リアクション
■□■3■□■ エキスポウイングにて
アスターとダイアンサスを持って、
クローラとユマは空中遊覧へと向かった。
セリオスのおかげで、2人だけで乗ることができている。
エキスポウイングは、
未来パビリオンを起点として、万博会場全体をゆっくりと周回する遊覧飛空艇である。
「ほら、あれが、さっきまで俺たちがいたところだ」
植物園も、あんなに広く感じたのに、今ではとても遠くに感じる。
「さっき、買ったんだ。
ドライフラワーもそうだが、これも長く楽しめるからな」
「どうもありがとうございます」
ポプリを手渡されて、ユマが微笑する。
しばらく、2人の間に沈黙が流れた。
「ユマ」
クローラが、意を決して言う。
「俺が非番の日に何処かつきあってくれないか」
「え?」
「いやその、つきあってくれというのは、
遊びにという事であって、交際という事では……」
しどろもどろになったクローラが、
そっと、ユマの様子をうかがう。
ユマは、どこか、さびしげな微笑で答えた。
「ええ。機会があれば……」
遊覧飛行の、機械音だけが、BGMのように、2人の間を満たす。
(ユマ?)
先ほどとは異なる、胸の疼きが、クローラを襲った。