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新入生とパートナーには友達が少ない?

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新入生とパートナーには友達が少ない?

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「おい、ヴァイス。言われていた材料を買ってきたぜ」
「お、ありがとな、セリカ。丁度良いし、ここらで一息入れようか! 今からクレープ焼くから、好きなもの頼んでくれていいぜ!」
 注目を集めるようにして、ヴァイスが声を出す。
 一足先に、アルセーネがヴァイスの元に近付いた。
「この場で注文したように焼いてくれるのですね。面白そうですわ。それなら、私は苺クレープを頼みましょうか」
 アルセーネの言葉を皮切りに、座っていた茶会のメンバーも立ち上がる。
「りょーかい! よーし、超さんもペンさんも手伝ってくれ」
 従者の超人猿やペンギンアヴァターラ・ヘルムにも作業を任せて行くヴァイス。
「ヴァイス、こっちの皿、移動しておくぜ!」
「助かる、セリカ」
 手早く作業する中で、たちまちとクレープは行き渡り、材料もあっという間に無くなった。
「おー、足りたみたいで良かったぜ」
「結構な量を買ってきたけどな。まあ、好評だったってことで良いんじゃねえか?」
「だな」
 ひと仕事を終え、二人は満足そうにカフェテリア内を見渡した。

「次は、そうだな。そのままエンドロアの隣に座っている、三途川からいくとするか」
 再び、馴れ初め話へ。
 アキレウスの言葉に応えるように、幽は頷く。
「俺と瓜二つの霊は、剣の花嫁だ。霊との出会いは偶然で、迷った森の中で封印されていたこいつを見つけた。
剣の花嫁は自分の守る武器の使い手にふさわしいものが現れるまで眠り続けているらしいが、こいつも例外でなく眠っていた訳だ。興味本位で触ったら封印が解けて、こいつは目覚めた。驚いたのは俺の双子の弟にそっくりだっったことだ。って言っても、瓜二つだから俺以外わからないと思うが。性格も言動も弟にそっくりで、本当に驚いた。何せ、本物の弟はもういないから、柄にも無く懐かしくなって、つい契約してしまった訳だ。苗字と名前は弟と同じ『三途川霊』と名乗らせることにした。それが契約した理由だが、理由と言うか経緯だ」
 幽の言葉に続き、霊も当時を思い出しながら話す。
「俺が幽と契約したのは……まぁ、目覚めさしてくれた恩人だし、一緒にいれば飽きないな、と思ってね。っていうか俺、記憶が無いから行く所無いし。何より瓜二つだったしね。あれは驚いたなー」
「霊は、記憶が戻ったらどうするの?」
 疑問に思ったルカルカが、霊に訊く。
「んー、そんなもしもの事は考えたって仕方ないことだと思ってるよ。それよりも今を楽しもうと思ってね」
(でも、もしも記憶が戻ったとしても、俺は幽の傍にいるだろうな)
 霊は気恥ずかしい思いを抱えながら、胸中でこっそりと呟く。
「なんだ?」
「いや、なんでも」
 自分に注がれる視線に、怪訝そうに首を傾げる幽。
 霊はただ首を横に振っただけだった。
「姿形は似ていても、やはり別人なのですね」
 そんな二人の様子に、アルセーネがしみじみと呟いた。

「次は、その隣で瀬乃から」
「俺と流の出会いだな。わかった」
 アキレウスの進行に従い、和深が語り出す。
「まず、俺はもともと普通の家の生まれだったが、妙に真面目な親の元で育てられてきた。俺はそんな堅苦しい生活が嫌だった。ある日、突然家を出たくなって、衝動的に家を飛び出すことに決めた。妹にだけ別れの挨拶を告げて、家を押し付けるように飛び出した。それから旅を続けていたある日、ちょうど海岸を通りかかった時、コイツが浜辺に倒れているのを見つけて助けたんだ。コイツは過去の記憶をさっぱり無くしていて、ただパラミタに帰らねばと呟くばかりだった。けど俺もちょうどパラミタに行きたかったから、互いの利害が一致してそのまま契約することになったんだ」
「私は、助けてくれた上に、名前を下さった和深さんに感謝しています。利害が一致したというのもありましたが、私が和深さんの助けになれれば、という気持ちもあるのです」
「流……。ああ、ありがとな。流はいつも頼りになってるぜ」
 静かに告げられた流の気持ちに、和深は嬉しそうに笑む。
「そう言って頂けると、私も嬉しいです」
 流は照れたようにはにかんだ。