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古代兵器の作り方

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古代兵器の作り方

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     ◆

 それは図書館にて――ダンタリオンの書は唖然とするより他なかった。
「そんな…………そんなこと、ありえんだろう」
 本を開きながら、思わず呟く。
「この本の内容……………酷すぎる。真偽の程は定かではないとして………もし事実ならば――」
 思わず喉を鳴らし、しかし直ぐ様顔をあげた。自分の許容量を大幅に越えているであろう、ありったけの声で――ダンタリオンの書はアニスを呼んだ。

「アニス!!!! 早く来てくれ!!!! アニスっ!!!!」

「なぁに? そんな大声で呼ばなくてもちゃんと聞こえてるよぉ! それより今、崩しちゃった本を直してるのぉ! 終わるまで待って――」
「そんなものは後で良い!!! こっちへ来てくれぬか!! 急いで、急いで和輝に伝えねばならぬのだ!!!」
 その尋常ではない様子に首を傾げ、やや不貞腐れながらアニスが空飛ぶ魔法でダンタリオンの書のところまで降りてくる。
「どうしたの? そんなに慌てて」
「良いか。今から私が言うことを、一言一句、違う事なく伝えるのだ!!」
「そんな難しいよぉ………アニス、難しい言葉とかちゃんとわかんないかもしれないし……………」
「心配するな。難しい言葉は使わんようにする。もし使わなくてはならない場合は何度でも言おう。さあ、早く!」
「うぅ……………わかったよぉ」
 そう言うと、アニスは和輝に向かい精神感応で語りかけた。
「かーずきっ! かーずきっ! ――うん、リオンが、急いで伝えたいことがあるんだって。で何て言えば良いの?」
「先ず始めに――」
 ダンタリオンの書がいった言葉を聞いたアニスは、そこで言葉を失った。



「何だと!?」
 和輝は声を荒げ、辺りをみまわす。
「本当にリオンはそう言っているんだな――わかった」
 懸命に落ち着こうとした和輝は、口を紡いでアニスと精神感応に集中した。
「(安心しろ、必ず帰る。必ず会えるから、心配するな。ありがとうな、リオンにもそう、伝えておいてくれ。じゃあ、後でな)」
 そこ精神感応を遮断した和輝は、直ぐ様ある場所へ向かうのだ。
「クラウン、お前はどれ程爆弾を抱えているか、知っているのか………?」
 呟きながら足を進めていた和輝の前に、不意に五人が現れる。柊 真司(ひいらぎ・しんじ)アレーティア・クレイス(あれーてぃあ・くれいす)アニマ・ヴァイスハイト(あにま・う゛ぁいすはいと)と、ライオルド・ディオン(らいおるど・でぃおん)エイミル・アルニス(えいみる・あるにす)の五名。
「………逃げ遅れたか?」
 尋ねる和輝の表情は硬い。
「まぁ、そんなところか」
「うん。逃げようと思ったんだけど、来た道はシャッター閉まっちゃってたし、そしたらそこの三人も迷ってるって言うから一緒に来たんだ」
 ライオルドとエイミルが返事を返すと、真司が和輝の表情に何かを感付き、尋ねる。
「あんたに聞いてもわかんかもしれないが、一体今、この建物ん中で何が起こってるんだ?」
「これ真司。唐突に不躾な質問をするな」
「いや、でもよ…………」
「全ては――全てを話すことは出来ないが、それでも良いか?」
 ある種、この手の話は非常に繊細なものなのだ。たったの一人でもパニックに陥れば、それは言葉や行動などを介して伝播する。そしてその結末を、和輝は知っている。故に、全貌を伝えるのは最新の注意を払わなければならないのだ。
「構わない。今は、此処で何がおき一体何に巻き込まれてるんだかが知りたいんだ」
「それは俺たちも同じだ。話してくれ」
「わかった………が、俺は先を急ぐ。どちらにせよ此処にいるのは非常に危険だ。歩きながらでも良いか?」
 五人は頷き、和輝の後を追っていく。