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リアクション
「御姉様、お背中流しますわ」
自分の体を洗い終わった冬山 小夜子(ふゆやま・さよこ)が崩城 亜璃珠(くずしろ・ありす)にそう声をかけた。
「そう? ありがとう。お願いするわ」
「はい!」
亜璃珠にほほ笑まれ、小夜子は嬉しそうにする。
小夜子は膝立ちをして、よく泡立てたスポンジを使い、亜璃珠の背中を洗って行く。
「御姉様かゆいところなどはございませんか?」
「いいえ、小夜子が上手なおかげかしら。かゆいところなんてないわ」
「良かったです」
小夜子はゆっくりと丁寧にスポンジを滑らせる。
洗いながら、小夜子は自分の胸と亜璃珠の胸を見比べた。
(私もだいぶ成長してきたけど、御姉様にはかなわないなぁ)
「どうかしました?」
無言になってしまっていた小夜子を心配して亜璃珠が声を掛ける。
「あ、すみません……! つい、御姉様の体に見惚れてしまっていました」
「ふふ、ありがとう。でも、もうちょっとウエストを絞りたいのよね」
「そんなっ! 十分くびれてますよ! むしろこのままの方がバランスが良いと思います!」
小夜子は両手の拳を握る。
手に持っていたスポンジから泡がたくさん出てきてしまった。
「そうね……じゃあ、このまま維持しようかしら」
「ぜひ!」
小夜子はにこにこしながら洗うのを続けた。
「……あら。月が綺麗ね」
会話が途切れたところで亜璃珠は温泉に映る満月を見てしまった。
「あら? 御姉様、超感覚でも使われてるんですか?」
小夜子は急に出てきたしっぽに驚く。
よく見ると頭にはオオカミの耳も生えてきていた。
亜璃珠は急にシャワーで体の泡を洗い流す。
「御姉様、まだ途中――」
「ふふ、そんなことより一緒に温泉に入りましょうよ」
小夜子の手を取り、亜璃珠は温泉の中へと入る。
2人は向かい合う形で温泉に浸かった。
「ねえ、小夜子知ってる? 満月には不思議な力があってね。例えば満月の日には交通事故が増えたり、犯罪が起きたり、出産率が高くなったりするらしいわ」
「月……ですか?」
亜璃珠に言われ、小夜子は空に浮かんでいるまんまるい月を見上げた。
「私も何を言いたいのかよくわからないんだけど……要するに――」
亜璃珠は小夜子との距離をぐっと縮める。
近くに亜璃珠の顔が急にアップになり、小夜子は恥ずかしそうにうつむいた。
「すごくお腹が空いてるの」
亜璃珠は湯船から少し出ている小夜子のふくらみをペロリと舐めた。
「目の前にとってもおいしそうな白い桃とかピンクの可愛いさくらんぼがあるんだけど、これは食べても良いのよね? ね?」
「はい、もちろん。御姉様が望んでくださるのならお腹いっぱい食べてください」
「ふふ、良い子ね……」
亜璃珠は妖艶にほほ笑むと小夜子の柔らかな胸を下から持ち上げる。
お湯の上に出てきた可愛いさくらんぼを口の中へ――。
(ああ、この瞬間だけは……御姉様は、私だけの御姉様ですわ)