天御柱学院へ

蒼空学園

校長室

イルミンスール魔法学校へ

続・悪意の仮面

リアクション公開中!

続・悪意の仮面

リアクション


第七章

「よーっし、ミーナも仮面を見つけて壊すもんね!」
 仮面が出回っている話を聞き、意気込んで仮面探しをするのはミーナ・リンドバーグ(みーな・りんどばーぐ)
 しかし、その勢いもすぐになくすことになる。
「えーっと、何かするなら見つからない方を選ぶよね! 確かこっちの方が……え」
 視界がぶれ、目の前がくらくらとする。
「何、これ……急に眠く、な……」
 ミーナは急激に襲う眠気に耐え切れず、瞼を閉じた。



「なんだか、今回の仮面騒動、結構変態的な事件が多いんだけど。服を溶かしたり、ビキニ着せたり、恥ずかしい格好させて掲示板に流したり。他にはえーっと……」
 若干辟易とした様子で、ミルディア・ディスティン(みるでぃあ・でぃすてぃん)は不平を漏らす。
「勝手に服を着替えさせて、写真撮影もあるね。しかもこれ、僕のパートナーの仕業だし……」
 榊 朝斗(さかき・あさと)はパートナーであるルシェン・グライシス(るしぇん・ぐらいしす)アイビス・エメラルド(あいびす・えめらるど)の所業に頭を悩ませていた。
「でも、朝斗さんはそれを自分で始末つけようとしているんだよね。他はこっちで何とかするから、そっちは任せたよ!」
「うん、それじゃあ」
 それまで一緒に行動していたミルディアは、そこで違う仮面を探しに離脱した。
「じゃあ、僕たちも行こうか。今回、協力してくれるって言ってくれて助かったよ」
 朝斗は背後から後を追うエッツェル・アザトース(えっつぇる・あざとーす)とそのパートナー、緋王 輝夜(ひおう・かぐや)アーマード レッド(あーまーど・れっど)ネームレス・ミスト(ねーむれす・みすと)に呼びかける。
「いえ、私も前回は仮面にお世話になりましたし。……罰ゲームみたいなものでもありますが」
「ほんとだよ! 絶対に挽回するから期待しててね!」
 エッツェルと輝夜の言葉に朝斗は苦笑をする。
「ありがとう。それとルシェンは幻覚を見せるし、アイビスも動きを止められるから気をつけてね」
「ゴ心配アリマセン。オ任セクダサイ」
「……クク、負けませんよ……」
 朝斗の注意に、アマードとネームレスは頼もしい(?)返事を返したのだった。

「さーって、今回も満足に写真が撮れました。そろそろ次に行きましょうか!」
「……了解」
 廃墟の一角から満足そうなルシェンと、それに付き従うようにアイビスが現れる。
 次のターゲットを探そうと意気込んでいると、殺気看破を張っていたルシェンは気配を感じて足を止めた。
「ようやく見つけたよ。ルシェン、アイビス。さて、そこまでにしてもらおうか」
「もし仮面を外さないというなら、少しは楽しませて頂きたいものですね」
 朝斗とエッツェルたちがルシェンたちの前に立ちはだかる。
「アイビス、ここを突破しますよ。そちらはお任せします」

