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【第二次架空大戦】流星、堕つ!

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【第二次架空大戦】流星、堕つ!

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04:『流星機に集いし運命(さだめ)』(後編)

 裏山を中心に戦闘が繰り広げられている最中、基地司令官のもとに一人の客が訪れた。
 戦闘指揮中と一度は断った司令官だが、客の名前を聞いてすぐに面会することにした。
 その人物の名はカミーユ・ゴールド(かみーゆ・ごーるど)。付き人の鬼頭 翔(きとう・かける)を従えて応接室の椅子に座っていた。
「お嬢……」
 司令官が入ってきたのを認めて、翔がカミーユを促す。
「私が誰かは、ご存知?」
 カミーユの一言で、司令官は冷や汗を炊きのように垂れ流す。
「はっ、はい……」
「結構。では、この文書を読んでくださる?」
 そう言ってカミーユが渡した書類を読むと、司令官は顔から血の気が引いて、真っ白な死人のような顔になった。
「こ……これは……」
「ご協力いただけますわよね? このプランが成れば、侵略者も、勇者とやらも、この街から一掃できますわ……」
「は、はあ……」
「あなた、12歳になる娘がいたわね……」
 その言葉を聞いた途端、司令官は恐怖に顔をひきつらせた。
「はっ、精一杯取り組まさせていただきます」
「よろしい……」
 そう言うとカミーユは立ち上がる。
「それじゃ、失礼するわ。この仕事は首脳陣からの依頼であることを忘れないでね」
 そう言い残し、カミーユは翔を伴って部屋を出ていく。
「ディペロッパーめが……」
 カミーユを見送ってから、司令官は忌々しげに呟いた。

「ふーん……面白そうなことやってるわね」
 ミレリア・ファウェイが、部屋から出てきたカミーユを見てそう言った。
「ん? どしたん?」
 ミレリアのマネージャーになった大久保 泰輔(おおくぼ・たいすけ)だった。
「なんでもないわぁ。それより、どこ行ってたのよ。スクランブルかかったのに」
「あ、ちょいと上の方とスケジュールの確認をな……でも、もう準備できとるから出撃しようか?」
 泰輔の言葉にミレリアはうなずき、格納庫に向かう。
アスタルト、ミレリア・ファウェイ、出るわよ! ハッチ開け!』
『了解。ハッチオープン。射出シーケンスに入る。アスタルトは40秒後に出撃。武運を祈る』
 ルースのオペレートでアスタルトは出撃すると、泰輔のスケジューリングに従って1分35秒で裏山へ。
「よし、ここの敵は5分で片付けてや。それからヘルガイアの先遣艦隊のところへ飛ぶ前に3分休憩。それからヘルガイア相手に15分の戦闘。ヘルガイアは壊滅させる必要はない。適当にかき回せばオッケーや」
「了解ぃ! さて、いくわよぅ」
 そう言うと、ミレリアは大きく生きを吸い込んで外侮回線をオープンにした。
『軍神アスタルト、いざ推参! 皇帝と君主に継ぐ大公爵たる我、汝らを地獄へと誘わん。獅子と龍の咆哮、その身に受けよ!』
 ミレリアは三次元的な高速機動を開始すると、移動しながらビーム・ライフルを次々と撃ち放す。そのビームは一切命中しないから、造反部隊は気が付かなかった。自らが、蟻地獄に落ちていることに。
 ミレリアは火線で敵の動きをコントロールし、そのすべてを特定のポイントに集める。
「よし、あれいけるで」
「おーけー。それじゃあ、行くわよぅ。絶対者の顎!」
 アスタルトは背後にマウントした巨大なビームキャノンをその手に持つと、それにエネルギーを充填させる。
『おお、暗黒のファラオ、ネフレン=カよ、黒き神の神名のもとに我が怨敵を打ち砕け。悪神セト、蹂躙せよ!』
 漆黒の光が、造反部隊を飲み込む。泰輔のスケジューリング通りに敵を壊滅させたミレリアは、期待をアイドリングさせたままエネルギーチューブを飲みつつ3分休憩をすると、先遣艦隊へと向かって移動した。
(なんや、いつの間にやら軍人になってもうたけど、以前にも成り行きで軍人になったような気もするし……まあ、ええか)
 泰輔は移動する機体の中で、そんなことを考えていた。
「さて、ヘルガイアかたしたらテレビの仕事が入っとるからな〜」
「なに? バラエティは嫌よぅ?」
「安心したって。歌番組やから」
「そう? ならいいわぁ」
 そして女神は戦場に立つ。

 時間は流星が落ちてくる少し前に遡る。
 松本 恵(まつもと・めぐむ)は女装して黄瀬春香と名乗り、国軍の密命を受けて勇者たちの学校に潜入していた。
 授業をサボって裏山にいた恵は、流星が落ちてくるのを見て一目散に逃げ出す。
 だが、落ちてきた流星の風圧で、胸に入れていたパットが取れてしまう。
 そして、流星から銀色の機体が現れ、コクピットが開く。なかから少女が現れると、その少女はこういった。
「男……? 女? どちらかしら???」
 それを聞いて、恵は少しぼーっとしてから、はっと気がついて持っていた銃を少女に向けた。
「お前を殺す」
 しかし少女は、何を勘違いしたのか表情を輝かせてこう言った。
「ああ、勇者様!」
「はい?」
 思わず白ける恵。
「あなたは者様ですわ。あたしとともにこのデスティニーウイングでヘルガイアと戦ってくださいな」
 突然のことについていけないながらも、恵はなんとか言葉を紡ぐ。
「ちょ、ちょっと待って……どういうこと?」
「このデスティニーウイングはクロガネが対ヘルガイア用に用意した勇者です。申し遅れましたあたしはアルジェンシア・レーリエル(あるじぇんしあ・れーりえる)。クロガネの使いです」
「勇者……」
 そしてそうしているうちに、ヘルガイアが出てくるし国軍の一部がクーデターを起こしてしまうなど状況が逼迫してきたので、恵はアルジェンシアの誘いに乗って勇者をやることにした。
「結局、あたしを殺さないの?」
「勘違いしちゃだめだよ、殺す必要がなくなっただけだよ」
「ふーん……」
 そして、デスティニーウィングは飛び立った。
「そうだ。僕のコードネームはイエロー・ユイ。ユイって呼んで」
「わかりましたわ」
 そして、これがヘルガイアとの戦いに参戦した初めての流星となったのだった。

「ダリル博士、敵もいなくなった今、流星機に接近するわ」
「了解。各種センサーはすでにオープンにしている。成分的には、勇者と同じだな……」
 ダリルの分析に、ルカルカは「そう……」と頷くと、機体を着陸させた。
 そして、飛び降りると流星機に接触する。
「貴方は誰? 何処から来たの? 私を呼んだのは貴方?」
(我はクロガネの子。ヘルガイアに抗する刃金……)
 ルカルカの心に、声が聞こえてくる。ルカルカはそれをそのままダリルに伝えた。
「なるほど。クロガネのヘルガイア反攻作戦というわけか……。解析に協力してもらえないか訪ねてくれ」
「わかった」
 そして、ルカルカが尋ねる。
(Yes……Yes……Yes……)
「大丈夫だって」
「ではルカルカ大尉、彼に搭乗して基地まで連れて行ってくれ。こちらは俺が一人で操縦する」
「了解」
 そして、流星機とヨクは基地へと向かった。