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幼児化いちごオレ

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幼児化いちごオレ
幼児化いちごオレ 幼児化いちごオレ

リアクション

 頭に浮かぶのはあどけない少女の笑顔。出逢った時から忘れることなど出来はしなかった、何者にも代えられない唯一の人――。
「お兄ちゃん!」
 矢上マシュアは我に返った。顔を上げて声のした方を見ると、パートナーであるチェリッシュがこちらへ駆けてくるところだった。
「チェリッシュ! またお前は、勝手にどこか行って……」
 と、安堵のまじった溜め息をつく。そしてマシュアは気がついた。チェリッシュの後ろに一人の男性がいたことに。
「……妹が迷惑かけたみたいで、すみません」
 と、ベンチから腰を上げて彼へ頭を下げる。ぎゅっと腰に絡み付いてくるチェリッシュの頭を片手で撫でると、マシュアは少女へ言った。
「あれほど駄目だって言っただろ? 今度ははぐれるんじゃないぞ」
「ごめんなさーい、お兄ちゃん」
 彼女に反省の様子は見られなかった。いつもこうだ。
「でもね、あのお兄さんたちがここまで連れてきてくれたんだよ」
 と、声を上げるチェリッシュに笑みを返すと、その青年がようやくマシュアの前まで来た。
「ひとつ、聞きたいことがある」
「え? 何でしょう?」
 マシュアはじっとこちらを見つめてくる彼を半ば無意識に観察する。身長は自分に比べて十センチほど高く、金髪碧眼で容姿が整っていることから守護天使だろうと思われた。
「……そいつ、俺のパートナーにそっくりなんだ」
 と、彼がチェリッシュに目を落とした。無邪気に見上げたチェリッシュの顔をマシュアも見て、それまで断片だった予感が一つの形に納まる――。
「お前は『松田ヤチェル』を知ってるか?」

 朔とつないでいた手に力が入った。
 ヤチェルは近くの茂みに身を隠し、息を潜める。聞こえてくるのは叶月が誰かに何かを問う声――。そして問われた方は静かに答えた。
「うん、知ってるよ」
 叶月が溜め息をこぼした。
 幼い心臓がドキドキと脈打つ。ヤチェルの戸惑いを感じて、朔はただ手を握り返す。
「俺の生き別れた妹だ」
「……じゃあ、そいつは?」
「二人目の妹、かな。チェリッシュは俺の命の恩人で、ヤチェルと同じくらい大切な人だよ」
 黒い瞳が涙で濡れる。音を出さないよう、服の袖で両目を隠す。
「それにしても、あの子がこんなところにいるなんて思わなかった。まさか、君みたいなパートナーまでいるなんてね」
 叶月が舌打ちをする。
「聞きたいことはたくさんある。けどな、俺は彼女がどれだけ――」
「また今度、来るよ」
「は……?」
「俺は矢上マシュア。君の名前は?」
「……っ、由良叶月だ」
「分かった。じゃあ、次に会う時はあの子も連れてきてね。さあ帰ろう、チェリッシュ」
 足音が遠ざかっていく。地面を踏む大小二つの足音が、遠ざかって遠ざかって――そして。
「ごめんなさい、カナ君っ」
 茂みから出てきた探し人を見て、叶月は目を丸くした。
「お、お前……聞いてたのか?」
「うん。だから、ごめんなさい!」
 と、ヤチェルはパートナーへ泣きついた。その小さいままの背中に腕を回し、ぎこちなく撫でる叶月。
「……今なら、まだ追いつくぞ」
「ううん、つぎでいい。お兄ちゃんがそう言ったなら、あたしはそれまでまってる」
「……そうか」
 可愛いだとか、愛おしいだとか、そう思うのは自分の勝手だ。ただ、それが彼女にとって望むものでないのなら、伝えることが怖くなる。
「俺も、ごめんな。勝手に写真、撮って……」
 見慣れた茶髪を優しく撫でた。
 妹だとか、パートナーだとか、そんな言葉で鍵をかけていたのは自分だ。だけど、今の彼女には兄がいる。そう分かった今だからこそ、彼女を支えてやらなきゃ――。
「か、カナ君!?」
 小さな彼女を抱きかかえ、至近距離で叶月は告げた。
「俺、ずっとお前についていくから」

