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学生たちの休日8

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学生たちの休日8

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新しき年、ツァンダ

 
 
「さあ、かまくら作るぞー!! みんな、がんばろうね
 芦原 郁乃(あはら・いくの)が、気勢をあげた。
「できあがれば、桃花のお餅が待ってるよぉ〜!!」
「皆様、怪我に気をつけましょうね
 芦原郁乃のハッパに、秋月 桃花(あきづき・とうか)がつけ加えた。
「えーっと、かまくらってなんですかあ?」
 家の前に積もった雪を、一所懸命スコップで集める芦原郁乃を見ながら荀 灌(じゅん・かん)が訊ねた。ほうっと、両手に息を吹きかけてこしこしする。
「かまくらというのは、雪で作ったお家のことよ」
 秋月桃花が説明する。
「そう、そして、その雪の家の中には、桃花のお餅が私たちを待っているのだ! いえーい!」
 芦原郁乃が決めつけた。
「本当?」
「ええ、特別にお汁粉もつけちゃいましよう」
 確認する荀灌に、秋月桃花が答えた。
「やるっ! やってやるです
 そう叫ぶなり、神速で雪を積みあげている芦原郁乃の横で、荀灌が実力を行使して手伝っていった。
 あっという間に雪が集められて小山となる。はっきり言って、そばに立っている家と同じぐらいの大きさだ。
「このくらいでいいですかあ?」
「ええっと、ちょっと大きい……うん、このくらいないとね。ははははは……」
 ちょっと巨大になってしまったが、まあいいだろう。
「てててててててぃっ!」
 破壊しないように注意しながら、芦原郁乃が拳で雪山を固めていく。さすがはグラップラー、巨大だったかまくらが、かなり大きい程度まで固められた。
「ああっ、いろいろと間取りとか、4LDKぐらいを予定していたのに……」
 ちょっと残念そうに、荀灌が言う。
「本当は、テントぐらいの大きさなんですよ」
 秋月桃花が、そっと荀灌の耳許でささやいた。
「さあ、ここからが本番だよ」
 固まった雪山を崩さないように、芦原郁乃が内側をくりぬき始めた。その間に、秋月桃花が七輪やお持ちやお汁粉の用意をする。
「ワンルームですかあ?」
「そういうしきたりなんだよ」
 三人が充分には入れる穴を作った芦原郁乃が荀灌に答える。
「かんせーい。じゃ、スコップかたしてくるね」
「はい。中を私がやっておきますね」
 道具を片づけに行く芦原郁乃を見送って、秋月桃花が七輪などをかまくらの中へ運んでいった。
「お餅お餅〜♪」
「ふにゃあぁ!」
 意気揚々と芦原郁乃が戻ってくると、突然かまくらの中から変な悲鳴があがった。
「どうしたの。桃花、大丈夫」
心配ないです。大丈夫です
 あわててかまくらの中に駆けつけると、秋月桃花が荀灌に胸を揉み揉みされていた。
「桃花お姉ちゃんのお餅です♪」
 思ったよりもかまくらの中は暖かいと、荀灌は御満悦だ。
「ええっと、お餅違いなんだけど。いいのかな、お汁粉食べちゃうよ」
「それはダメです!」
 芦原郁乃が言うと、荀灌があわてて秋月桃花から離れた。開放された秋月桃花がほっと安堵の息をつく。
「それじゃ、お汁粉を食べましょうね」
 暖かいかまくらの中で三人は仲良く、秋月桃花の作ったお汁粉を食べ始めた。