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リアクション
数分前 迅竜 居住区画
クルー用にあてがわれた部屋の一つ。
そこでティー・ティー(てぃー・てぃー)はベッドに眠るイコナ・ユア・クックブック(いこな・ゆあくっくぶっく)の髪をそっと撫でた。
「心配かけて……辛い思いさせて、ごめんね」
泣き疲れて眠ったイコナ。
最近、イコナはティーと源 鉄心(みなもと・てっしん)の二人を怖いものを見る目で覗き見るようになっていた。
イコナにとって大事な存在である二人が、居なくなってしまうかもしれないのは恐ろしくて。
それでも、離れたくないのに。
どうしようもなくて、イコナ本人にもどうしたらいいのかも分からなくなっていた。
「また、必ず帰ってくるから…でも、もし私が少し居なくなっても。……鉄心のこと、お願いね」
イコナにそっと語りかけるティー。
それを見ながら、鉄心は一人物思いにふけっていた。
鉄心がティーを静かに見守っていると、彼女はイコナの寝顔から顔を上げ、鉄心に目線を移す。
不安そうな目をするティーを安心させるように、鉄心は優しげな微笑みを浮かべると、一度ゆっくりと頷く。
「力を貸すとは言ったが、大切なことはいつも君自身に決めさせてきた。そういう『契約』だったからな……今回も、好きに選べば良いさ」
ティーが戦いに迷いを感じ始めているのに気付いた鉄心は、彼女をそっと見守ることにしたのだ。
「いきましょう」
ティーはもう一度、イコナの髪を撫でてから立ち上がる。
「ああ」
鉄心が言うのはそれだけだ。
そして、二人は並んで格納庫へと歩き出した。
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