「ぎゃあああああああ!!」
 謎の女生徒Aは校内を全力疾走していた。
「そんなスピードで逃げ切れると思っているのか?」
 追いかけてくるのは毒島大佐(ぶすじま・たいさ)だ。トレルの携帯電話へメールを入れて自分の現在地を知らせ、じわじわ追い詰めた結果がこれだった。
「っ、運動不足なんだからしょーがないだろおおお!」
 すでにトレルの息は切れている。
 大佐はにやり微笑むと、あっという間に横へ並んだ。
「さあ、大人しく捕まって――」
 と、大佐は言いかけて足を止めた。構わずに走り続けたトレルは数メートル先で網にぶつかる。
「うおー!? ちょ、これ、何だよっ」
 じたばたと抵抗するトレルの前に現れる二人の少女。
「今回ばかりは……今回に限らないけど、さすがにやりすぎなんじゃない?」
 セレンフィリティとセレアナだ。
「うっ……何だよ、お前ら」
「いちごオレに薬を混ぜたのはあなたでしょう? どうしてこんなことをしたの?」
「ハロウィンはとっくに終わってるし、トリック・オア・トリートですまされるにはいささか規模が大きすぎるわよ?」
 てくてくとこちらへ歩いてきた大佐は、少女たちの様子を傍観していた。
「それは……その……ごめんなさい」
 と、トレルは抵抗を諦めて謝った。だが、少女たちが頷くわけもない。
「こっちは理由を聞いてるの、ちゃんと答えなさいよ」
 ぷいっと顔を逸らし躊躇うトレル。素直に言ったところで信じてもらえるとも思えず、他の上手い言い訳を考えていた。
 するとそこへ、秋日子と要がやってきた。
「そうだよ、トレルさん! わけを話してくれないなら、要の似顔絵をプレゼントしちゃうんだから!」
「え?」
 何も聞かされていなかった要が戸惑う。
「ほら、描いちゃって」
「わ、分かりました……」
 何故そうなるのか分からなかったが、秋日子に促されて絵を描き始める要。
「そんなの、脅しにもなんないよ」
 と、トレルは言ったが、数分後それを後悔することになる。
 目の前に突き出されたそれを見て、背筋がぞわっとした。トレルに似ていないのは確かだが、それよりもその絵の中の人物とばっちり目が合ってしまったのだ。加えて、不気味な雰囲気に仕立て上げられているため恐ろしい。
「さあ、話す気になった?」
「……ご、ごめんなさい! ただのミスなんです、事故なんです!」
 ついにトレルは白状した。一同が怪しむ中、事のすべてを吐く。
「父さんが新商品作るって言うから、その時手元にあった幼児化する薬を渡したら、何故だかこんなことになっちゃって、マジで俺は悪くないんですっ!」
「……何よ、それ」
「お父さんってことは、社長よね? そんな馬鹿な話が……」
「じゃあ、トレルさんが解毒薬を配り歩いてたのは?」
「回収しようとしたんだけど、一足遅かったんだよ。だから、せめて尻拭いしようと思って」
 それぞれが思い思いに溜め息をつく。彼女が犯人であることは確かだが、どちらかというと事故だったわけだ。大手企業の社長、目賀家の大黒柱でトレルの父・目賀光(めがひかる)の過保護っぷりはついにこんなところまで影響してしまったようだ。
「よし、話は分かった。次はお仕置きだな」
 と、ふいに大佐が動き出し、トレルを網から出してやるなりロープで縛り始めた。
「ちょ、何するつもり!?」
「いいから来い」
 と、トレルをずるずると引っ張っていく大佐。彼女の持っていた解毒薬はすべてその場に置いてきている。
 何をされるのかとびくびくしているトレルだったが、曲がり角を少し行ったところで、ぱっと手を離された。
「?」
 すぐにロープからも解放されて戸惑うトレル。
 目の前に立った大佐の様子を注意深く眺めていると、大佐は予想の斜め上を行く行動を取り始めた。
「っ、何して……やめっ、ぎゃー!」

