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寝たいのに寝れない!

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寝たいのに寝れない!

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■解放 〜深き安らかな眠りへ〜
「――今教えたとおりの手順で手伝ってくれれば、ディスペルさんを作れるはずだ。大丈夫か?」
「はい、大丈夫です。カリスを救うために……私、頑張ります!」
 ……イルミンスール魔法学校・寄宿舎内の食堂。無事に採取班の全員が戻ってきたことを確認すると、すぐにディスペルさんの調合準備に入る。調合の手順などは、ダリルがこちらへ戻ってくる途中でユビキタスを使って検索を済ましていたようだ。
 材料も確かに全て揃っているのを確認すると、ダリル……そしてミモザが中心となってディスペルさんの調合を開始。その様子を見学する未憂とプリムの二人。見学するその眼差しは真剣そのものである。
「……少しばかり、霊水が少ない。もう少し足してくれ」
「は、はい!」
 ダリルからの指示に従い、調合の手伝いを行なうミモザ。カリスのことを一心に考え、想いを込めてはダリルの手伝いを必死に行なっていく。こうやって調合をしている間も、カリスは北都やクナイ、明日香にみもりたちが看護してくれている。
(カリス……もう少しだからね!)
 そして――特に大きな失敗もなく、ディスペルさんは完成した。
「これで完成だ。……早くいってやれ」
 完成したディスペルさんをミモザに手渡すと、ミモザは力強く頷きすぐにカリスの部屋へと急ぐ。他の人たちも結果を知るべく騒がない程度に後を追っていった。
「カリス! できたよっ!」
 カリスの部屋に入ると、すぐにカリスの元へ駆け寄り……慌てず急がず、ゆっくりとカリスへディスペルさんを飲ませていく。――効果は、すぐに現れ始めたようだ。
「ふ、ふわぁぁぁぁ……」
 一つ大きなあくびをしたと思うと、今まで溜め込んでいた疲労を全て解放するかのように……まぶたを閉じ、大きないびきをかき始めた。
「か、カリス?」
「ZZZzzz……」
 完全に寝入っている。それはディスペルさんがきちんと効いた証拠であり、ミモザの表情は次第に震える喜びに満ち溢れていく。
「あ……ありがとうございますっ!!!」
 思わず大きな声で、協力してくれた人たちにお礼を言うミモザ。しかし、協力者たちに『しーっ!』と諭されてしまった。
「あ、す、すみません……」
 反省するミモザ。ここではカリスの睡眠の邪魔になるだろうと、食堂に戻ることになった。その食堂では友見が『ティータイム』の準備を進めているところだった。
 ……かくして、カリスが無事に睡眠できたことを祝い、協力者たちの労いも込めたお茶会が開かれた。
「ミモザさん、あとでカリスさんの様子を見にいってあげてくださいねぇ。いつ起きるかわかりませんし……起きるまでが看護、ですよぉ」
「は、はいっ!」
 ……この後、明日香の『根回し』が効いたのかミモザはカリスとしばらく二人っきりになり、陰から見守る明日香を十分に満足させたとかなんとか……。

 ――それからどうなったかというと。
 今まで寝れなかったからか、なんとカリスは四日も眠り続けていたらしい。起床した時のカリスの顔は、まるで憑き物が取れたかのようにすっきりしていたという。
 また、今回の依頼において必要な材料の一つだった濃クロホル草の成分を抽出した睡眠薬が欲しい、という協力者が数名ほどいたので、お茶会終了後にダリルは希望者の一人であるルナと共に、微量に余った濃クロホル草の成分を抽出・凝縮した睡眠薬を作った。
「用法・用量を守ってきちんと飲ませるんだぞ」
「感謝します、これでエンドも少しは楽になると思います」
 ダリルから睡眠薬を受け取ったロアは謝辞を述べると、そのままグラキエスたちの元へ戻っていった。
「ルナもそれ使う際は……って、いないな」
 ルナにも同じ注意を言おうと思ったダリルだったが、すでにルナの姿はない。少し心配になってしまうが……すぐにその心配は、的中する。
 ――一方のルナは、アニスと競合して和輝に睡眠薬を一服盛ろうとしていた。
「和輝さん、最近働きすぎですから私がいい物作りました〜、ぜひ飲んでみてくださいな」
「……? あ、ああ……」
 内容を知らされないまま、和輝はルナから受け取った薬を飲む。……案の定、すぐに効果が現れる。
「オイ……これ、なんだ……?」
「ルナが作った、睡眠薬だよ! 濃クロホル草のエキスを抽出した、超強力なものなんだって」
「す、睡眠薬っ!? ちょっ、まっ、なんで俺に……つかう……だ……」
 そのまま崩れるように地面に倒れこむ和輝。それを見下ろす形で視線を向けるアニスとルナはニコニコ微笑んでいた。
「和輝、おやすみ〜♪」
「ぐっすり寝れるところまで運んじゃいますよぉ〜♪」
 そして、アニスとルナは和輝をベッドの上まで運んでいったとか。

 ――ともあれ、カリスとミモザに再び笑顔が戻ったのであった。ただ、カリスは当面の間魔法薬恐怖症になってしまったらしい……。

担当マスターより

▼担当マスター

秋みかん

▼マスターコメント

 はじめまして、もしくはこんにちは。柑橘類系マスター・秋みかんです。
 シナリオにご参加いただいた皆様、お疲れ様でした。今回はうまい具合に人数がばらけてくれたので、その分濃密な展開にできたんじゃないかなー、と自負しております。
 今回もいつも通り何かしらの称号が付与されます。お楽しみに。
 それでは、次の作品でもお会いできることを楽しみにしつつ――。