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脳内恋人バトルロワイヤル!

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脳内恋人バトルロワイヤル!

リアクション


【一回戦第三試合】
宙波 蕪之進(ちゅぱ・かぶらのしん)
宇治原 百合子(うじはら ゆりこ)
     VS
ノール・ガジェット(のーる・がじぇっと)
アイン・キュアリス


「右コーナーからは『このキャラクターはフィクションであり、実在の人物・MCとはまったく関係ありませんッ!!!』宙波蕪之進選手&宇治原百合子カップルの登場だ!!! 続いて、左コーナーからは『機晶姫は電脳恋愛の夢を見るか?』ノール・ガジェット&アイン・キュアリスカップルの登場だッ!!!」


【蕪之進ターン】
「ほらほら、お嬢……じゃねえや。女中、さっさと俺の靴を磨いてくれや」
 蕪之進は、何故かドギマギとした様子で百合子に命令する。
 一方、百合子の方は蕪之進の方をキッと睨みつけながら、彼の靴……ではなく毛深い足をブラシで磨こうとする。
 蕪之進は抵抗できない百合子の様子をニヤニヤとした顔をしながら観察していた。
「イッテぇな! おい、女中。お前はいつご主人様の足と靴を間違えるようになったんだ?」
 お前が強制したんだろ、と言いたげな顔で百合子が蕪之進にガンを飛ばすが、彼女が抵抗できないと分かったのか、蕪之進は涼しい顔をして鼻歌を口ずさむ。


「な、なんかすげえなこのカップルは……」
 カーマインは観客席からこの様子を見て、終始ハラハラとしていた。そして、ふと前の方の席を見ると、百合子にソックリの女性がわなわなと震えながらフィールドの方を見つめていた。


「おい、もう靴磨きはいい。それより風呂に入るから、俺の背中を流せよな」
 蕪之進は日頃のうっぷんを晴らすかのようにして、百合子に向かって命令する。
「ふふ、もちろん風呂に入るんだから、お前も服を……」
と、言いかけた所で何故か蕪之進の顔が硬直し、徐々に血の気が引いていく。
「そ、そんな馬鹿な。このフィールドはプレイヤーと脳内恋人しか入れないはずじゃ?!」
 蕪之進の視線の先には、さきほど観客席にいた百合子とそっくりな女性、藤原 優梨子(ふじわら・ゆりこ)が立っていた。
「ふん、ノウ恋のシステムが感知するのはその対象者の心よ。これは仮定の話ですけれど、もし普段ご主人からこき使われている者が、その鬱憤ばらしにノウ恋でご主人そっくりの脳内恋人でプレイをしていたとしましょう。ノウ恋のシステムはその主人と脳内恋人を区別できないのですわよ。まあ、そんな馬鹿なことをする者がいるとは思えませんが……」
 そう言うと、優梨子は手の関節をパキパキと鳴らしながら蕪之進に近付いていった。
「ご、ごめんなさい!」
「ごめんで済めば警察はいりませんことよ」
「ほ、干し首だけはどうか勘弁してください」
 優梨子は満面の笑みを浮かべたまま、蕪之進の言葉を無視した。その後、少しの間会場をこの世のものとは思えぬ悲鳴が響き渡った。


「い、嫌な事件だったね……蕪之進選手の体を張ったプレイにどうか大きな拍手を!」


【ガジェットさんターン】
 ガコン、ガコン。
 重たい金属音をさせながら、ガジェットさんはやっとの思いで戦場から整備工場へとたどり着いた。
 本来ならば、無事に戦場から帰還できたことを喜ぶはずなのだろうが、ガジェットさんの表情は暗かった。彼の装甲には無数の銃痕、そして返り血がこびりついていた。
 ガジェットさんはこのたった数か月のうちに一生分、いやそれ以上の悲劇を目の当たりしていた。そして、何より一番衝撃を受けたのは、心が麻痺し、地獄のような惨劇を目撃しても自分が何も感じなくなっていたことだった。
 もう、自分は元のガジェットさんではない。そんな者をアインが受け入れてくれるだろうか? 彼はそのことを恐れ、整備工場の前から動けなくなっていた。
 どれほど時間が経っただろうか、気が付くと陽はすっかりと落ち、辺りは暗くなっていた。
「なにしてるんですか?」
 後ろから呼び止められ、ガジェットさんがハっとして振り返ると、右手にスパナを持ったアインが立っていた。
「な、なんでもないのである……」
 ガジェットさんは慌てて言い、その場を取り繕うとする。
「……そんなにたくさん傷ついて、なんでもない訳ないじゃないですか!」
 アインは悲しみと怒りが入り混じった表情で、ガジェットさんを見つめる。だが、二人の視線が合わさることはなかった。
 ガジェットさんは母親に悪戯している所を見つかった子供のように、シュンとして地面を見ていた。
「私のことがそんなに信頼できませんか? こんなことであなたを嫌いになったりする訳ないじゃないですか……」
 アインは黙ったままのガジェットさんに近付いて、そっと彼の傷だらけの装甲に触れる。
「ちょっと痛いかもしれないですけど、我慢してくださいね」
 傷み具合を確かめたアインは、持っていたスパナで、流れるような手さばきを披露しながらガジェットさんの壊れた部品を外し、どんどんと新しいものに取り換えていく。

