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リアクション
「はい♪ お茶はいったよ」
浴衣姿の遠野 歌菜(とおの・かな)は同じく浴衣姿の月崎 羽純(つきざき・はすみ)に湯呑みを手渡す。
「ああ、ありがとう」
歌菜は縁側に座っていた羽純の隣に腰を下ろした。
2人でまったりと庭の山茶花の赤と水琴窟の音色を楽しむ。
(羽純くんから良い匂いがする……)
歌菜が羽純の方へと向けると、ちょうど羽純もこちらを向いたところで目が合った。
「歌菜……良い匂いがするな。シャンプーか?」
「えへへ。羽純くんもだよ」
羽純は笑いかける歌菜の肩を抱き寄せる。
突然の行動に歌菜は嬉しそうに微笑むと羽純の肩に自分の頭を乗せた。
「羽純くん……月が綺麗だよ」
「そうだな……」
「あ……ほら、お茶に映った満月もキレ……イ……」
「歌菜……?」
湯呑みの中の月を見つめたまま固まってしまった歌菜を心配そうに見つめる羽純。
すると、歌菜の頭からオオカミの耳が生え、お尻からは可愛いもふもふのしっぽが出てきた。
「歌菜? 超感覚でも使っているのか……?」
「なんの事?」
歌菜は小首をかしげ、潤んだ瞳で羽純を見上げる。
「ね……羽純くん」
湯呑みを横に置くと、歌菜は羽純の湯呑みも取り上げ、自分の湯呑みの横に置く。
「どうしたん――」
「羽純くんのこと……いただきます♪」
そう言うと歌菜は羽純の口を自分の唇でふさいでしまった。
「ん……」
歌菜は求めるように深いキスをする。
(どういうことかはわからないが……こんな歌菜もかわいいな)
求められるまま羽純も歌菜を受け入れる。
歌菜の手が羽純の首の後ろに回る。
一度、唇を離すと歌菜は羽純の唇をペロリと舐めた。
歌菜は悪戯っぽく笑むと、もう一度唇を重ね合わせる。
(ここからは誰にも見せるわけにはいかないからな)
羽純はキスをしたまま歌菜をお姫様抱っこすると、立ち上がり部屋の中へと入っていく。
羽純は使えない手の代わりに左足で障子を閉めたのだった。
翌朝。
目を覚ました歌菜は同じ布団の中にいる羽純くんの寝顔を見て、昨夜の事を思い出す。
「う……あ……」
(私……私……なんてことをーー!)
顔を真っ赤にしていると、歌菜の声に気付いた羽純が目を開けた。
「おはよう」
「おはよ……う……」
歌菜は羽純の顔を見ることが出来なくなって、背中を向けると、そのまま掛布団にくるまってしまった。
羽純は寝ころんだまま歌菜を後ろから抱きしめる。
ちょっとだけ上体を起こすと、歌菜の耳元に顔を近づける。
「積極的な歌菜も悪くなかったぞ」
「い、言わないで……!」
さらに顔を赤くする歌菜だった。
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