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開催、第一代目パートナーバカ決定大会

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開催、第一代目パートナーバカ決定大会
開催、第一代目パートナーバカ決定大会 開催、第一代目パートナーバカ決定大会

リアクション

『開始早々乱入もあり、パートナー馬鹿アピールがあり、かなり温まってまいりました。
 次の選手の入場です。次はどなたでしょう、ライナさーん』
『はーい、次は吉木 詩歌(よしき・しいか)選手、不知火 緋影(しらぬい・ひかげ)選手vsエヴァルト・マルトリッツ(えう゛ぁると・まるとりっつ)選手、ミュリエル・クロンティリス(みゅりえる・くろんてぃりす)選手。
 なんだけど……現在エヴァルト選手が行方不明なんだよね』
『なんと、それでは試合の続行ができませんね』
 突然のできごとにざわめきだす場内。
「えー! もう叫びたくてうずうずしてますのに!」
「でも相手がいないんじゃ仕方ないですよ」
「と、闘技大会? ……聞いてないですー! 怖いです怖いです、独りじゃ戦えませんー! お兄ちゃん、助けてー!」
『とりあえずここは一度他の選手たちに代わってもらって……』
「待てぇいっ!」
『だ、誰だお前は!』
「貴様に名乗る名はない!」
 現れたのは高い所で太陽を背にしたロートラウト・エッカート(ろーとらうと・えっかーと)と、木を組んだだけの粗雑な十字架的な何かに磔にされているエヴァルトだった。
 何故こうなったのかはロートラウトに聞いていただきたい。
「ミュリエルちゃん! 新しいお兄ちゃんよ!」
「お、お兄ちゃんが空から降ってきました!?」
 思い切りエヴァルトをリングに投げつけられたミュリエルが目を丸くして驚いている。
 着地の衝撃で磔にされていたエヴァルトが目を覚ます。
「う、ん? ……はっ!? なんか殴られたと思ったら、
 ただ木を組んだだけの粗雑な十字架的な何かに磔にされている!? しかも手足を縛られている……!」
 衝撃的な目覚めかたをしたエヴァルト、の目に映ったもの。それは見知らぬ男(大会運営者)が、
 大事な妹分のミュリエルの手を引いてどこかに(安全な場所に)連れて行こうとしている光景。
 そして先ほど聞こえた、かすかな声。

―――――おにいちゃん、助けてー!―――――

「……俺の妹分を泣かす奴ぁ誰だーッ!」
 束縛を引きちぎり、十字架的な何かを蹴って跳び、空中でアクロバティックな動きで華麗に舞ったあと、
 某ライダー的なキック攻撃で怪しい人物(大会運営者)を蹴りつける。
 着地後、すぐさまミュリエルの方に向う。その姿は兄貴にも、父親にも見えた。
「大丈夫か? 怪我してないか? もう安心だぞ」
「お、お兄ちゃんがいきなり落ちてきたりして驚いてます。
 だけど、やっぱりお兄ちゃんは素敵です! 私のピンチには必ず駆けつけてくれますから! だから、大好き、ですっ!」
 勘違いして大暴れしたエヴァルトだったが、ミュリエルにはそれも自分を想ってのことだと受け取ってもらえたようだ。
「おう! おれはいつでも駆けつけるぞ! この筋肉と共にな!」
「……ほ、ほんとは泣き顔は恥ずかしいから隠したかったですけど」
「ん? 何か言ったか?」
「な、何でもありません!」
「そうか? ……何処のステージか知らんが、蒼空学園内ではあるらしいな……さっさと帰るぞ」
「はいっ!」
 そして何ごともなかったかのようにリングから降りて帰っていく二人。その後にロートラウトが出てきて綺麗にしめる。
「いやーいいもの見れましたね! 以上、過保護な兄貴とブラコン妹のアピールでしたー!」

