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楽しい飯ごう炊さん

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4.

【1班】
 皿に盛られたそれは、どう見てもカレーには見えなかった。
 ご飯も、水が多すぎたせいでぐちゃぐちゃしている。一歩間違えればお粥だ。
「……でも、味はきっといけるはず――」
 と、セレンフィリティがスプーンでカレーをすくった。
 そして口に運んだ途端、彼女は予想通りの反応を見せた。
「セレン!?」
 慌てて駆け寄るセレアナ。
 篤子たちは何とも言えない顔で彼女たちを眺めていた。

【2班】
 見た目は悪くなかった。ご飯も上手く炊けており、竹がふわっと香る。
 ただ、問題なのはそれらの上にトッピングされた……――。
「お疲れ様です、国頭先輩」
 と、トマスは武尊へカレーライスを差し出した。班を越えての接触である。
「おう、ありが――」
 それを見て固まる武尊。
 トマスが反応を伺っている背後で、ミカエラがテノーリオを睨んでいた。
「テノーリオ、あんたは星になんなさいっ!」
 と、テノーリオを勢いよく殴るミカエラ。その言葉通り、テノーリオは遠くの空へ消えていく。
 それというのも、そのカレーにトッピングされていたのは、女性用のぱんつだったのだ。
 まさに、食欲と性欲が共存した一品だった……。

【3班】
 千代とイコナの愛情がたっぷり入ったカレーは美味しかった。
 しかし、教師たちの反応はいまいちだ。
「今日はちょっと手を抜いてしまっただけです」
 と、誰に聞かれてもないのに口にするイコナ。
 そんな彼女に鉄心は優しく言った。
「十分よくできてたよ、イコナ。ティーだってそう思うだろ?」
 と、話を振られてはっとするティー。
「はい……誰かが自分の為に一生懸命作ってくれた食事は、それだけで最高です……」
 にっこり笑う二人に、思わず千代へ顔を向けた。
「そうですわよ、イコナさん。大事なのは想いです。さあ、他の班にカレーを分けにいきましょう?」

【4班】
「まったく、何で喧嘩なんかしてたのよ」
 と、ヤチェルは文句しながら叶月の前にカレーライスを置く。
「……別にいいだろ、何だって」
 どうしても言いたくない様子だった。
 すると里也が話題を変えようと、口を開いた。
「食事が終わったら、写真を撮りに行こうではないか」
 ヤチェルは全員分のカレーをよそい終え、席へ着いた。
「そうね。カナ君は罰として食器、全部洗っておいてね」
 里也の持ってきた日本酒を飲みつつ、朔がカレーを一口食べて笑う。
「うん、美味しい」

【5班】
「これは全部、不良のみなさんにあげてきてください」
 と、可憐。ちゃっかりカレーを作り直そうとしている。
「え、何で? こっちだって美味しいのにー」
 と、平気な顔で毒キノコ入りカレーを食べるアリス。
 郁乃は出来上がったカレーを見て、荀灌とマビノギオンに視線をやった。
「私なら、ここまでひどいことにはならなかったはずよ」
 と、自信ありげに言う。
 しかし荀灌もマビノギオンも、頷こうとしなかった。
「どっちもどっち、な気がします……」
「もしかするとまだこちらの方が……いえ、何でもありません」

【6班】
「うまい、うまいぜぇ! な、ホー、バーバー!」
 それは見た目も味も一般的なカレーだったが、ゲブーは大変に喜んでいた。
「うむ、なかなか美味しいのである。これはやはり、スパイスが……」
 と、うんちくを言い出すホーと反対に、バーバーは感心していた。
「へー、おいしいね! お店でも出したら喜ばれそうだね」
 満足げに食べている三人を見ていると、紅鵡たちもつられて楽しくなってきた。
「うん、一番になれるかは分からないけど美味しいよ」
「はい、皆様のために作りましたから」
「お姉ちゃん、おかわりー!」

【7班】
「最後に振りかけるこれ! これがいいんだよー」
 と、レキはガラムマサラをカレーへ振りかけた。
 途端に香りが漂い、食欲を刺激する。
「勉強になるであります」
 と、カレーを食べて頷く雲雀。ご飯もいい具合に炊けていた。
 そうして女性陣が和気藹々と食事をする中、カセイノはさっさと終わると席を立った。
「あら、おかわりは良いんですの?」
 と、尋ねたリリィにカセイノは素っ気なく返す。
「ああ、いらない。もう腹一杯だ」
 と、どこかへ歩いて行く姿に、リリィは首を傾げた。