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【祓魔師のカリキュラム】一人前のエクソシストを目指す授業 8

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【祓魔師のカリキュラム】一人前のエクソシストを目指す授業 8

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第14章 After Story3

「せっかくだから土産品がほしいわね」
 セレンフィリティはセレアナと一緒にショップに訪れた。
「ネックレスとかスラップもあるわ。…どれがいいかしら」
「買い込みしないでよ、セレン」
 衝動買いで食費まで削らないように、セレアナが釘を刺す。
「うっ、分かってるわよ。あ〜、いろいろあって迷っちゃうわ」
「ピアスがあるわね。私はこれにするわ」
「決めるの早くない?もっとゆっくり選んだほうがたのしいわよ」
「待ってるから、ちゃんと選びなさい」
「私もそのピアスほしい」
 恋人のお揃いのアクセサリーも買っておこうとカゴに入れる。
「それと…」
「まだ買う気?あまり高いのは買わないでよ」
「ねぇ、これ似合う?」
 シルバーのチェーンの間に、宝石っぽくあしらった珊瑚のネックレスを、首元に当ててセレアナに聞く。
「んー…いいんじゃないの?」
「じゃあこれに決めたわ」
 セレンフィリティはレジに行き、ピアスとネックレスを購入する。
 他の店も行きたいと言ったが、セレアナに却下されしぶしぶ宿へ戻った。



「お待たせしました、マスター」
 首には右片翼のペンダント、手首にはレッドスターネックレスを身につけて、お洒落してきたフレンディスはベルクの傍へ寄る。
「あの店に行こうぜ」
 待っている間、どの店がよいか調べていたベルクは、フレンディスを案内する。
「…もう少しこっちに来いって」
 恥ずかしそうに少し後ろを歩くフレンディスの肩にそっと触れ、自分のほうへ寄せる。
「マ、マスター…!?」
「リア充らしく歩こうぜ、グラッジはもう襲ってこないんだしな」
 ベルクは店のドアを開け、先に彼女を店に入れる。
「気に入ったものがあったら言ってくれ」
「……キレイなアクセサリーがいっぱいありますね」
「(こうしてると、ちゃんとカップルに見られるんだろうな…)」
 いつもは彼女が一歩後ろを歩いたり、何か買おうとしても遠慮したりするため、場合によっては周りに兄のように見られそうだった。
「(これだけあると迷ってしまいます)」
 なるべく安いものがよいだろうか?と思い、珊瑚の携帯ストラップを手に取ってみたり、可愛らしいイヤリングを耳に近づけて鏡で見る。
「あの、マスター。決めました…」
「どれだ?…おい、箸置きじゃねぇか。もっと別なものを選べって」
 散々迷ったあげく、一番安いものを選ばれた。
「で、でも。このような高いものを買っていただきましたし」
「あーもう、遠慮すんなって」
「…あちらで素敵な髪飾りを見つけてしまいましたが、少々値段が厳しいかと…」
「なんだ、気に入ったものがあるのかよ。どれどれ…。……えっと、……?」
 値段を見たベルクは見なかったことにして、もう1度確認すると思考がフリーズしかかった。
 フレンディスが選んだサンフラワーを模した花の髪飾りは、それなりのダイヤの指輪が買えそうな金額だ。
 金具部分はプラチナで、花は珊瑚で表現されている。
 花の真ん中はイエローフローライトの石を削って作られているようだ。
「(どうする、俺…!フレイが待ってるし…。うう、ちくしょう!なるようになれだっ)」
 ベルクは髪飾りを手にレジへ向かって走る。
 会計を済ませた彼の財布の中は、かなり切ないことになっていた。



 草薙羽純は甚五郎に土産の1つや2つ、買わないでどうすると言いショップへ入る。
「ほほう、サンゴの飾り物とかなかなか良いではないか」
「何か欲しいものがあるのか?」
「今、それを選ぶところじゃ。急かすでない」
 パートナーは店の待合室に待たせ、ゆっくりと買い物を楽しむ。
「むっ。珊瑚のブレスレットもあるのぅ。飾りがついた帽子もよいな」
「まだか…羽純」
 ショッピングを楽しんでいる間、甚五郎はずっと待たされる。
「どれがよいか悩んでしまうな」
「気合でさくっと選べばいいだろう!」
「それではつまらぬ。そなたは椅子に座って待っておれ」
 せっかくのショッピングを邪魔するなと言いたげに軽く睨み待機させる。
「かんざしもあるのぅ」
 鏡の前で髪にあててみる。
「これにするかの。…甚五郎、決まったぞ」
「やっと決まったか。儂が買うのか?」
「うむ、会計を頼む」
 にこやかに“そなたが買いに行くのじゃ”と告げる。
 甚五郎に拒否権はなく、問答無用で買わされた。
「…ほら、買ったぞ」
「おお、ありがたくちょうだいする。…うむ、よいのぅ」
 さっそく珊瑚のかんざしを髪につけると、そよ風に飾りがシャラシャラ揺れる。



「ニクシーは…。あ、いました」
 レイカはアークソウルで気配を探し、ニクシーを見つける。
「何をして遊びましょうか?」
「……ジャグリングとか………」
「ではボールを買えてきますね」
 投げ合い出来そうなボールを露天で探す。
 黄色や緑色などのボールを買い、ニクシーが待つベンチへ戻る。
「これで遊びましょう。ぇっ?」
 ボールをキャッチされたかと思うと、地面に投げつけられた。
「人が、こうやって遊んでた」
「あ…あぁ、ビーチバレーのことですね。ジャグリングはこんな感じです」
 ジャグリングはボールが浮いている状態を維持するものだとレイカが手本を見せる。
「それともビーチバレーのほうがよいですか?」
「ううん、それがいい」
「分かりました…」
 ニクシーのほうへボールを渡すように投げると、すぐに覚えてジャグリングらしく見える。
「レイカ、あれも投げたい」
「え?あれは…危ないような……。ん…、いえ大丈夫ですね」
 ナイフだっと思ったが、あのひっこむやつだった。
 ボールと一緒にそれも混ぜて遊ぶ。
 気づけばボールは10個…、ひっこむやつも同じくらいの数を使っている。
 熱中して遊んでいると、町の人々が足を止めてレイカたちの遊びを見物していたという。