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【蒼空のフロンティア秋祭】秋のSSシナリオ

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【蒼空のフロンティア秋祭】秋のSSシナリオ
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リアクション

 
 
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「もう泣かないの……。新しいレールガン買ってあげるから」
 ヒラニプラに着くまでめそめそしていたジュレール・リーヴェンディを、カレン・クレスティアが慰めた。
 ヒラニプラの機晶姫専門のクリニックに行くと、検査の方はごく短時間で終わった。二人の心配をよそに、運用状態や健康状態はよかったようである。
 続く足で、二人は機晶姫用のパーツショップへと入っていった。
「凄いよ、これ爆発装甲って言うんだって。追尾装置つきの武器に追いかけられても、逃げられるんだって」
 カレン・クレスティアが、分厚い装甲のサンプルをよいしょっと手にとって言った。
 とはいえ、別に虫除けスプレーのように敵の攻撃が避けて通るわけではない。チョパムアーマー(複合装甲)の一種で、装甲間に攻撃に反応して爆発してガスを吹き出す機構が仕込まれている物だ。敵の弾体や爆風が装甲を貫通して内部機構を破壊する前に、爆風で弾体の軌道を変えて弾き返してしまおうという物である。本来はHEAT弾に有効な物だ。
「それとも、やっぱりこれかなあ。ショルダータイプのレールガン。これ、両肩につけたら強そうだよね」
「うむ」
 短く答えながらも、ジュレール・リーヴェンディの顔が思いっきりにやけて崩れている。もの凄く気に入ったようだ。
 さっそく装着してもらって、試射状で試射することとなった。
機晶石エネルギー充填、ファイヤー! ファイヤー! ファイヤー!!」
 なぜか、パラ実生の形をした標的めがけて、ジュレール・リーヴェンディがレールガンを連射した。どことなく標的のシルエットが南鮪に見えるのは気のせいであろうか。
「ファイヤー!! ファイヤー!!」
 次々に直撃を受けた標的が、欠片も残さず粉砕されていった。
「ちょ、調子はいいみたいね……」
 ちょっと鬼気迫るジュレール・リーヴェンディの姿に、少し引きつりながらカレン・クレスティアが試写場の控え室から言った。
「うむ。これならいつでも本物を粉砕できるのだ」
 連射したせいで赤熱しているレールガーンの砲身から陽炎をゆらめき立たせながらジュレール・リーヴェンディが凄く嬉しそうに言った。
 
    ★    ★    ★
 
「ぜひ、冬季オリンピックに、君たちの出演を……。通訳を頼む」
 雪だるま王国に着いたイレブン・オーヴィルは、ペットの大型騎狼の上に乗ったミニ雪だるまに命じた。
「きっと、ここも会場に指定されるに違いありません。そうしたら、出場した君たちは、故郷に錦を飾ることになるのですよ。すばらしいじゃないですか。雪だるまが、パラミタを制するのです。どうです、ぜひ、私と一緒に冬季オリンピックに参加しませんか?」
 イレブン・オーヴィルの熱い説得にちょっと溶けそうになりながらも、集まってきた大勢のミニ雪だるまたちは熱心にその言葉に聞き入っていた。
 一通りの説明が終わると、何やら雪だるまたち同志でひそひそと相談を始める。
 相談がまとまったようだ。
 手看板を持ってきて、ミニ雪だるまたちが炭団で文字を書いていく。書き上がった看板を、ミニ雪だるまが掲げた。
『僕たちは、冬期パラミタオリンピックに、喜んで参加……』
 ぐしゃ!!
 イレブン・オーヴィルが最後まで看板を読み終える前に、突然走ってきたスパイクバイクが、ミニ雪だるまたちをぺっしゃんこに轢いていった。
「うわあああ、なんということを!!」
 思わず、イレブン・オーヴィルが悲鳴をあげる。
 いったい、どこの誰がこんなひどいことをと、イレブン・オーヴィルが逃げ去っていくバイクを目で追った。
 機晶キャノンをフロントカウルにセットしたそのスパイクバイクには、ショールを首に巻きつけ、見たことのある仮面を被った男がまたがっていた。仮面の眉間には、いわくのありそうな傷がある。そして、その腕には、花嫁衣装を着た女性がかかえられていた。
「クロセル、冗談が過ぎるぞ。は、放せえ!!」
 南鮪の腕の中で、まだ犯人がクロセル・ラインツァートだと思っているシャーミアン・ロウが叫んだ。
「ヒャッハー、このままハネムーンだぜえぃ。俺様の愛は無限だあ!!」
「嫌ー!!」
 暴れるシャーミアン・ロウを力で押さえ込みながら、南鮪はそのままどこまでも走り続けていった。
「クロセルさん、ついに身を固める決心をしたのですね」
 完全に、イレブン・オーヴィルが勘違いする。
「あのー、何かあったんですか?」
 粉砕された雪だるまのそばで呆然とたたずむイレブン・オーヴィルに、一人の青年が声をかけてきた。
「いえ、クロセルさんがついに結婚を……」
「なんですってぇ!?」
 訳が分からず、仮面を外したクロセル・ラインツァートが叫んだ。
「お相手は、シャーミアン・ロウさんのようですが」
「なななななななな、なんですってぇ!?」
 再び、クロセル・ラインツァートが叫んだ。自分以外のクロセル・ラインツァートがいったい何をしでかしているのだろうか。それとも、自分はクロセル・ラインツァートではないのだろうか。本物はいったい取ったなのだろう。
「誰か教えてくださーい」
 その声は、雪だるま王国中に谺して、やがて消えていったのであった。