天御柱学院へ

蒼空学園

校長室

イルミンスール魔法学校へ

すいーと☆ぱっしょん

リアクション公開中!

すいーと☆ぱっしょん

リアクション

「もしかして、どこかにいない?今、ティセラもどきを見たときになんか…」
「そう、これはボクの得意なやつ、でした」
 ティセラの後ろには、いつしかシャムシエルが佇んでいて、笑顔はやはり、どちらとも取れないものだった。
「あんた、シャムシエル!」
「てめぇ!またこんな事して、ただじゃおかねぇぞ!」
 セイニィの後を接ぐ様にしてシリウスが叫んだ。
「申し訳ないとは思ってるよ。思ってるけど今回はこんなもんで許してよ、彼女はようやく手に入れたティセラのクローンなんだからさ、此処で失う訳にはいかないんだよねっ!んじゃ、ばいばーい」
 光条兵器が使えずにいた為、攻撃の落ち着いた瞬間、シャムシエルとティセラ・クローンはその場を逃げる様にして去っていく。
「ま、待ちなさいよ!」
「みなさん!」
 と、後を追おうとした一同を止める声。朔とスカサハ。どうやら別動で動いていた彼女たちは、シャムシエルを探していた様だ。
「二人の行方はわかります。落ち着いて作戦を立て直しましょう」
「携帯や通信機をご覧いただきたいのであります」
 一同が言われたとおりにすると、画面には赤い印が二つ、点滅しながら移動していた。
「現状、二人の逃走経路が表示されていると思います。これを追っていけば」
 と、そこで、朔とスカサハに向けて言葉が投げかけられた。遠くの方から、二人に向けて。
「朔さん、お待たせしました!」
 走ってきたのは朝斗とルシェンである。どうやら彼ら、キャンディ化の呪いを朔に伝えた後、自力で全員を探したらしい。朔から落ち合う場所の連絡を受けて、此処にやってきた。
「みなさんもお揃いで。すみません、遅くなってしまって」
「大丈夫です。これから大詰め、と言ったところですから。それよりみなさん。どうします?恐らく二人はどこかで別れて逃げると思うんですが、二手に分かれてみては」
 朔が説明を再開すると、セイニィは暫く考え込んだ後、首を縦に振った。その場にいる全員が、その意見には賛成らしい。
「私はシャムシエルを追います」
「スカサハは朔様とお隣に、であります」
 二人はシャムシエルを追う事にした。
「なら私もそうするわ。エリクシル・ソーマとかってやつ、あれ、シャムシエルが持っている気がするのよね」
 セイニィもシャムシエルを追う事にした。と、何処からともなく唯斗が姿を現し、全員に助言した。
「今、更に増援を偽ティセラの方へ送りましたよ。数名程度行ってくれれば、なんとかなると思います」
 言い終わると、美羽が元気よく手を挙げた。
「なら、なら!私とベアちゃんで行っていいよね!?」
「任せてもいい?」
「ええ、私もついていますし――」
 セイニィが申し訳なさそうに尋ねると、ベアトリーチェはうっすらと笑顔を浮かべて答えた。それを遮る形で、美羽がベアトリーチェの腕を取ると、一言「まっかせっなさーい!」と述べ、その場を去っていく。
「ならば私たちは、シャムシエルの後を追うとしましょう」
 シャーロットとラナが先頭を切って歩みを進めた。それぞれが携帯や通信機の画面と睨めっこをしながらに。


