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決戦! 秘密結社オリュンポスVSヒーロー戦隊

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決戦! 秘密結社オリュンポスVSヒーロー戦隊
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リアクション

「ヘイ! 次はこの方を改造をしよううんそうしよう!」
「いいや、こちらの素体も悪くないであろう」
「どうせ皆、改造するのじゃから誰が先でもよかろう」
「まったく、三人とも改造するのはいいが本来の目的を忘れないでくれ。バッチの効果がどのようなものか、どれほどの力があるか、その調査をな」
「生まれ変わるものは! みなうっつくしぃー! その手助けができる僕はとってもハッピーだよ! ラブアンドピース!」
「……聞いてくれないな」
 着々と様々なモブ怪人を改造しヒーローに差し向けているこの四人。
 セリス・ファーランド(せりす・ふぁーらんど)玉藻 御前(たまも・ごぜん)マネキ・ング(まねき・んぐ)マイキー・ウォーリー(まいきー・うぉーりー)。表舞台には立たず、裏方として暗躍する幹部勢。
「んぅ……おいしさと可愛さを兼ね備えたあわび怪人は創ってしまったし、他には何がいいだろうか? ……oh! いちごなんてどうだろうか? これなら外見も可愛いし甘い甘い子になって、名前も素敵だ! グッドアイディーア!」
「たいやき怪人とはどうだ? あわび怪人、いちご怪人同様に顔が食べれるようになっている。あわびが苦手だという者も少なくないのだから悪くないと思うが」
「おぬしらには食べ物以外は思い浮かばぬのか? 何も物体を合成させるだけの怪人ではなく、一つの能力に長けている怪人など悪くないと思うがの」
「……城が落ちそうだと言うのに。あまり自由にしすぎてヒーローたちに俺たちの姿がバレることはないようにな。後々面倒だ」
「ご安心を。出口の確保は出来ております」
「十六凪か。その出口は誰にも気取られないところから脱出できるか?」
「もちろんです」
「どうだかな。相変わらず、何を考えているのかわからない男だ」
 皮肉を言われても動じずにただ温和な笑みを浮かべ続けるのは天樹 十六凪(あまぎ・いざなぎ)。オリュンポスの参謀である。
「でもいちごじゃオリジナリティー! がないよね? そうしたら……そうだそうだよ! いちじくなんて素敵じゃない? 名前もいじらしい感じじゃないか! オービューリFooooooooo!!」
「いっそ生魚で行くべきか。全ての層から支持は受けられないが、ニッチな層は獲得間違いなし」
「怪人というのが不老不死というのはどうだ? これならばヒーロに負けることは無い。半永久的に苦しめることができるじゃろうて」
 十六凪の登場すら気にしない三人は怪人の改造に没頭している。
「……オリュンポス・パレスの状況はどうなんだ? 予想以上にもってはいるようだが、まさか落ちないということはないだろう」
「ええ。残念ですがね。少々被害が広がりすぎました。特に鵜飼衛さんの破壊魔術、そして機晶爆弾。及びヘスティアさんの誤射。その他ヒーローたちによる損害も少なくありません」
「必然といえば必然か。あれだけ派手に暴れられればそうなる他ない」
「そうじゃな。まあ、悪くは無いじゃろう。わしらにはまだ手がある」
 怪人の改造をやめて二人の話に加わる御前。
「ノー! 生魚なんてダメダメ! その臭いじゃ誰の心も射止められない、愛されないナンバーワンになっちゃうよ!」
「だがしかし、そういったニーズもどこかにあるのでは」
「そうじゃない、そうじゃないよ! 一部の人に愛されるだけじゃ僕の愛は収まりきらないよ!
 皆、世界中の皆に愛される怪人になりたい、そんな人たちの手伝いになれるなら僕はそれで満足なんだ!」
 改造の最中に両手を広げて天を仰ぐマイキー。今にも踊りだしそうだ。
「まあいい……心配するな。新しい改造の究明だ……。成功すれば貴様の戦闘能力は数倍になる!」
 じたばたするモブ怪人前の人物に見当はずれなこと言うマネキ・ング。
「それにしても、このバッチの力は底知れないな。変身することで単純な戦闘能力の増加、更には契約者の中には巨大化するものもいた」
「複数人でとはいえイコンの撃退もしておるし、恐るべきものよ」
「他にもイコンの形状の変更や、純粋な力ではないその者のオーラや雰囲気の増強による平和的な戦い方による勝利もありました」
「果てにはイコンと契約者が合体してしまう異例の事態までも引き起こすとはな。これだけ数の有利があるというのに、それをものともしない力。
 ……量産されれば、とんでもない事になるだろう」
 セリスは自分で持っていたミラクルバッチに目をやる。持っているものの、セリスや御前、十六凪はその力を使ってはいない。
 マネキ・ングは多少なりとも使っており、マイキーに関しては普段とあまり変わらない状態だ。
「こちら、まとめた報告書です」
「確かに。ミラクルバッチの性能の調査はこんなところか」
「うむ」
「あいつはどうしている?」
 セリスの問いに答える十六凪。
「落ちる前にもう何人か改造だ、そう叫びながら人質がいる場所へと向かわれました」
「人質室には既にヒーローが来ていて脱出したんじゃなかったか?」
「そちらは一つ目、動力室に近いほうです。それとは別、この実験室からそう遠くないところにもう一つあるのですよ」
「成る程、どうりでこいつらが無尽蔵に改造を施せるわけだな」
「もっともっと愛される! そんな怪人にチェーンジ!」
 遂に後ろでマイキーが踊りだす。踊りながら改造をしている。新作のプロモーションビデオを見ているようだ。
「最後まで改造とは、乗っ取られてもヤツはヤツ、じゃな……」
「そうは言うが、お前もノリノリで改造してただろうに」
「いいのじゃ、妾たちは結果だけ得られればよい……全責任は、ハデスとマネキ・ングがとるのじゃからな」
「と、言っているが良いのか?」
「仕方ないでしょう。どのような作戦であろうともその全責任を持っているのは、大将ですから」
「完全に楽しんでるな、十六凪」
「滅相も無いですよ。パレスが陥落してしまうことに、心が張り裂けそうです」
「……どうだか。だが、俺たちはあくまで裏であり、影。お言葉には甘えさせてもらう。御前、マイキー。そろそろここを出るぞ」
「なんじゃ、もう終いか?」
「まだまだ愛し足りないし、愛されたりないよー!」
「つべこべ言わずについてこい。マネキ・ング、後は任せる。適当に帰って来い」
「了解であろう」
 そう言ってマネキ・ングだけを残してセレン、御前、マイキーは十六凪が手配した脱出路から姿を消すのだった。
「やれやれ、行きましたか。怖い人でしたね。……さてと、そろそろアレを出しますか」
「ほう、出すのか。アレを」
「ええ。僕も脱出しますので、マネキ・ングさんは準備をお願いします」
「任せろ」
 そう言ってアレと呼ばれた代物がある方へと向かっていくマネキ・ング。
「では、いよいよ動いてもらいましょうか。我等が御大将に」
 最後まで微笑を崩さない十六凪。激しい崩落が始まる中、闇の中へと彼は消えていった。