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ブラッドレイ海賊団2~その男、ワイバーンを駆る者なり~

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ブラッドレイ海賊団2~その男、ワイバーンを駆る者なり~

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「人の友を拉致しておいて呼び出しか……」
 紫月 唯斗(しづき・ゆいと)は呟きつつ、船が相手の船へと近付くと、隠れることなどせず、正面から堂々と、飛び移った。
 甲板へと降り立つ彼に、ブラッドレイ海賊団の団員たちが、それぞれの武器を手に、唯斗へと襲い掛かってくる。
「上等だよ。全力で叩き潰してやる」
 マスクで相手から直接見えない口元を笑みで歪ませ、唯斗は心身の調和が取れたモンクのみが体得できる必殺の拳を繰り出した。
 咄嗟のことに避け切ることの出来なかった海賊たちが、痛みを受けつつもその場に踏み止まるよう脚に踏ん張りを利かせて、甲板と履物の擦れ合う音が響く。
「この野郎っ!」
 反撃と言わんばかりに振るわれる長剣をガントレットで受けた唯斗は、その海賊の男の急所に向かって、ティアマトの鱗を握った手を繰り出した。
 強力な突きを喉元に喰らい、男は血を吐き、倒れ込む。
 追い討ちをかけるようにもう一撃、唯斗はその男に突き技を決めると、男は倒れ込んだまま、事切れた。
(前にマスト折った奴がいたけどまたやんねぇかな?)
 そう考えつつも襲い掛かってくる相手の攻撃を受け流し、唯斗は確実に彼らの急所を突いていく。
 男は例外なく全員倒していき、女は気絶させていく。



 漂流者として、ブラッドレイ海賊団の船に入り込んでいたローザマリアは、外が大分、賑やかになってきた様子を扉越しに耳をそばだてて、聞いていた。
「そろそろね」
 呟くと、超能力による破壊エネルギーを利用した攻撃で、扉を壊す。
「何をしている!?」
 見張りではないようだが、音に気付いて駆けつけた海賊が、ローザマリアへと声を掛けた。
「見てのとおりよ」
 言い返すと、無光剣を手にして、海賊へと斬りかかった。
 目に見えない光によって作られた刃では、何処から斬られるか分からず、避けることの出来ない海賊は、あっという間に倒されてしまう。
「さて、雅羅さんは何処かしら?」
 他の海賊に見つからないうちに、特殊なフィルターを貼った布を纏い、己の姿を視覚的に感知できなくすると、ローザマリアは船内を歩き出した。



 船体に開けた穴から海賊船へと入り込んだ大助と、魔鎧として彼に纏われているパートナーの七乃は、彼らを迎え撃つために船内へと下りて来た数人の海賊たちと相対していた。
「……雅羅は、攫った金髪の女は何処だ。言え」
「金髪の女? ……ああ、あいつか。あいつは、隊長の傍だ。上だろ」
 海賊たちは互いに見合わせた後、思い出したと頷いて、そう応える。
「そうか」
「おいおい兄ちゃん、何処行くんだい?」
 応え返して、歩き出そうとする大助に、海賊たちが立ちはだかりながら言った。
「ここを通りたきゃ俺たちを倒して行きなー?」
「邪魔するなら、潰す」
 低く告げた大助は、禍々しい漆黒の金属で造られた通常の鉄甲より二周りばかり大きく、見るもの圧倒させる魔拳ブラックブランドを纏った拳を海賊たちに向けて振るった。
「暗黒領域、さらに展開……! く……う、うぅぅ……っ!」
 防御力が下がるけれども攻撃力の増大には敵わない。
 七乃が絶対闇黒領域の力を使用し、大助の攻撃力を上げた。
 攻撃力の増した拳が唸り、海賊たちを倒していく。
 倒れた海賊たちに見向きもせず、無言のままの大助は、雅羅と隊長――ランスロット・オズバーンの元へと向かい始めた。



 レッサーワイバーンのガディに乗ったグラキエスは、飛び立ってきた敵のレッサーワイバーン乗りの行動を観察し、この後の動きを予測する。
「主、右方向からも1体飛んできているようだ」
 ロングコートへと姿を変えてグラキエスに纏われているアウレウスが声を掛けた。
「私が迎え撃とう」
 そう答えて、右方向から飛んでくるレッサーワイバーン乗りに向かって、ソニックブレードを乱発するのはゴルガイスだ。
 強力なその攻撃を受けて、乗り手が怯む。
 そうしているうちに、行動を観察していた方のレッサーワイバーンが突進してきた。
 グラキエスは、レプリカディッグルビーを一振りし、氷の嵐を呼び出す。
 更に彼が召喚した電気を帯びた巨大な鳥――サンダーバードが光輝と雷電の魔法を放ち、海賊が乗るレッサーワイバーンの動きを鈍らせる。
「落ちろっ!」
 再び、グラキエスがレプリカディッグルビーを振ると、天から稲妻を落とした。
「ぐわぁっ!?」
 乗り手は稲妻を受け、レッサーワイバーンの背から落ちていく。