天御柱学院へ

蒼空学園

校長室

イルミンスール魔法学校へ

【蒼空のフロンティア秋祭】秋のSSシナリオ

リアクション公開中!

【蒼空のフロンティア秋祭】秋のSSシナリオ
【蒼空のフロンティア秋祭】秋のSSシナリオ 【蒼空のフロンティア秋祭】秋のSSシナリオ 【蒼空のフロンティア秋祭】秋のSSシナリオ 【蒼空のフロンティア秋祭】秋のSSシナリオ 【蒼空のフロンティア秋祭】秋のSSシナリオ 【蒼空のフロンティア秋祭】秋のSSシナリオ 【蒼空のフロンティア秋祭】秋のSSシナリオ 【蒼空のフロンティア秋祭】秋のSSシナリオ 【蒼空のフロンティア秋祭】秋のSSシナリオ 【蒼空のフロンティア秋祭】秋のSSシナリオ 【蒼空のフロンティア秋祭】秋のSSシナリオ 【蒼空のフロンティア秋祭】秋のSSシナリオ 【蒼空のフロンティア秋祭】秋のSSシナリオ

リアクション

 ツァンダに御神楽 陽太(みかぐら・ようた)の家がある。
 妻の御神楽 環菜(みかぐら・かんな)と暮らす新居だ。
 それほど広くはないが、時価100万ゴルダ言われるだけあり、ショールームのような素敵な邸宅だ。
 白と黒でシックに統一された広々とした寝室、環菜はダブルベッドの傍らで心配そうにしている。
「……まだ熱があるみたいね」
「すみません、環菜。会社も忙しいのに休ませてしまって……」
 陽太はパジャマ姿で言った。一昨日から体調を崩し、風邪で寝込んでいるのだ。
 季節は夏から秋へ。季節の変わり目に体調を崩しがちになるのは、契約者であっても同じことである。
「……別に。今時、仕事なんて家ででもできるわ」
 その時、ピンポーンと玄関のチャイムが鳴った。
「よう、陽太。寝込んでるって聞いたけど、思ったより元気そうだな」
「お邪魔します、環菜さん。お見舞いに参りました」
 訪ねてきたのたのは、隼人とルミーナ。
 そして、途中で一緒になったと言う樹月 刀真(きづき・とうま)漆髪 月夜(うるしがみ・つくよ)だ。
「どうもご無沙汰しています。お加減はいかがですか?」
「えへへー、来ちゃった!」
 樹月 刀真(きづき・とうま)、それから漆髪 月夜(うるしがみ・つくよ)だ。
 日当たりのいいリビングに通されると、陽太もカーディガンを羽織って寝室から出てきた。
 ケホケホと咳をしつつ、陽太は嬉しそうに彼らを見る。
「皆さん、わざわざ来てくださったんですか……ありがとうございます」
「当然のことだ」
 そう言いながら、刀真は大きな紙袋を下ろした。
「一通り風邪に効きそうなものを、月夜が見繕ってくれたんだ」
 栄養ドリンクにうがい薬、のど飴、モモ缶、アイスクリーム、10秒で栄養がチャージできるゼリー、それから風邪マスク、生姜湯の材料……生姜と蜂蜜などなど。あとはゆっくり眠れるように、花束や音楽CDも用意してきた。
「こんなに……!」
「あと遠赤外線の靴下と手袋でしょ。それと額に張る冷却シートと喉の炎症を抑える薬の直接吹き付けるタイプ」
 ニッコリ微笑んで月夜はドサドサ見舞いの品を渡す。
「で最後に風邪引きのお供、スポーツドリンクだよ」
「い、色々とすみません……」
「じゃあ俺たちからも」
 隼人は持ってきたフルーツ盛り合わせを渡した。
「刀真さんの用意周到ぶりには敵わないけど、コイツで栄養つけてくれ」
「隼人さんも……いえ、嬉しいです。ありがとうございます」
「……ところで、陽太」
 ふと刀真は話題を変えた。
「風邪は大事なくて良かったが、起きていたらダメだろう。ちゃんと寝てないと治るものも治らないじゃないか」
「心配してくれて嬉しいです。でも、このぐらいなら起きてても大丈夫ですよ」
「そういった油断が風邪をこじらせるんだ」
 そう言うと、ふわりと陽太をお姫様抱っこで抱え上げた。
 鼻先をすり合わせるように見つめ合うオスとオス。二人の距離が、薄い本が出そうなほど縮まる……!
「歩けないなら、このままベッドまで運んでやろうか?」
「い、いや、ちょっとこの絵面はマズイですよ! みんな、見てるじゃないですか!」
「おいおい、おアツいじゃねぇか、お二人さん!」
 口笛を吹いて隼人もからかう。
「お、降ろしてくださ〜〜い!!」
「うわぁ、暴れるな! 冗談だ、冗談!」
 恥ずかしがる陽太を降ろし、刀真はふぅーと一息吐いた。
 ま、これだけ暴れる元気があれば、明日には元気になってるかもな……。
「……じゃあ見舞いの品も渡したし、俺達はそろそろ失礼しよう」
「え、もうですか?」
「今、お茶を入れようと思ったのに」
 環菜はそう言って、冷蔵庫からペットボトルのお茶を取り出した。
 コンビニで売ってる類いのそれが、ズラリと冷蔵庫の扉に整列しているのを、みんな見逃さなかった。
「なんか俺の思ってたよその家で出されるお茶と違う……」
「今、ちらりと冷蔵庫の中が見えましたけど、レトルトものばっかりでしたね……」
「環菜さん、結婚してもまだ料理は苦手らしくて……」
 隼人と刀真、そしてルミーナは顔を見合せた。この分じゃ、家事も陽太が大半をこなしているのだろう。
「あ、そうだ!」
 ふと、月夜が声を上げた。
「ご飯は食べた? まだなら私と環菜で作ってあげる!」
「そう言えば、まだだったわね……。じゃあ、軽くおかゆでも作ってあげるわ。月夜、手伝って」
「え?」
 陽太の青い顔が更に青ざめる。
 何を隠そう月夜の料理の腕も、環菜に負けず劣らずなかなかのもの。
 食材を劇薬に変える技のはもはや芸術の域に達している。正直、キッチンの半径10m以内にいて欲しくない。
「待て! おかゆなら俺が作る! お前たちは台所のものに何も触るな!」
「えー!?」
 現場を確保する刑事のように2人を遠ざけると、刀真は腕まくりして調理の支度にとりかかった。
 陽太の胃腸を守るため、男、樹月刀真、厨房に立つ。