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第七章 出来立て! 雑煮大会

「よし! 全員席につけ!!」
 広場に響き渡ったセレスティアーナの声に、雑煮大会の参加者全員がぞろぞろとテーブルに集まってきた。
 立ち寄った調理場で餅をつまみ食いしてテーブルに向かおうとしたセレスティアーナの前に、にっこりと笑いながらベアトリーチェが立ちはだかる。
「今日はセレスティアーナさんがみなさんにお雑煮を配ってあげてくださいね」
「なんだと!?」
 振り返ったセレスティアーナが見たのは、もち米モンスターとの戦闘により荒れに荒れた広場を微笑みながら見つめる調理班のメンバーと、困ったように笑う理子とアイシャの姿だった。
「わ、わかった! 配ればいいのだろう、配れば!!」
 そう言うと、お盆に大量の椀を乗せテーブルへと向かう。
「ほら、雑煮だ!」
 あくまで上から目線で雑煮を配るセレスティアーナの姿に、テーブルは柔らかい笑いに包まれる。
 理子は陽一と美由子、美羽と共に巨大チキン捕獲時の話に花を咲かせながら雑煮を片手に歩きまわり、完成したレキやミアたちの作品に感嘆の声を漏らした。
「たれちゃん、お餅美味しくできたねー! お雑煮以外もいっぱいあってどれ食べたら良いのか迷っちゃうね!!」
「ああ。俺もこんなにいろんな種類を一気に食べるのは初めてだ」
「ねえねえ、これも食べてみて」
「うんうん、このバター醤油も美味しいー!!」
 ライゼが差し出したバター醤油の餅を、ルカルカは頬張ると全力で頷いた。
「アイシャも食べてみるか?」
 垂が餅を取るとアイシャの皿にも乗せた。アイシャはお礼を言うと少しずつ口に含む。
「アイシャ殿のように、もっと静かに食べたらどうだ?」
「うう、だって美味しいんだもん」
 淵がルカルカをからかう。
「本当に美味しいです。みなさんで一緒に作ったからですね」
「そうだな」
 アイシャの言葉に同意する垂。それを見たルカルカは突然残った餅を使って即席のオロシ餅を作った。
「ルカの田舎の名物なの」
「これは旨いな」
「美味しい!!」
 淵とライゼが同時に声を上げた。
「あっさりしていて、食べやすいですね」
 アイシャも手を伸ばし、オロシ餅を口に入れる。

 一通りの料理を食べ終えたセレスティアーナと理子はテーブルの端からそんなアイシャの姿を見て、顔を見合わせると頷きあうのだった。
 
 何もなかったかのように片づけられた広場の前に、アイシャとセレスティアーナ、理子が立つと騒がしかった会場が自然と静かになる。
「本当に、ありがとうございました。とても楽しかったですし、美味しかったです」
「みんなのおかげで良い雑煮大会ができたよ。ありがとう。また機会があったら何かやりたいね」
 アイシャと理子の挨拶に会場から拍手が起こる。
「なかなか楽しい餅つきだったな!」
 が、最後にそう締めたセレスティアーナに一斉に笑いながらブーイングが巻き起こった。
「ええい、解散だ、解散っ!!」
 セレスティアーナの声を合図に、参加者たちはみな帰路につく。

「ありがとう」

 3人だけになった広場で、セレスティアーナがぼそりと呟いた。

担当マスターより

▼担当マスター

花井詠巳

▼マスターコメント

こんにちは。花井です。この度はご参加いただき誠にありがとうございました。
同時進行でいろいろな事件が起こりましたが、お楽しみいただけましたら幸いです。
なお、数名の方には称号を付けさせていただきました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。