「……アインは相変わらず器用であるな」
「あなたが小さいころから、毎日のように遊んで、傷だらけで帰ってくるからじゃないですか。ある時なんか、明らかに喧嘩した後なのに転んだって言い張って。あなたの言い訳に付き合うの苦労したんですから」
「あ、あれは相手にその……」
「ほら、もう子供じゃないんですから、言い訳は駄目ですよ」
「むう、言い訳などではないのである。ただ……アインのことを馬鹿にされたからカッっとなっただけなのである」
ガジェットさんが恥ずかしそうに照れて、言葉を濁す。
「あはは、そんなことだったんですか」
アインに笑われ、ガジェットさんは顔面パーツの表面温度が上昇するのを感じた。
「ああ、もうだから言いたくなかったのである」


「こ、これは本当にあのノウ恋なのか?! だがしかし、ガジェット選手&アイン選手感動をありがとうッ!!!」


【バトルフェイズ】
 両者のターンが終わり、パートナーにしこたまお灸を添えられた蕪之進の頭上にはブラシが、そしてガジェットさんの頭上にはスパナが浮かんでいる。
 今回は大方の予想通り、ガジェットさんのスパナが蕪之進のブラシを粉砕した。
「ほほう、私を脳内恋人した上に負けるとはいい度胸ですね……」
 優梨子は蕪之進の肩をグイっと掴み、会場の外へと連れ出した。
「いやー!? なんかされるー!? 具体的に言うと干し首にされるか血を吸われるーッ!!」
 蕪之進の悲鳴が再び会場を包み込んだのは、言うまでもない。


勝者:ノール・ガジェット
成績:3勝2敗


【一回戦第四試合】
風森 望(かぜもり・のぞみ)
アーデルハイト・ワルプルギス
     VS
月美 芽美(つきみ・めいみ)
響 静菜(ひびき しずな)


「右コーナーから『ロリばばあ万歳!!!』風森望選手&アーデルハイト・ワルプルギスカップルの登場だッ!!! そして左コーナーからは『恋と愛と、正気と狂気の境はどこかしら? ボーダーラインラブ!!!』月美芽美様とその愛玩道具の登場だッ!!!」


【望ターン】
 望はアーデルハイト様の部屋の前で、緊張をほぐすためにゆっくりと深呼吸をしてからドアをノックしようとした。
「おや、そこにいるのは風森望か。うむ、その手に持った資料の厚さから察するに、報告書の件じゃな。入ってもよいぞ」
 自分の気配を察知され、魔法で透視されてしまった恥ずかしさと名前を覚えてもらっていたという嬉しさで望の頬はカーっと熱くなる。
「し、失礼しますっ!」
「はは、なんじゃ。そんな畏まらなくても結構じゃぞ」
 望がアーデルハイト様の部屋に恐る恐る入ると、尊敬する偉大な魔法使いは、その口調と彼女が座る大きな椅子に反比例するかのように幼い容姿をしていた。

(か、可愛いな……)
 本来ならば威厳を感じなければならないのかもしれないが、望はそう思わずにはいられなかった。しかも何故か、アーデルハイト様は室内であるというのにア○ネスを挑発するかのような露出度の高い紐水着を着て、そのやや褐色な肌を惜しげもなく披露していた。
(ああもう……私ロリコンに生まれてきて良かった)
 風森は心の中でガッツポーズをしながら、アーデルハイト様に報告書の束を渡す。
「うむ、ご苦労様じゃった。だが、今は他の資料も見なくてはならなくて、忙しいのじゃ。すまんが目を通すのはまた後日になるのう」
 アーデルハイト様は書類の山を猛スピードで処理しているが、さすがに彼女にとってもこれ全部を処理するのは大変そうだ。
 その様子を見た望は、ここぞとばかりにアーデルハイト様に進言する。
「あ、あのう! もし私でよかったら予算関連の書類なら作成できると思います」
「ほお、それは本当か? そういえばお主の作った資料は毎回よく出来ておるのう。うむ、物は試しじゃ、一度やってみるがいい。ただし、言ったからにはそれ相応のハードルを超えてもらわんと困るがのう」
 アーデルハイト様はそう言うと、分厚い予算関連資料の束を望にポンと差し出す。そして、部屋の隅にあった予備の机を使って、書類作成を開始した。

