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『C』 ~Crisis of the Contractors~(前編)

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『C』 ~Crisis of the Contractors~(前編)

リアクション

「四人とも、おつかれ。良い勝負を見させてもらったぜ。ところで朝斗……いや、あさにゃん!」
「いきなりなぜ、その呼び方を!?」
「あさにゃん……?」
「今日はメイド服じゃないのかよ? せつなにも見せてやればいいのに」
 ニヤニヤしているエヴァ。
「今日はやりません!」
「あら、それは残念ですね」
 ルシェンは持っていた服をしまう。
「え、持って来てたんですか……?」
「ご要望とあればいつでも」
「やめてください……」
「あははは……あいたっ」
「ん、どうした、せつな」
 ナナシがすぐさませつなの腕を見る。
「……擦りむいているな」
「さっき、投げられた時かな……。全然気づかなかった」
「これは、僕の責任ですね……ごめんなさい。大丈夫ですか?」
「あ、うん。そこまでひどいわけじゃ――」
「よし、保健室だ」
 ガシッとせつなの腕を掴むせつな。
「えっ!? いや、別に平気――」
「何かあったとき、お前が動けないと困る。だからほら、いくぞ」
「いや、だから平気だってばー!!」
 引きずられて連行されるせつな。
「……どうする?」
「一応、怪我させてしまったのは僕ですから様子見てきますよ?」
「私も少し覗いておきたいですね」
「じゃあ、どうせだからみんなで行こうか」
「そうだな」
 というわけで全員で保健室へ向かう事になった。

「……ただの擦り傷だね。普通に消毒しておけば大丈夫だろうね」
 他の面々が保健室に到着すると、せつながボランティアで治療を請け負っていた新風 燕馬(にいかぜ・えんま)に診てもらっていた。
「消毒液取ってくれる?」
 燕馬がサツキ・シャルフリヒター(さつき・しゃるふりひたー)に声をかける。
「どうぞ」
「だから、言ったのに、大したことないって」
「おや、これはこれは……大所帯で大怪我かい?」
「いえ、せつなさんの様子を見に来ただけです」
「そうなんだ。でもまぁ、見ての通りただちょっとした擦り傷だから大したことないよ」
「ナナシさんが無理やり連れて行ってしまったので、ちょっと心配になって来ただけですから」
「あ、そうだったんだ」
「何事もないなら何よりだ」
「それでは、僕たちは一足先に失礼しますね」
「あぁ。おつかれ。また勝負しよう」
「はい。では」
「……(ぺこり)」
「燕馬さん、他の契約養成学校の関係者って、いらっしゃったりしますか? カウンセリング法などについて教えていただきたいと思っているのですが……」
「もう少ししたら戻ってくると思うよ。今は休憩時間だから」
「そうですか……」
「ツバメちゃん! なにやら怪しい話を……あれ?」
 急にドアを開けて入ってきたフィーア・レーヴェンツァーン(ふぃーあ・れーう゛ぇんつぁーん)
「あ、噂の本人を発見ですぅ!」
 ビッ! ナナシを指差すフィーア。
「なんだ、俺に用か?」
「どうしたの?」
「なにやら女の子の手を引っ張って『C』が来たらどうするとか言いながら保健室に行った男の子がいたって聞いたですぅ」
「……あたしをここに連れてくるまでの間の事ね……」
 せつなが頭を抱えた。
「叫びながら向かってたのか……」
「案外間抜けなところがあるんだな。ナナシって」
「間抜けも何も、俺は本当の事を言っていただけだが……」
「そうね、あなたはそういうところは真面目よね……、わざわざ声に出して注意するところとか……ね」
「その『C』って何のことなんだ?」
「あ、それはね――」
 せつなが燕馬達に説明をする。
「……新人類ね。それでナナシはその『C』ってやつが、一番最初に現れたこの時代、人材発掘プログラムにやっていて『C』を探し出して始末しようと?」
「そういうことだな」
「燕馬はどう思いますか?」
 サツキは思考する燕馬を見る。
「……いるなら会いたいね。契約者と言ったって、所詮は人間。血が青色になるわけでもない。そんな奴らを差し置いて新人類などと呼ばれる存在……面白いじゃないか」
「うっはー、ツバメちゃんの笑みが暗黒面寄りですぅ」
「そういうことならこちらも調べてみるよ」
「それは助かる」
「参加者名簿や各人の簡易データとか手に入れられないでしょうか?」
「それは、後で休憩中の先生が戻ってきたら聞いてみようか。これは楽しみだ」
 再び、怪しい微笑を浮かべる燕馬だった。