天御柱学院へ

蒼空学園

校長室

イルミンスール魔法学校へ

決戦! 秘密結社オリュンポスVSヒーロー戦隊

リアクション公開中!

決戦! 秘密結社オリュンポスVSヒーロー戦隊
決戦! 秘密結社オリュンポスVSヒーロー戦隊 決戦! 秘密結社オリュンポスVSヒーロー戦隊 決戦! 秘密結社オリュンポスVSヒーロー戦隊

リアクション

「僕の剣は、誰かを襲うためにあるものじゃない。誰かを守るためにある大いなる剣! 僕はそれを振るうヒーローになるんだ!」
 メイスンの剣にも引けを取らぬ大きさの剣を振るいメイスンの一撃を止めたのは、恵。
 仮面が割れ、我を取り戻したヒーローだった。
「―――充電完了。巻き込まれないように気をつけなさいっ!」
 珍しく語尾に力を込めたセレアナから放たれる『レールガン』がメイスンに直撃する。纏っていた甲冑がバラバラになる。
「み、見事じゃき……」
 『レールガン』に吹っ飛ばされながらも倒れないメイスンだが、その体ではとても戦えるものではなかった。
「助かったわ。ありがとう」
「いえ、こちらこそ目を覚ましてもらってありがとうございます!」
「ちょっとーやるじゃない! ホントっにありがとう!」
 猛攻から脱したセレンが二人に駆け寄る。
「ほう、メイスンをやるとはさすがヒーロー。じゃがまだルーンの結界にわしもルドウィクもおる。それに、手下ならまだまだおるんじゃな、これが」
 どこから現れたのか大量のモブ怪人が姿を見せる。
「美少女っぽく見えて美少年……一人で二人分おいしい! ああ、可愛いですわ! ペロペロ。可愛いわさすが美少年可愛い! ペロペロ。ああもうっ我慢できませんわ!」
 恵に向かって飛び掛るルドウィク。それに合わせてモブ怪人と鵜飼も動く。
「このままじゃ埒があかないわね」
「その時のための、最後の切り札でしょ」
「何か策があるんですか?」
 恵むの質問に笑って答えるセレン。
「ええ、特大の策がね。でもそのためにはさっき以上に時間を稼ぐ必要があるし、三人で協力する必要がある。ねぇ、名前は?」
「恵、松本恵!」
「いい名前ね。私はセレンフリティ、セレンでいいわ。でこっちが」
「セレアナよ」
「それで恵。しばらく、時間を稼ぐわ。それで少ししたら私たちはまた動けなくなる。その間、私たちを守って」
「そして最後に私たちのところへ来て。できるかしら?」
「……やるよ! もう迷わない! さっきのセレンみたいに守ってみせる!」
「上等よ。それじゃ行動開始!」
 散開する三人。モブ怪人の数など感じさせない軽快な動きで危なげなく時間を稼ぐ。
 それから数十分、時は満ちた。
「恵! 頼むわよ!」
「私たちの命、預けるわ」
 そのまま動かなくなる二人。先ほど使用した『レールガン』の態勢を取る。
「レールガンよりも今はあなたが気になるのですわ! さあ! わたくしと遊びましょう!」
 セレンとセレアナを無視して恵に向かうルドウィク。
「僕はもう迷わない! その強さであの二人を、みんなを守るんだ!
 行くよ! リバーシング、ブレイズガード!」
 その掛け声と共に変身を果たす恵。
「人々を守る大いなる剣、天空剣士ブレイズガード! ここに参上!」
「ああ可愛いですわ可愛いですわ!」
 そう言いながらインテリジェンストラスト弾を二丁拳銃から放つ。膨大な量の、名状しがたい知識を弾丸から流し込み、戦闘不能にさせようとする。
「……甘いよっ!」
 ドラゴンをモチーフにした剣に炎を宿し、『歴戦の防御術』を使用してすべての弾丸を叩き落す。そのままルドウィクに急接近。
「そのままわたくしの元へ飛び込んでおいだくださいまし!」
「うん、行かせてもらうよ。その懐に!」
 宣言どおりに懐に潜り込んだ恵は勢いそのままに『爆炎波』を放つ。
 かわすこともせず、モロに攻撃を喰らったルドウィク。
「望んだ結果とは違いますけど、これはこれでありですわー!」
 そう言いながら後ろへと吹っ飛ばされるルドウィク、しかし相手の猛攻はまだ続く。
「天晴れ天晴れ! だがこの鵜飼とルーンの結界、そしてモブ怪人の手勢にどうする? 例え後ろでレールガンを使おうとも、この数の暴力に対処しきれぬものではあるまいて」
「そんなことない! 僕はあの二人を信じてる! だから二人には指一本触れさせない!」
 高らかに叫ぶ恵。
「―――オーケー。その信頼に、応えてあげるっ」
「恵、こっちに」
「うんっ!」
 二人の準備が整い、恵もそこに合流する。
「準備完了か? 撃つがいい! 一発ずつでも変わらん変わらん!」
「そうね、だから私たちが撃つのはたった一発」
「ありったけを込めた、おもてなしに対するせめてものお礼よ」
「僕からもお返しだよ!」
 セレンとセレアナがお互いの腰を抱き寄せ合い、その真ん中に恵が加わる。
 セレンが左腕を伸ばし、セレアナが左腕を伸ばし、恵が両手を前に突き出す。
「こ、これはっ!」
 その形、先ほどの『レールガン』の射出台より遥かに大型の射出台。三人の体全体から電流がバチバチと唸る。
 大気にまで電流が流れているかのような錯覚。フロア全体がビリビリと小さな音を上げる。
「喰らいなさいっ! これが私たち三人の切り札っ!」
「超威力、広範囲のっ」
「ヒーローの力!」

「「「超大型レールガン!」」」

 言葉と共に放たれる規格外の『レールガン』。その範囲の広さは大広間全体を攻撃対象とし、全てを破壊していく。
 モブ怪人も、ルーンの結界も、鵜飼も全てをまとめて撃ち貫く。
「こ、これほどとは……っ!!」
 『超大型レールガン』の前にはさすがの鵜飼も為すすべが無く、遂にその膝を折る。
「やったわね! セレアナ、恵っ!」
「うんっ!」
「上出来ね」
 ハイタッチをかわす三人。しかし、笑顔も束の間。
 鵜飼が立ち上がる。その表情は笑っていた。
「カッカッカッ、よもや魔術符全てを薙ぎ払われるとはな。
 予想外じゃ……しかし、このままで終わるのも楽しくないじゃろう? ……メイスン!」
「ああ、首おいてけないなら……爆死しろじゃ!」
 その言葉と共に赤いスイッチを押す。
 するとそこかしこから爆発音を伴う激しい爆発が巻き起こる。
「少々威力不足にはなったがそのうち落ちるじゃろう! これでオリュンポス・パレスは沈む! お主等も道連れじゃ、カッカッカッカッカッ!」
 鵜飼が最後の手を打って出る。タダでは死なない悪の強さ。
「冗談じゃないわよ! さっさと落ちる前に逃げないと!」
「ああ、そうじゃ。確か人質がおったのう。この先にいた気がするが、おおこれは独り言じゃ、気にするな」
 三人に聞こえるように、わざと声を大きくして呟く鵜飼。
「……ったく! 次あったらただじゃおかないわよ!」
「光栄じゃな!」
「セレアナ、恵っ! さっさと助けて脱出するわよ!」
「お客様に優しくないお城ね」
「早くしないと、急ごう!」
 高笑いをし続ける鵜飼を置いて、人質の元へと急ぐ三人。果たして間に合うだろうか。