ? なんでモテないんだ?」
「それはこっちがききてーよ」
「もう、睦姫やティファニー、口説いちゃえばいいじゃん。何なら俺がお手本見せようか?」
 仮面の男トライブ・ロックスター(とらいぶ・ろっくすたー)が近くにいた瑞穂 睦姫(みずほの・ちかひめ)ティファニー・ジーン(てぃふぁにー・じーん)に声をかけようとしている。
 現示が顔を赤くして「わー!」と叫ぶ。
「それはやめろ、それは。絶対に……!」
「そんなだと、また来年も一人だぞ」
「うるせえ。お前みたいに会う女みんな手ぇ出せるかよ」
「そいつは心外だな。俺は気が多いのは否定しないが、心から愛してるのは一人だけだぞ」
 トライブは正月の雰囲気のテンションもあってか、うざく現示に絡んでいた。
「なあー口説けないってんなら、どんな女が好みか教えろよー。あ、あと何か食わせろ〜。甘酒飲ませろ〜おみくじひかせろ〜」
「だから財布忘れてき……」
 現示の言葉はしにトライブがにやりとし、わざわざ瑞穂弘道館に寄ってとって来た現示の財布を出そうとしたときだった。
 高圧的かつやたら美声な男の声が聞こえた。
「あれれ、ゲンヂきゅーん。お困りかな〜、カナ?」
 薔薇の学舎の異端児南臣 光一郎(みなみおみ・こういちろう)が輿に手を当てて仁王立ちしている。
「初詣に来て、祈る以前の人がいるとは……くく。俺様が救いの手を差し伸べてやってもいーぜぇ。名付けて、正義のシト空京ローズ見参! とおッ」
 ジョンプから着地するなり、マホロバ小判をぴらぴらと見せ付ける光一郎。
「誰がそんな金……俺はもう帰る」
「いいのかなー? 周りをもっとよく見て! 見て!」
 現示たちはいつの間にか、似たような顔をした子供たちに囲まれていた。
「おじちゃん、お年玉ちょうだい」
「おじちゃん……だと?」
 顔の似た子供――貞継チルドレンたちは、現時に向かって手を出す。
「俺はまだ二十三だ。おじちゃん言うな」
「そうかな? この中では一番年上じゃん。瑞穂の、マホロバの未来を担う子供たちを邪険にしていいのかな? ここは大人の手本を見せるべきぜよ! ゲンヂきゅん!」
 子供たちの中には、当然睦姫の子、雪千架(ゆきちか)も居る。
 睦姫が軽く軽蔑したような視線を送っていた。
 光一郎はニヨニヨとにじり寄りながら現示に迫る。
「もちろん対価は必要。誰かさんも前に言ってたよな。誰かの力を借りるならそれ相応の手土産よこせって。そう、つまりは……カラダで払ってもらおうか!」
「……は?!」
「羽根付き対決で勝負!ゲンヂきゅんのカラダと子供たちの未来をかけて、さあ!」
 羽子板の先をビシッっと付きつける光一郎。
 急遽、この場で羽根付対決が行われることになった。
 もちろん現示が負ければ(検閲により削除)である。
 トライブは現示の財布を見つからないよう元に戻すことにして、事の成り行きを見守ることにした。
「こいつは面白くなりそうだ……」