   *  *  *

 放心状態のトレルを見つけ、唯斗は問う。
「何があった?」
「ぱんつ、取られた……」
 床に座り込んでいる彼女が遠い目をする理由がよく分かった。
「まぁ、しょーがないんじゃね? で、何でこんなことしたんだ? もう解決したみたいだし、聞かせてくれるか?」
 と、唯斗は彼女の隣に腰を下ろした。
「……事故なんです。父さんに幼児化の薬を渡したら、それが何故か新製品に組み込まれていて……私はその、尻拭いをしていただけなんです」
「ふーん……? で、トレルはお仕置きされちゃったわけだ」
 唯斗はおかしそうに笑い声を上げた。友人としてともに過ごしていく中で、唯斗はトレルを妹のように思い始めていた。それにしては少々手間のかかる妹だが、それがまたおもしろい。
 トレルの頭をぽんぽんと撫でて、唯斗は励ました。
「ま、どうにかなって良かったな。次からは気をつけろよ?」
「……ゆいと」
 ちらっと彼の顔を見て、トレルはほんの少しだけ微笑んだ。

 一度しゃべり出すと延々と話し続けるグロリアーナ。一方の菊はそんな彼女をたしなめたり叱ったり、見た目とは裏腹のことをして言い争いになっている。
「二人とも、解毒薬が見つかったんだから口を閉じなさい」
 と、ローザマリアはパートナーたちへ言った。
「……」
「……」
 じっと睨み合って、それぞれに顔を逸らす二人の少女。ローザマリアは、何だか不思議な気分になって二人の頭を順に撫でた。
「貴方達は、神様が私にくれた最高の贈物よ。みんな大事な、私の子たち――嬉しい時、悲しい時は勿論、辛い時、悲しい時も私をお母さんと思って頼ってくれていいのよ?」
 元に戻ってしまったら、決して伝わることのない言葉だった。しかし、ローザマリアもやがては母となる身、その時のための試練なのだと彼女は割り切っていた。
 小さく頷くグロリアーナと菊。不思議なことに、パートナーが本当の母親だと錯覚しそうになる。
 ローザマリアは、それから二人をぎゅうと抱きしめ、溜め息をついた。
「……さあ、お薬飲みましょうか」

 チャイムが鳴り響く。
 やるだけやって疲れきったつかさは、両目を開けてびくっとした。
 そばに寝ていたのはシズルだった。しかも彼女もこちらを見て目を丸くしている。
「……つかさ?」
「シズル……」
 先ほどの少女の顔を思い出し、シズルは言う。
「もしかして、さっきの子どもって……」
 つかさもまた、それを思い出して言い返した。
「知られてしまいましたわね、シズル」
 むくりと起き上がり、乱れた衣服を整えながらつかさは口を開いた。
「ごめんなさい、あんな姿……さぞかし驚かれたでしょう? ですが、あれは私……幼い頃は、あれが生業だったのです」
「……そうだったの」
 シズルも身体を起こし、その場にぺたんと座り込んだ。
「それでも、それを含めて私ですから」
 と、戸惑っている少女へ振り返るつかさ。そっと手を伸ばして顔を上げさせると、はっきり告げた。
「私のすべてを、知っていてもらえませんか?」
「すべて……を?」
「はい。私の嫌な過去も、今の私も、すべてをシズルには知っていて欲しいのです」
 シズルはそっとつかさの手をとった。
「そうね、もうこうなってしまったら仕方ないわよね」
 と、まだどこか不安そうな表情で微笑む。
 つかさは胸が痛むのを感じながら、それまで彼女へ向けてきたいつもの笑みを返した。