「……目標、捕捉……」
 アイビスはルシェンの命令に忠実に従い、輝夜とアーマードに対峙した。
「……攻撃、開始……」
 クロスファイアをを使用するアイビス。
 咄嗟に身を伏せ、やり過ごした輝夜はミラージュで分身し、仮面目掛けて蹴りこむ。
「!」
 アイビスは驚き、ファイアヒールを輝夜に向けて乱射した。
「ちょっ」
 さすがに回避しきれず、輝夜は後方に飛ぶ。
「……分が、悪いですね……」
 間を空けようと、加速ブースターと機晶姫用フライトユニットで空中へ飛ぶ。
「逃ガシマセン」
 アーマードが六連ミサイルポッドをアイビスに向ける。
 応戦するようにアイビスも六連ミサイルポッドからミサイルを放ち、それは中間部で相殺された。
 そして、煙幕ファンデーションを投げつける。
「ちょ、これじゃあ見えないじゃん」
 輝夜が突然の視界の悪さに焦る。
「来マス」
 アーマードが注意を促す。
 それと同時にアイビスが術を放った。
「しまった……! からだが、うごかな……」
 まともに当たってしまった輝夜が悔しげに呻く。
「疾風突キ!」
 けれど、ダッシュローラーで素早さを上げていたアーマードは避けきり、殺気看破で地面に降り立っていたアイビスの方角を割り出して技を繰り出した。
「……っく!」
 アイビスはなんとかそれをかわす。
 そして、即座にファイアヒールを用いて攻撃する。
 アーマードは咄嗟に地面に伏せる。
「輝夜様!」
 アーマードの合図に、術の解けていた輝夜が駆け出した。
「真空波!」
 輝夜の放った術は、アーマードにアイビスが気をとられていたことで見事仮面に当たる。
 仮面は粉々になって散っていった。

 ルシェンは朝斗とエッツェルに対峙する。
「いくら朝斗でも、私の邪魔はさせませんから! 凍てつく炎!」
 ルシェンが技を放つ。
 それはエッツェルの方目掛けて向かう。
「おや、これくらいじゃダメージになりませんよ」
 当たったはずなのに、エッツェルは痛みを感じないようでにやりと笑う。
「では、こちらからも仕掛けさせて頂きます、よ!」
 エッツェルは楽しそうに剣を構え、斬りかかる。
「ちょ、いきなり危ないじゃないですか!?」
 ルシェンは如意棒を構えて応戦する。
「そうは言っても、あなたは穏便に仮面を外させてくれるわけではないんでしょう?」
 エッツェルの袈裟切りを、ルシェンは下から防ぐ。
 女性だろうと容赦のないエッツェルの攻撃に、ルシェンは押され気味になっていた。
「何故外さないといけないんですか! せっかくこんなにも楽しいことが出来ているの、に!」
 ルシェンは全力でかけていた力を突然緩め、エッツェルがバランスを崩した隙にダッシュローラーで距離をとる。
「へえ、僕に迷惑をかけるのが楽しいことなのかな?」
 朝斗の静かな怒りをすぐ背後に感じ、ルシェンは咄嗟に身を翻した。
「はい、終了です」
 背を向けた間に近づいていたエッツェルが、背後からルシェンを拘束する。
 そして、朝斗が仮面を取り外そうとした時、
「え?」
「仮面が……」
 仮面が勝手に外れ、飛んでいってしまう。
「悪いが、この仮面は俺が回収させてもらおう」
 その先にはレギオン・ヴァルザード(れぎおん・う゛ぁるざーど)の姿が。
 どうやらサイコキネシスを使い、仮面を手元に引き寄せたらしい。
「その仮面を何に使う気ですか? 私はまたこんな面倒なことに巻き込まれるのはごめんですよ」
 咎めるようなエッツェルの声にも、レギオンは顔色一つ変えなかった。
「別に悪用するわけでもないし、俺が付けるわけでもないない。それなら別に問題ないだろう。それに、俺の行動を他人にどうこう言われる道理もないしな」
 そうして、レギオンは背を向けて去ってしまった。
 
「さーって、ルシェン、アイビス。二人とも最期に何か言うことは?」
「わーっ! 朝斗、待ってください! 反省してますから!」
「すみません……」
 額に青筋すら浮かべる朝斗に、二人は必死に謝る。
「反省してる? 反省するくらいなら最初からやらないでほしいものだね。さて、ここはひとつお仕置きをしておこうか?」
 朝斗の死刑宣告に、夜のヒラニプラに悲鳴が響き渡ったとか、そうじゃなかったとか。

「さて、そろそろ帰りましょうか。用件は終わりましたし」
「ソウデスネ」
 エッツェルの提案に、アーマードが同意する。
 その時、輝夜が何かに気付いたのか、あっと声をあげた。
「そういえばネームレスは? 途中から姿を見かけなてないんだけど!」
 ネームレスの不在に、全員が気付いた瞬間だった。