―――「ブラコン! ブラコン!」「ミュリエル! ミュリエル!」
―――「ロリコン! シスコン!」「エヴァルト! エヴァルト!」

「あ、ロリコンとかシスコンとか言った奴、あとで体育館裏集合な」
 ミュリエルの頭を撫でながら観戦席にガンを飛ばすエヴァルト。言った人はご愁傷さまである。
「さっ、次はそっちの番だよ! 過保護な兄貴をぶっとばすくらいのアピールよろしくね!」
 詩歌たちにそう言って立ち去るロートラウト。
「えーっと、つまり、今度は私たちがアピールしていいってことですよね?」
「でも相手がいないのでは」
『お任せください。すでに代わりの選手(彼女いない暦29年・主食:コンビニ弁当・彼女募集中)を用意させていただきました』
 なぜこの大会にそんな迷える子羊を召喚し、生贄にさし出すような酷なマネをするのかは、あえて突っ込まないでおく。
「よーし、それじゃいっちゃいますよ!」
「私も頑張りますね」
 お互いに手を繋ぎあいながらすでに倒れそうな相手選手を見すえて、二人がアピールを開始。
「ひーちゃんは、私より一つ年下ですけど、私なんかよりもとってもしっかりしています。
 誰に対しても優しくてお姉ちゃんみたいな存在で、私もパートナーとして誇らしいのです」
「しーちゃんは、純粋無垢な子でとても可愛らしい容姿と相まって誰もがついつい頬をゆるめてしまいます。
 そんな素敵な魅力を持っているんです」
 最初からアクセル全開で止まらない二人の攻撃(アピール)に早くも片膝をつく相手選手。
「それにひーちゃんは胸がとっても大きくスタイルも良いのです。
 胸がぺったんこでスタイルもあまり良くない私にはとても羨ましい体つきをしています。……いいなぁ……」
「そ、そんなことないですよ?」
 緋影を羨望の眼差しで見つめる詩歌。その視線に少しだけ顔を赤らめながら控えめに否定する緋影。
「……スタイルについては一旦置いといて、私が良いことをしたら褒めてくれるですし、悪ことをしたら怒ってくれるのです。
 それによく頭をナデナデしてくれて、これがまた優しい手つきで気持ちよく、ついつい笑顔になっちゃいます」
「えっと、しーちゃんは頭を撫でると気持ちよさそうな表情をするんです。
 それから嬉しそうな顔をするのがとても可愛くてたまりません。ほっぺたは柔らかくて、やみつきになってしまうほどです。
 ちょっとだけ涙目を浮かべる顔が何とも言えないこれまた可愛さで、ついついイタズラしてしまうんです」
『おーっと、相手選手が土下座、いいえ土下寝をしている! それもそのはず!
 本会場には現在砂糖の雨が降っております! みなさーん! ブラックコーヒを摂取してくださーい!』
 しかし砂糖の雨はまだまだ降りやむことはない。
「ほっぺたむにーはちょっと痛いですけど、優しい笑みが見れるので我慢です。
 そんなひーちゃんだから何かしら理由をつけて抱きついたり、甘えたりしちゃいます。それでも嫌そうな顔をせずに満足するまで包み込んでくれます」
「嫌なんかじゃありませんから」
「私は、私を幸せな気持ちにしてくれるひーちゃんのことを大切に思っているですし、とってもとっても大好きなのです!
 だからひーちゃん、いつもありがとうなんだよ!」
「……はい、私もこんな私を好きでいてくれるしーちゃんが、とっても可愛いしーちゃんが大好きですよ」
 向かい合って、手を取り合って、笑いあう二人。の、前で土下寝続行中の相手選手。
『勝負アリ! この試合、詩歌選手たちの勝利! タンカー! タンカーを早く! あの人泡吹いてるから!』

―――「サトウゴパァ!」「サトウゴパァ!」
―――「シーチャン! シーチャン!」「ヒーチャン! ヒーチャン!」

 乱入者の退場に、アピールによる試合の終了(実況ストップ)、序盤から展開が読めないこの大会もいよいよ中盤戦。
 一体、どんなアピールが飛び出すのだろうか。