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THE RPG ~導かれちまった者たち~

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THE RPG ~導かれちまった者たち~

リアクション

 一方、如月 玲奈(きさらぎ・れいな)たちのことも忘れてはいけません。
「ガアアアアッッ!」
 ドラゴン役の真田 幸村(さなだ・ゆきむら)が吼えます。
 人間の姿から、巨大なドラゴンへと変貌していくではありませんか。しかも、クリスタルで走行を覆われた光り輝くドラゴンです。
 これは強そうです。いかにもボスキャラです。
「なぜだ」
 彼は言います。
「なぜ、誰もこの俺をそっとしておいてくれない!」
「それは、キミが特別なドラゴンだからよ!」
 玲奈は待ってましたとばかりに戦い始めます。
「OH! これはエキサイティングね。ミーたちも加勢するヨ!」
 騒ぎを聞きつけてやってきたのは、ジョセフ・テイラー(じょせふ・ていらー)です。
「……というか、あなた今までどこにいたのですか?」
 ミオが半眼でジョセフを見やります。ジョセフは王女ミオのお守りとしてついてきていたのですが、いつの間にかいなくなっていたのです。
「敵にバインドされたプリンセスを探していたのデ〜ス。心配しましたか、ミオ? ですが、このクールなミーが来たからにはもう安心デ〜ス」
 げしり!
 ジョセフはミオに蹴られてしまいました。なぜでしょうか。
「とにかくあのドラゴンを倒しますわ。勇者様たちがまだですけど、前もって秘宝を手に入れておくのも悪くはないでしょう」
ミオは、すでに魔鎧 『サイレントスノー』(まがい・さいれんとすのー)を装着しています。さっきのようなグダグダはもうないでしょう。
「なら、ミーにおまかせくださ〜イ」
 ジョセフは、キリリとドラゴンに向き直ると即死魔法を唱えます。
 ドラゴンには効かなかった。
「ノォォォォッッ! どういうことデスか?」
「どうもこうも、あの手の中ボスに即死魔法は効かないのが定石でしょう」
 ミオは戦いながら答えてくれますが、ジョセフは聞いていないようです。
 ジョセフは即死魔法を唱えた。 
 ドラゴンには効かなかった。
「BOOOOOO! SHIT! ナンテコッタ〜イ!」
「あなた、本当にいい加減にしなさい!」
 キレる寸前のミオ。
 そこにようやく、勇者たちがやってきます。
 ガラガラと馬車まで引き連れて凄い勢いです。
「お待たせしました! 後はお任せください!」
 聖剣を手に入れた朱鷺はこれまでとは一味もふた味も違います。さっそく試し斬りとばかりにドラゴンに斬りかかります。
 勇者たちがやってきたことで、一気に形勢は変わりました。
 幸村のドラゴンも頑張るのですが、いかんせん戦力が違います。
 やがて。
「これで、終わりよ!」
「グアアアッッ!」
 玲奈の攻撃により、とうとうドラゴンは力尽き倒れてしまいます。
「くくく……、よくぞ俺を倒した。よかろう、止めをさすがいい……」
「いい覚悟ね」
 玲奈が剣を振り上げたときでした。
「ま、待て。待つのだ……!」
 向こうから駆け寄ってきたのは、囚われお姫様の柳玄 氷藍(りゅうげん・ひょうらん)です。
 傷つき動けなくなった幸村ドラゴンを庇うように抱きしめながら勇者たちに言います。
「すまぬ。このドラゴン、根は悪い奴ではないのだ。俺が勝手に奴を挑発してしまっただけで、その……」
「わかってるわ。本当に憎しみを持っているわけじゃないもの」
 玲奈は武器を収めます。
「首にかかった秘宝なら、くれてやるから持って行くがいい。それで静かになるなら構わん。少々疲れた。休ませてくれ……」
 幸村ドラゴンの台詞通り、勇者たちはとうとう第一の秘宝を手に入れたのでした。
 勇者は『ドラゴンの秘宝』を手に入れた。
 パラララッパラ〜ン! と効果音が響きます。
「いや、ちょっと待ってください。秘宝はさっき手に入れましたよね?」
「こっちが本物」
 とカルキノス。一方幸村は。
「どっちでもいい。じゃあ、多分俺のほうがニセモノなんだろう」
「なんだが、どちらも本物に見えてきました」
「……」
「両方持って行けば?」
 とルカルカ。なんだか、グダグダです。もうそうしましょう。
「もう、遅かったじゃないですか。私たちだけでクリアしてしまうかと思いましたよ」
 ミオが少々不機嫌そうに言います。
「申し訳ありません。色々と込み入った事情がありまして」
「罰として、仲間に加わってあげます。面白そうですし」
「あ、それなら俺もついていってやってもいいぞ、もちろんこいつも含めてな」
 氷藍は、お姫様らしくかわいく微笑みます。
「デュヒヒヒ〜ン!」
 文句を言うのは、馬車の積載重量が増える、第七式・シュバルツヴァルドだけのようです。
 あっという間に、仲間が増え、勇者たちはさらに冒険を続けることになります。
「ふふふ、お元気で……」
 玲奈に見送られ、一行は洞窟からさらに旅立っていくのでありました。

 ん、そういえば、何か忘れていませんか……?