「郁乃様、元に戻りまし――」
「わーん、桃花ぁ!」
 解毒薬を飲んで幼児化から解放された桃花に郁乃は勢いよく抱きついた。
「ちょっと郁乃様、そんなにはしゃがなくっても……」
 と、彼女を抱きしめ返す桃花だが、郁乃の発した次の言葉に耳を疑った。
「やっと会えた、わたしのおっぱーい!」
 その場にどさっと押し倒され、胸に顔を押し付けられる。やわらかなおっぱいが揺れて、揺れて……。
 真っ赤になって身動きが取れなくなっている桃花に構わず、郁乃は満足するまでおっぱいを堪能するのだった。
 ――後に荀灌は、こう語っている。
「お姉ちゃんはケダモノです! 世界の平和のためにも、桃花お姉ちゃんにはいつもと同じでいてもらわなきゃいけないんです」

 解毒薬をもらって戻ってきた刀真は、玉藻の隣へ座って小瓶をテーブルの上へ置いた。
「もうすこしこのままがいい。玉ちゃん、いいにおいがするもん」
 と、月夜が意見し、玉藻は刀真を見た。
「それは構わないが、我は疲れた」
 ぽすっと刀真の肩へもたれかかる玉藻。
 刀真は無言で彼女を受け入れた。――解毒薬を使うのは、もう少し後にしよう。
 ぼーっと食堂の天井を見つめ、玉藻は静かに口を開く。
「刀真、月夜……お前たちと過ごす毎日が楽しい。お前たちがそばにいてくれるから、我は独りでも寂しいと感じない……」
「玉藻……それは俺もだよ。玉藻や月夜がいてくれるから、俺はまだここにいられる。お前たちがいなかったら、俺はとっくにどこかの戦場で死んでいるよ」
 ちょっぴり冗談交じりに言う刀真。
「これからも、変わらずいてくれると嬉しいな」
 と、玉藻が言うと、刀真は微笑んだ。
「ああ、俺も玉藻たちがそばにいてくれると嬉しい……これからもよろしくな」
 それとなく目を合わせる二人を見上げ、月夜も口を挟んだ。
「わたしも、玉ちゃんといっしょにいられてうれしい。もちろん、刀真ともだよ」
 あどけない顔で笑う月夜を見て、玉藻は笑った。
「ありがとう。二人で我の夜の相手もしてくれると嬉しいぞ?」
「玉藻、夜の相手とか調子に乗るな……俺にも事情がある」
 と、苦笑しながら刀真が玉藻の耳を引っ張った。
「っ、いたいいたい……刀真、痛いよ」
 半笑いで睨んでくる彼女に刀真は呆れた溜め息をつくと、手を離した。

 騒動も落ち着き、ほぼすべての被害者に解毒薬が回った放課後――。
 さすがに反省した様子の桜だったが、あまりにもアルフが可愛いかったために忘れていた。
「桜……明日のテスト、楽しみだなぁ……?」
「……え、明日の――って、あー! 忘れてたぁ!」
 はっとする桜に構わず、元の姿に戻ったアルフは次にロランアルトを見る。
「ロランアルト……今からお前の畑、焼け野原にしてやるよ……」
 背筋がぞわっとして、ロランアルトはとっさに叫んだ。
「ひぃ! そ、それは堪忍したってぇー!! さっきのは謝るから、どうかそれだけは……!」
「僕も謝る! だからお願い、数学教えてください、教官ー!」
「……ふん」
 アルフは冷たい笑みを向けると、さっさと二人へ背を向けた。

「どうにか効果が出たみたいですね」
 と、近遠はほっと胸を撫で下ろした。
 幼児化していたイグナは元の姿へと戻り、その他の異常も特に見当たらなかった。
「ああ。それで、その解毒薬はどうするつもりなのだ?」
 と、イグナは問う。
 近遠の後ろには、少々多めに作りすぎた解毒薬が置かれていた。
「せっかくですし、他の方々にも配るというのはどうでしょう?」
「そうですわね。少しでも早く解放してあげましょう」
 アルティアとユーリカが近遠の背を押した。
「……分かりました、そうしましょう」
 手頃な瓶に薬を入れ、近遠たちは廊下へ出た。
 数時間前とは打って変わり、生徒たちは謎の女生徒が捕まったという話で持ちきりになっていた。幼児化した生徒も先ほどより少ない。