(ここでアーデルハイト様の信頼を勝ち取れば……! ああ、でも失敗して失望されたらどうしよう)
 期待と不安が入り混じった表情で、望は資料に目を通し始めた。
 夢中になって作業をしていたら、気付くと部屋の窓からは赤い夕陽が差し込んでいた。
「で、出来ました!」
 興奮した面持ちで、望はアーデルハイト様に作成した予算書類を提出する。
「うーむ、出来はどうかのう……」
 アーデルハイト様は望が渡した書類を隅々から眺め始めた。
「ど、どうでしょうか?」
 望が顔色を窺っていると、しばらくしてアーデルハイト様は書類を読み終え、彼女の方へ視線を移した。
「……まだまだ細かいミスが多いのう」
「そ、そうですか……」
 望はガックリと肩を落とし、落ち込んでしまう。
「まあ、最後まで話を聞くのじゃ。たしかにミスは多いが、それはわざと難しい書類を渡したからじゃ。うむ、基本的な部分はしっかりと出来ておるのう」
「ほ、本当ですか?!」
「初めてにしては上出来じゃ、今後も精進するのじゃ」
 望が嬉しくてなって顔をあげると、さきほどまでいたアーデルハイト様の姿が消えていた。そして、代わりにモデルかと見間違うような見事なプロポーションをした妙齢の見知らぬ女性――いや、これが噂に聞くアーデルハイト様が信頼した者にしか見せないという変身モードなのだろう。
(これはこれで、むしろ大アリ!)
 望はまた新たな世界に目覚めていた。
「ほら、机仕事ですっかり疲れたじゃろう。飲み物でも飲んでもゆっくりと休むのじゃ」
 ナイスバディなアーデルハイト様がパチリと指を鳴らすと、望の机の上には入れたての紅茶が出現していた。
(し、幸せだなあ……)
 紅茶を飲みながら、望は徐々に夢の世界へと引き込まれていった。そして気付くと、アーデルハイト様に腕枕をしてもらいながらグッスリと眠っていた。
 そして、アーデルハイト様はそんな望の頭をなでなでしながら、自分も静かに眠り始めた。


「ロリばばあ万歳!!!」
 実況の叫びに釣られ、観客も一体となりロリばばあ万歳コールが会場を包み込んだ。


※※注意※※
この先、強烈なSM描写がありますので、苦手な方は飛ばしてください。


【月美ターン】
 私はいつものように、愛玩道具である静菜を部屋に呼んで、彼女の柔らかい内臓の感触を指で確かめていたわ。
「……ンア、アッアッ」
「私がちょっと、体を刺激するとすぐに反応しちゃうのね。ほら、手がお留守になっているわよ静菜」
そう窘めると、静菜は私を上目遣いで見つめながら切なそうな顔をするの。
「あなたって本当に、とんだマゾヒストね……。ほら、私にどうして欲しいかハッキリと口に出してみなさい」
 私が促しても、引っ込み思案な静菜は黙ったままなの。お仕置きとして内臓を弄りながら耳たぶを噛んでやったわ。そしたら「は、はあ……い、言います」って情けない声で呟いたの。
 でも、ここで簡単に返事をしちゃ駄目よ。私の愛玩道具には、もっと焦れてもらわないといけないの。
「つ、月美さんに愛されながら殺されたいです……」
「え? 小さくて何言ってるのか聞こえないわよ」
 私が空かしてあげると、静菜はさも恥ずかしそうに下を向くの。本当は嬉しい癖に、猫を被るのが好きなのね。

「め、目一杯に愛しながら、私を殺してください!!」
 すると、静菜は突然大きな声で叫んだの。彼女は興奮していると、たまにこういう所があるのよね。
「よく言えました。じゃ、お望み通り殺してあげるわよ」
 私はそう言うと、静菜の体をロープでイスに固定して、アイマスクを付けさせて目隠しをしたの。それから、用意しておいた釘のように先端が尖った細くて長い金属棒を取り出したわ。
 身動きの出来ない静菜の服を捲って、おなかを露出させてからその金属棒でプツンプツンって当てて、焦らしてあげたの。で、突然それを思いっきりおなかにぶち刺してあげたわ。
「は、はあああん!!」
 そしたら静菜は身をよじらせて抵抗しようとするの。もちろん、私は本当に彼女を殺すつもりはないから、内臓は避けて刺してあげたのよ。
でも、アイマスクをしていたから本当に怖かったみたいね。静菜ったら、叫び声をあげた後、気絶してジワって湯気をあげながらお漏らししちゃったのよ。
 オネンネしちゃったままだとツマラナイから、私は静菜に突き刺した金属棒の先端をライターで炙ってあげたの。5分もしたら肉が焦げる匂いがしてきたわ。
そしたらようやく静菜ったら目が覚めたのよ。私もそろそろ飽きちゃったから、金属棒を抜いてあげたの。そしたら「あ、ありがとうございます……」って彼女、お礼をするのよ。まったく、私がイジメたのに、お礼をするなんて本当に駄目な子ね。
しょうがないから、今夜はこんな駄目な静菜と一緒に寝てあげたわ。だって、一人にしたらまたお漏らししちゃうでしょ?


「…………さて、両者のターンが終了したので、決着の時です」


【バトルフェイズ】
 望の頭上にはアーデルハイト様の物とおぼしき紐水着が、そして月美の頭上には熱せられて真っ赤になった金属棒が浮かんでいた。
「「萌え萌えバースト!!!」」
 合図とともに、二つが空中でぶつかり合う。
 そして、最後に残っていたのはなんと紐水着であった。
「そ、そんな馬鹿な……紐水着強すぎる」
 むしろ勝った方の望が驚いていた。


勝者:風森望
成績:3勝2敗