 エクス・シュペルティア(えくす・しゅぺるてぃあ)紫月 睡蓮(しづき・すいれん)プラチナム・アイゼンシルト(ぷらちなむ・あいぜんしると)はひたすらに待ち続けている。と、言うのも、彼女たちは此処で敵の撤退を妨害する、と言う唯斗の指示の元な訳だが、なかなかその敵が現れずにいた。
「のう…敵はまだか?わらわはもう帰りたい」
 エクスは退屈そうに土を弄っている。
「そう言わずに…唯斗兄さんの指示だと、あと数分程度で敵さんもこっちに来るらしいですから」
 エクスと一緒になって土を弄りながら、何とか懸命にエクスを宥める睡蓮。
「どちらでもいいですけどね、私としては」
 プラチナムは本当にどうでもよさそうに呟いた。と――
「そこをお退き戴けません事?」
 思わず全員の顔つきが変わった。
「さて、来たか。これがわらわが倒すべき相手か」
 エクスたちが武器を手に、ティセラ・クローンと対峙していた。
「もう、わたくし手負いですのよ?少しは人を労わって頂ける?」
 負傷した左腕をだらりと垂らし、右手だけで武器を持っている為、必然肩で剣を担ぎ、面倒そうに呟くティセラ・クローン。
「そういう訳には行きません、私たち、あなたを此処で留めて置く様に言われていますので」
「そう言うわけで、観念していただける?」
 睡蓮、プラチナムもそう言うと、武器を手にティセラ・クローンへの攻撃態勢を取った。
その場の全員が腰をおろし、瞬間的に動けるような姿勢となった。
 始めに動いたのはエクスだった。手にする武器は、光条兵器。左右に一対、長い剣の刃を揺らめかせながら、肩口に大剣を担ぐティセラ・クローンに猛進していった。
「直線に進んだところで、わたくしを止める事など出来ませんわよ」
 涼やかな声が聞こえた瞬間、エクスのぎりぎり左を何かが擦り抜け、彼女の頬からはうっすら鮮血が流れる。思わず彼女は動きを止めた。
「…何が――」
「簡単ですの。あなたが移動するよりも、わたくしの斬撃の方が早かっただけ。ただのそれだけですわ」
 エクスが見ると、そこにはティセラ・クローンが今まで担いでいた大剣が、大地を食い破っている。
「だったら、二人で行けば――いいんじゃなくて?」
 唖然とするエクスの背後から二人、プラチナムと睡蓮が挟撃する形でもって近付き、攻撃モーションへと入った。プラチナムが剣を、睡蓮が弓を、それぞれ攻撃の為に駆使する。
が、今の今まで地面にめり込んでいたティセラ・クローンの大剣は、既にその場から姿を消している。彼女は剣の柄の部分を蹴り上げ、刃先を空に舞わせた。そのまま自分が駒よろしく自転すると、持ち上がっていた剣は彼女の体についていく形で、回転する。
「くっ!」
「きゃぁ」
「ちぃ…!」
 三人が後ろに飛び退き、何とか事なきをえるが、体勢を立て直す必要があり、これ以上の追撃が出来ずにいた。自転を終えたティセラ・クローンは悠々と地面に剣を突き立てる。
「残念ですが、もう少し人数がいないと相手になりません事よ。そうですね、連携攻撃も必要ですが、あと二人。あと二人いれば」
「要れば、何?」
 目の前の三人に向かって話していたティセラ・クローンが思わず固まった。背後にある、二つの影。彼女が限界と感じる、五人。
「五人いれば、あなたは倒せるみたいですね」
 美羽とベアトリーチェが、ティセラ・クローンに追いつく。
「久しぶりだね、ティセラの偽者」
 美羽はティセラ・クローンの言葉を待たずに攻撃へと移行した。近くにあった岩を、篭手をつけた彼女が持ち上げ、にやりと笑う。
「さて、今のあんたにこれは避けられるかな?」
 と、彼女の口に向けて、何かが飛んできた。
そしてそれが美羽の口に到達する瞬間。彼女の前髪すれすれを何かが横切る。
「美羽さん。油断していると飴になっちゃいますよ」
「…ねぇ、ベアちゃん。私なんか、したかな?」
「いいえ。ただ、今あなたの口に向けてこれが飛んできたんです」
「ただのキャンディじゃん」
「この状況で飴があなたの口に入る事があるならば、それは呪いのキャンディに違いないでしょう」
「うわぁ、危なかったぁ」
 ベアトリーチェは溜息混じりに振り下ろした剣を握りなおして構えを取った。
「ティセラさんの容姿なので、あまり戦いたくはありませんけど、しかたない、ですよね」
「あら、あちらの方たち、味方みたいですね」
「それなら話は早いだろう。わらわたちも行くぞ」
「もう、あの子怖いから嫌よ」
 ベアトリーチェが踏み込み、横払いの剣戟を放つ。当然ティセラ・クローンはしゃがんで攻撃を回避するが、今度は背後から三人が攻撃を仕掛ける。思わず地面に突き立てていた大剣を抜いて攻撃を受け止めるが、既に左腕が使えない状況で三人の攻撃を受け止める事はできなかったらしい。大剣が弾かれて飛んで行き、一足では届かない場所で地面に再び突き刺さり、立っていた。
「あれだけがわたくしの武器ではありません事よ?」
 わざと飛ばされた様な体勢になったティセラ・クローンはすぐさま受身を取りながら、ビットを飛ばして四人に反撃をした。
「あら?」
 ベアトリーチェはそんな事を言いながらも攻撃をかわし続ける。否、それが精一杯が故にその言葉だった。
「何でしょうね…迂闊に近づけませんよ」
 睡蓮も困りながら後ろに下がる。
「何でもあり、なんでしょう」
 プラチナムも同じく、距離を置いてビットの攻撃範囲外へと脱出する。
「詰まらぬ、斬り合いもままならぬか」
 エクスは随分と不機嫌そうな顔をした。が、美羽だけは、岩を担いだままに何かを見つける。にやりと、にこりと、ひらめいた様に。
「あの尻尾ってさぁ…うへへ」
 何の躊躇いもなく、彼女は持ち上げている岩をティセラ・。・クローンんではなく、岩陰に隠れている尻尾に向かって投げ込んだ。