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フリマと少女の本

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フリマと少女の本

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「ここが、ふりーまーけっとなる場所ですか。人が多くて賑やかですね」
「あ、ああ、そうだな」
「ご主人様ー、色々な物がありますね」
 フレンディス・ティラ(ふれんでぃす・てぃら)は、ベルク・ウェルナート(べるく・うぇるなーと)忍野 ポチの助(おしの・ぽちのすけ)と共に初めてのフリマを堪能していた。
 特に何か目当ての物があるわけでもないが、ただぶらぶら散策するだけ。
 それでも、十分に面白い。
 ベルクはそんなフレンディスの様子を見ているだけで満足だった。
 彼女の胸に、あの犬が抱かれているのさえ除けば……!
(犬の癖に生意気な……犬は犬らしく雌犬の写真集でも漁ってろっつの!)
(エロ吸血鬼はエッチな本でも探していればいいのですよ!)
 バチバチバチ。
 水面下で激しい火花が散る。
「あ、あれは何でしょう」
 そんな戦いには全く気付ことなく、ある意味無邪気に走り出すフレンディス。
「おい、待てよ……ん?」
 ベルクの視線が一つの本に吸い寄せられた。
 古い本。
 どうしてこの本がこんなに気になるんだろう。
「マスター、どうしました?」
「あ、ああ、何でもない」
「ご主人様ー、僕この機晶技術や銃についての資料本が欲しいです!」
「そうですか。それでは買ってあげましょう」
「わーい、ありがとうございます!」
 フレンディスに抱っこされながら喜ぶポチの助。
(む……!)
 ポチの助もまた、視界の端に気になる本を見つける。
(『可愛いわんちゃん写真集』。おぉ、これはなかなかいい雌犬が…… いやいや)
 首を振っているポチの助を不思議そうに見ながら、ベルクの隣に立つフレンディス。
 視線の先には、古い本。
「その本、買うのですか?」
「ん……あぁ。この本が、サリーを救う要になる気がしてな……」
 手を伸ばしたベルクの横から、すっと手が伸び本を取った。
「あ」
 本を取ったのは、ルカルカだった。
「大丈夫」
 ルカルカはベルクに言った。
「サニーの事は、ルカルカ達に任せて」
 真剣な瞳で、ベルクたちを見る。
「あ、ああ……頼んだ」
「うん!」
 本を買うと、急いで再びウェザーに向かうルカルカとダリル。
「マスター、今のは?」
「……そうだ、サリーじゃなくて、サニーだ」
「え?」
「あいつ等に任せよう。きっと、サニーを助けてくれる」
「マスター……」
 ちくり。
 確信を持って話すベルクを見て、フレンディスはそっと自分の胸を押えた。
(どうして、でしょう……)
(マスターが、あの方のことを話しているのを見ていたら……こんなにも胸が痛むなんて……)