「ねじゅちゃん、大丈夫ですか?」
「うん……ごめんね、水穂さん」
 ようやくトイレから出てきたネージュを再び背に乗せ、駆け出す水穂。
 周囲の様子が変わっていることに気づき、ネージュは呟いた。
「うそ、はんにんつかまっちゃった?」
「どうやら、そのようですね。解毒薬はどこでもらえるでしょうか?」
 駆けるのをやめ、水穂はゆっくり歩き出す。
 すると二人の前に近遠たちが現われた。
「解毒薬をお探しですか?」
 と、ネージュへ差し出す近遠お手製の解毒薬。
「ボクの作った薬で良ければ、どうぞ」
「わー、ありがとう!」
 やっと出会えた解毒薬! ネージュは床へ降ろしてもらうと、さっそく薬を流し込んだ。

   *  *  *

 結局、彼女に本当の想いは伝わらなかったらしい。
 更衣室の向こうで緋雨に着せ替えされているヤチェルに、叶月は複雑な思いをしていた。
「ヤチェルさん、可愛い!」
「え、ちょっと緋雨ちゃん、この服はあたしなんかじゃ……」
「ううん、すっごく似合ってる! ほら、このスカートも着てみて」
「ちょ、緋雨ちゃん!?」
 漏れ聞こえてくる少女たちの笑い声。楽しそうなのは良いが、その分だけヤチェルの気持ちが分からなくなってくる。
 ただでさえ、マシュアと自分のどこが似ているのか共通点を見出せなかっただけに複雑だった。背丈は違うし髪の色も顔も、声に雰囲気ですら、何一つとして一致しない。強いて言うなら、彼女とあまり似ていなかったことくらいか。大まかなパーツは似ていたが、彼女と決定的に違うパーツが――。
「ど、どう? カナ君」
 カーテンを開けて出てきた彼女を見て、叶月ははっとした。
「あたし、似合ってるかしら?」
「……」
 襟の広い柔らかなシフォンのブラウスに深緑のミニプリーツスカート、靴は膝下まであるブラウンのブーツだ。
 叶月は視線を逸らした。その様子を見た里也と朔が意味深に微笑む。
「っ、に、似合ってる……すごく」
「カナ君……無理しなくていいのよ?」
「無理してねぇ! お、俺は本当に、その……」
 と、口ごもった叶月は、やがて顔を赤くして廊下へ飛び出していった。
「もう、カナ君ったら……別に、いいけど」
 ヤチェルはくすっと笑みを浮かべた。彼が素直じゃないのは初めからだ。でも、最初に出逢ったあの時より、彼は丸くなった。優しくなった。他の人とも打ち解けるようになって、良い方へ変わった。――それなら自分は? 自分は何か、変わっただろうか?
「……緋雨ちゃん、まだ他にもあるの?」
「もちろん。ショートカットに似合う洋服、たくさん持ってきたわ」
 変わったはずだ。今は心を許せる友人たちがいて、兄を求めて泣いていたあの時よりも寂しくない。それに兄は生きていた。兄にもパートナーがいて、あの子が兄を助けてくれた。
「ねぇ、だけど……」
 カナ君は? 彼は自分にとってどんな存在だっただろう? 彼のおかげで今があることは理解できるけれど、それは……ただのパートナーだったからじゃ、ない?
「どうしたの、ヤチェルさん」
「……う、ううん、何でもないわ」
 胸がドキドキしていた。これはもしかすると、もしかして……?
「変、だわ……あたし」

担当マスターより

▼担当マスター

瀬海緒つなぐ

▼マスターコメント

参加してくださった皆様、お疲れ様でした。
そうでない方もここまで読んでくださり、ありがとうございます。

台詞がひらがなばかりで読みにくかったかもしれませんが……幼児ですので、許してください。
それと今回は諸々あって、称号はGA称号含め配布しておりません。ご了承下さいませ。

それでは、またの機会にお会いしましょう。
ありがとうございました!

▼マスター個別コメント