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オオカミさんにご用心

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オオカミさんにご用心
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 村へやってきた綾原 さゆみ(あやはら・さゆみ)アデリーヌ・シャントルイユ(あでりーぬ・しゃんとるいゆ)
 昼はBBQ広場を散策。
 外が暗くなってきたら、部屋についている露天風呂で疲れを癒し、部屋に戻ってきた。
(内部進学が決まってるから、高校3年生だけどゆっくりした良い時間が過ごせたなぁ)
 さゆみは今日の事を思い出すと、笑い始めた。
「ふふ……」
「…………?」
 不思議そうにアデリーヌがさゆみを見つめる。
「ん? ああ、今日の散歩すっごく楽しかったなって。あのBBQ広場でのモモさん……すごかったよね」
「……うん…………」
 さゆみが笑顔なのに対し、アデリーヌはどこか思いつめた顔をしている。
 そのためか、さゆみの言葉に心ここにあらずな返答をしてしまっていた。
「……どうかした? もしかして、どこか具合でも悪い?」
 そんなアデリーヌの瞳をさゆみが心配そうに覗き込む。
「……ううん、違うの……」
 アデリーヌはさゆみから視線をそらす。
「……アディ?」
「私は……」
 しばらくしてからアデリーヌがようやく口を開いた。
「私はさゆみの事が好きなの……」
 アデリーヌはそこまで言うと、視線をさゆみに戻す。
「心から愛してるの……だから……」
 ぽつりぽつりと吐き出される一所懸命な言葉にさゆみは淡く微笑む。
(今まで、アディの私への気持ちが恋だってわかってた……でも、自分がその想いを向けられるに足りる存在なのかと思ったから、大切な人を傷つけたくなかったから、なかなか返事できなかった……けれど、今なら……)
 そして、さゆみはアデリーヌの手を取った。
「うん。これからもよろしくね、アディ」
 その言葉が自分を受け入れてくれたのだと理解するまでに少し時間がかかるアデリーヌ。
「手が震えてる……」
 アデリーヌの手を握っていたさゆみはその手を胸元まで上げるときゅっと自分の手で包み込む。
「だって……怖かったから……大事な人を二度と失いたくなくて……私の想いを言葉にしたら……今みたいにはいられなくなるかもって……だから……」
 そこまで言い、やっと受け入れてくれたのだと理解したアデリーヌの瞳からとめどなく涙が溢れてきた。
「でも、今は嬉しいの……嬉しくてしょうがないの……こんなにも幸せな涙があるなんて……私、知らなかった……」
 さゆみはそんなアデリーヌを引き寄せ、抱きしめるとよしよしと頭を撫でた。
 アデリーヌは、さゆみの肩に自分の頭を預ける。
「これからもずっと一緒にいようね……」
 さゆみの言葉に頭を肩に乗せたまま頷くアデリーヌだった。


 翌朝。
 一緒のお布団の中で同時に目覚める2人。
 互いに一糸まとわぬ姿に2人は少し照れている。
 横になったまま、2人は手を繋ぐ。
「……今でもちょっと、アディと結ばれたのが信じられない。でも幸せ……」
 さゆみがそう微笑むとアデリーヌもほほ笑む。
 そして、どちらからともなく、唇を重ね合わせるのだった。