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リアクション
ついに姿を現したのは、今までで一番大きいドラゴンが二体。他のモンスターが最初にくらべ少ないのを見ると、あれが最後のモンスター達であろう。
「やっと親玉のお出ましだな」
降り立つドラゴンを見ながら気合を入れなおす浦安 三鬼(うらやす・みつき)。
「あのドラゴンにたどり着くには……まずは他のモンスターを倒さねばな」
三鬼の隣に立つアルクラント・ジェニアス(あるくらんと・じぇにあす)。
「そうだな。それじゃ早速……」
「うおぉぉぉぉぉぉぉ〜〜っ!! 目覚めろ! わたしの力ぁ〜〜!!」
そうして行きかけた三鬼だが急に雄たけびを上げた芦原 郁乃(あはら・いくの)によって中断される。
「わたしのココロが真っ赤に燃えるぅっ! 敵を倒せと轟き叫ぶぅぅっ!! おぉ〜っ! 郁乃いきまーす!!」
郁乃は、そのまま敵へまっしぐら。
「な、なんだ今の……?」
「さぁ……?」
「郁乃様……」
「主……、いきなり海に着くなり雄たけびを上げるなんて……」
郁乃と一緒に来た秋月 桃花(あきづき・とうか)と蒼天の書 マビノギオン(そうてんのしょ・まびのぎおん)の二人ですら、郁乃行動についていけてなかった。
そして、当の本人である郁乃はというと……。
「うおぉぉぉぉ〜〜!!」
雄たけびを上げながら『羅刹の武術』で持っていたタオルや拾った桜貝などを武器にしながら、周囲の敵を圧倒していた。
「せめてこちらに何かお知らせしてくださられないと……桃花達は置いてきぼりです……」
「ここに来るまでに何か変なもの食べたんでしょうか……?」
困っている桃花と何か別の心配をしているマビノギオン。
「まぁ、あの様子なら問題ないんじゃないか?」
「そ、そうでしょうか?」
「ここは、結界の中。なんでもやり放題ですから……」
「まだだ! まだ終わらんよ!!」
今度は砂や海水を使って攻撃してる郁乃。それでも敵を倒しているのだからかなり強い攻撃なのだろう。
「……本当に大丈夫でしょうか……?」
マビノギオンの言葉に全員沈黙。
「よし、俺もちょっくらやるとするか! この技でな!」
三鬼の両手が輝き始める。
「その技は……!」
驚く、アルクラントを置いて、三鬼は上陸してきたモンスター達に目標を絞る。
「喰らえっ! 俺が修行の末に編み出した必殺技! 『電撃葬列祭』だ!!」
流れるように繰り出されるパンチ。光を発している両手が動き回るその姿は、夜のパレードの如く、綺麗でいて、そして荒々しい動きで敵味方問わず魅了する!
「綺麗ですね」
「そうですね……」
桃花とマビノギオンの二人もその光に魅せられていた。
「『電撃葬列祭』……その技の輝きは夢幻光とも呼ばれるという……! 浦安 三鬼、侮れん!」
一瞬にして敵を倒し終える三鬼。
「どうだ!」
そこにリーダーであるドラゴンが上陸。三鬼の前に立ちはだかる。
「そんな物を見せられたら私も張り切らないわけには行かないな。未だ未完成……成功したことがない技だが……。この場所ならできるかも知れない!」
そしてアルクラントも三鬼のもとへ走っていく。そして残された桃花とマビノギオン。
「……桃花達はどういたしましょう?」
桃花の言葉にマビノギオンが郁乃を見る。
「ちぇすとー!!」
そこには未だ暴れている郁乃の姿
「……とりあえず、主の援護は必要ですね……多分、えっと……とりあえず『天のいかづち』っ!」
マビノギオンが郁乃の周囲の敵に向けて『天のいかづち』を放つ。
「あの……水場で電気はまずいのではないでしょうか……?」
「あ……!?」
「うきゃあぁぁぁぁ!!」
郁乃が感電していたのは言うまでもない。
「さぁ、ラストバトルだな……!」
三鬼とアルクラントの前にはドラゴン。
「三鬼は『電撃葬列祭』を完成させた……。なら私も出来るかもしれない。そう、『素敵旅想海』がっ!」
「なに!? あの技を……だと!」
「出来る保障はないが、やらせてはもらえないか……?」
「へっ! 当たり前だ! それまでの時間稼いでやるよ! この『電撃葬列祭』でな!」
三鬼が再び『電撃葬列祭』を使い、ドラゴンにすさまじい連撃を浴びせていく。
「まず、自分の周囲に魔力を集める……」
アルクラントの周囲に集まった魔力は霧状にアルクラントを包み込み、身を守る役割も果たす。そして、次第にその霧が七色の輝きを放ち始める。
「これなら……いける!」
どこからともなく鳴り響く幻想的な音楽!
「よっしゃ! いけぇ!」
「『素敵旅想海』!!」
最後に集めた魔力を収束し、ド派手な演出と共に打ち出される!
三鬼の攻撃を受けていたドラゴンに避けられるわけもなく、ゆっくりと倒れていくドラゴン。
倒されたドラゴンの腹部には、
・ ・
・
のシルエットが残されていた。
「おーい、見つけたぞ」
ドラゴンを倒した後、全員で感電し、海を漂っているであろう郁乃の捜索をしていた。浜辺に打上げられていたようで、すぐに見つかった。
「主、起きてください」
「……あれ? ここは……? 確か、雷が落ちてきてそれで……」
混乱している郁乃。
「あのぉ……心身ともにおいてきぼりはやめていただきたいのですが……」
「……ごめんなさい」
申し訳なさそうに訴える桃花の表情を見て郁乃は素直に謝罪するのだった。
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