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【2022バレンタイン】病照間島の死闘

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【2022バレンタイン】病照間島の死闘

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第七章 最終決戦

「どこ……どこ、ここは何処なの? なんで誰もいないの?」
 堂島 結は一人、彷徨い続けていた。
 時々爆発音や悲鳴が聞こえる。
 しかし、急いでその場所に駆けつけてみても誰も人はいない。
 ただ、チョコレートの塊があるだけ。
 パートナーの仁科 美桜の姿も見えない。
「誰か……誰か、いないの……!」
 結は歩き続ける。
 たった一人で。

   ※   ※   ※

「……拍子抜けするほど、簡単だったわね」
 病照間島の港。
 はぐれ魔導書『不滅の雷』はそこに立っていた。
「いよいよ、ですね。ボートの上で、お姉様と二人っきり……」
「どうやらまだそうもいかないみたい。アユナ」
「はい!」
 構えるアユナ・レッケス。
 その鉈に、竹槍がめり込む。
「ミリィイイイイイっ!」
 それは、最初の邂逅と全く同じ。
 アユナの持つ鉈に、フラット・クライベルの持つ竹槍が交差したのだ。
「また会ったね。おねーさん」
 ミリー・朱沈とアシェルタ・ビアジーニが姿を現す。
「チョコの匂いが酷いわね。あなたたち……何人殺したの?」
「今まで食べたチョコの数なんて覚えてる?」
 フラットの竹槍が閃く。
 アユナの鉈が応戦する。
 飛んできた竹槍を、アユナは手で受け止める。
 めりめり、とアユナの手の中で竹が崩れる。
「くっ」
 フラットが竹槍を手放す前に、アユナは竹槍を引いた。
「あ、わっ」
 バランスを崩したフラットの眉間に、アユナの鉈がめり込む。
 ぐしゃり、とフラットの顔が潰れる。
「あぐぁああああ!」
「いい子ね、アユナ……あら」
 戦いを見ていた不滅の書の眼前に、竹槍が迫る。
 ひらりと身を翻し、竹槍を避ける不滅の書。
「お暇なら、私が相手しますわよ」
「仕方ない子ねえ」
 鉈を持ち、アシェルタに向き直る不滅の書。
「お姉様! 私もすぐお手伝いいたします!」
「おっと、おねーさんの相手はボクだよ」
 アユナの前に、ミリーが立つ。
 しかし、ミリーはあくまでも普通の人間だった。
 片や、アユナはヤンデレ。
「ちょろいです!」
 ミリーの頭が割れた。
「ミリィイイイイっ!!」
 アシェルタの悲鳴が響く。
「ミリー、ミリー、ミリー!」
 アシェルタは闇雲に竹槍を振り回す。
 その竹槍が、がしりと不滅の書の手で受け止められた。
「ごめんなさいねぇ。私も、ヤンデレなの」
 不滅の書の手の中で、めりりと竹が変形していく。
「アユナと、幸せになるわ……」
 不滅の書は、鉈を振り上げた。
 何度も何度も。
 アシェルタだったものが原形が分からない程のチョコレートの欠片になった時、やっと不滅の書の攻撃は終わった。

「終わった、かしら」
「ああ、やっと……やっと、お姉様と……」
「アユナ……あら」
 寄り添う不滅の書とアユナの元へ、ふらふらと近づいてくるひとつの人影。
「空気の読めない人ですね。行ってきます」
 人影に向かって走っていくアユナ。
 その姿が、斜めに半分になった。
「え?」
「シュウ……シュウ……シュウ。シュウに近づく女は、許せない!」
 既に原形も分からない。
 高月 玄秀の生首だったチョコを抱えたティアン・メイが、チョコレートに濡れた鉈を構えていた。
「あ……アユナああああああっ!」
 鉈を構えてティアンの元へ走る、不滅の書。
 しかし、ミリーたちの流したチョコレートに足を取られ、バランスを崩す。
「シュウ……私が、守ってあげる!」
 ティアンの鉈が、不滅の書の首を跳ねた。

「ほら、シュウ、ボートよ……」
 生チョコ首をボートに向けるティアン。
「え、そんな、容赦ないなんて……酷い。んっ……いいの、もっと、言って……」
 生チョコ首を抱きしめて、熱い息を吐く。
「あんっ、素敵……シュウ。いつまでも、いつまでも一緒。さ、行きましょう」
 ティアンがボートに一歩踏み出した時。
 どん。
 水無月 睡蓮と霧島 玖朔の乗る車が、ティアンを跳ね飛ばした。




 ミリー・朱沈:死亡
 フラット・クライベル:死亡
 アシェルタ・ビアジーニ:死亡
 はぐれ魔導書『不滅の雷』:死亡
 アユナ・レッケス」:死亡
 ティアン・メイ:死亡