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【●】光降る町で(後編)

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【●】光降る町で(後編)

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序章:地輝星祭 ?



 太陽が丁度頂点にある時刻の、広がる膨大なネットワークの片隅。

 明るく目を引くデザインをしたサイトで放送されている、”トゥーゲドア・イン・カーニバル”と題されたネットライブの画面の中では、裏椿 理王(うらつばき・りおう)の作った美少女のアバターがくるりとスカートを翻し、番組の合間でコーナー紹介をしているところだった。
 桜塚 屍鬼乃(さくらづか・しきの)の回すビデオカメラが、初々しいカップルのインタビューを映し出し、町の施設の案内といったほのぼのとした紹介が続く。そんな華やかさと和やかさが入り混じったような、その実ありふれたネット中継の合間で、ふと、こんな一言がアバターの口を借りる形で表示された。
「この町に”秘密”が眠っている!?」 
 そう題されたコーナーのリンクを辿ると、”地輝星祭”についての情報が、パンフレット風にデザインされて展示されており、さながら遊園地の冒険アトラクションのパンフレットのようだ。

「なんや、えらいポップな感じにしたんやね」
 日下部 社(くさかべ・やしろ)がそれを覗き込んで言ったのに、そりゃあね、と理王は肩を竦める。
「あんまり深刻そうにすると、変に不安を煽りかねないからさ」
 このネットライブの当初の目的は情報を集めることであり、そのためにはより多くの人目に触れ、興味を抱かせる必要がある。そのためのデザインだが、確かに、現在の状況から考えると随分軽い印象があるのは確かだ。
「ま、情報が入り次第、色々弄っていくさ」
 肩を竦める理王に、社は「そうか」と腰を上げた。
「ほんなら、ちょっくら味付けをしてくるとしよか」
「何するつもりだ?」
 屍鬼乃が訊ねたが、社は答えるつもりが無いのか、秘密にしておきたいのかチェシャネコのようににいっと口の端を上げる。
「大したことやないよ。俺流の万が一対策や」
 その顔は何かを企んでいるようなそれだったが、今はその場を離れるわけにも行かない。ため息一つついてその背中を見送ると、理王は屍鬼乃と共に再びモニターへと目線を戻した。

「あなたの手で”秘密”を解き明かしてみない?」

 そんな、ゲームのようなキャッチフレーズに隠れてたこの町の”最後の謎”は、既に、ゆっくりと、けれど確実にその胎動を始めていたのだった。