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全力! 海辺の大防衛線!

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全力! 海辺の大防衛線!
全力! 海辺の大防衛線! 全力! 海辺の大防衛線! 全力! 海辺の大防衛線!

リアクション

 とどまるところを知らないモンスター達。まだまだ、数は衰えるところを知らない。
「おー、まだまだ沢山いるんだな……」
「みんなが結構倒したと思ったんだけどね」
 シリウス・バイナリスタ(しりうす・ばいなりすた)サビク・オルタナティヴ(さびく・おるたなてぃぶ)の二人がモンスター達を見る。
「よし! じゃあ、オレ達もやるか! 真ミルザムに連なる国家神の力を……」
「じゃ、ここは十二星華の役割に則ってボクがいこう本来の蛇遣い座の力、見せてあげるよ」
「えっ……! サビクそれって……」
 驚いているシリウスを置いてサビクが一人前に出る。
「まずは小物を減らそうか。星弓ヴィータ!」
 サビクの手には弓。スケルトンに標準をあわせる。
「……きたきた! スケルトンをマルチロック。一斉射撃!」
 サビクが引いた弦を離すと無数の光の矢が前方のスケルトン達を貫く。撃ちもらした、スケルトン達がサビクへ突撃する。
「撃ちもらした敵には更に……星銃パワーランチャー!」
 サビクの持っていた弓が銃に変わる。そして銃に光が収束する。
「フルパワーチャージ……シュート!!」
 銃から放たれるレーザーが撃ちもらしたスケルトン達を消し飛ばす。だが、まだまだ敵が衰えることはない。
「この辺で接近戦に切り替えようか。星剣ビックディッパー!」
 今度は大剣に変化。
「さぁ、行くよ!」
 敵へ突撃するサビク。
「…………」
 そして、置いてけぼりのシリウス。
「真の蛇遣い座……、十二星華が反乱した際の処刑人。十二の星剣全てを召喚でき、対応する十二星華の特性をコピーする……、あれって自称じゃないのか!? 本来の力を再現したのか妄言を形にしたのか……ど、どっちだ?」
「まぁ、どちらでもかまへんと思わんへんか?」
「そ、そうですね……。私もそう思います……」
 戸惑っているシリウスの元にやってきた瀬山 裕輝(せやま・ひろき)。そして、その隣には『自白した犯人』。
「……どういう意味だ?」
「所詮は夢物語。明日になれば元の現実。それを楽しむんもまた一興……」
「何が言いたいんだ?」
「つまり、この結界も今日限り、隠された力、憧れていた力が使えるのも今日限り。なら、その事が嘘か本当かは置いておいて楽しんだもん勝ちってことやな」
「……なるほどな。なら、その力が使えて本人が満足しているなら、本当の力かどうか気にするのも野暮ってものか」
「そういうことや」
「それよりも……」
 シリウスが裕輝の隣で申し訳なさそうに立っている『自白した犯人』を見る。
「そいつはなんなんだ?」
「あぁ、海の家で、食い逃げしたやつや」
「すみません……事業に失敗して借金塗れになってしまって……」
「同情を買うような発言は止めとこうな。嫌な奴に見られるで」
「すみません。それで、食べるものも無くてお腹すいている時に皆さんがわいわい騒いでいたので、これならいけるかなぁと、つい出来心で……。本当にすみませんでしたっ!」
「……本人もこう言っとる事だし、見逃すくらいしてくれへんか?」
 なぜか、無関係な話を振られて困るシリウス。
「いや、捕まえたのオレじゃないしな……。それよりも、この状況で一般人まで連れてきたら危ないぞ?」
「大丈夫や。危なくなったら逃げるだけやし」
「……なら、連れてくる必要無かったんじゃないか?」
「ふむ。それもそうやな。これは一本取られたわ。はっはっは」
 笑う裕輝に呆れるシリウスだった。
「……まぁ、良いか。それよりも……」
 シリウスが再び正面を向く。そこではサビクが力を盛大に使い、敵を蹴散らしていた。
「……ここは、もうアイツ一人でいーんじゃねーかな……」
「なら、オレとこの夢物語を観戦しようやないか」
「まぁ、それもありといえばありだが……」
「すまない。遅くなった!」
 そこに、遅れて匿名 某(とくな・なにがし)結崎 綾耶(ゆうざき・あや)の二人。
「ちょっと結界の中に入った時、綾耶の調子が悪かったもんで……」
「すみません。私のせいで……」
「おう、別に問題ないぜ。この通りサビクが一人で無双してるからな……」
 シリウスの指差す先を見る二人。そこには一人無双をしているサビクの姿。
「なら良かった……。でも、遅れた分は仕事を……」
 ふと、某の視線が一点を見て止まる。
「どうしか……、うそ、あれは……!」
 某の視線の先を見て綾耶が驚きの表情に変わる。
「二人ともどうしたんや?」
 裕輝が声をかけるが、返事よりも先に綾耶が視線の先へと走りだす。
「綾耶! 三人ともごめん!」
 某が三人に謝りつつ綾耶の後を追う。
「……オレも行ってみるか。少し気になる」
 シリウスがその二人の後を追う。
「……なんや、よろしゅうない空気やね。戦いだけでは終わりそうもない。そんな空気やわ」
 残された裕輝はポツリと呟いた。