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【第四話】海と火砲と機動兵器

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【第四話】海と火砲と機動兵器

リアクション

 同時刻 海京沖合 土佐前方
 
『やっぱり来たな。まぁ、ここまでイコン関連施設襲ってきといてここ狙わない理由がないもんな――ただ、ここがどこだが分かってねぇようだな。イコンにおいて他に並ぶものない天御柱学院。そこにイコンで喧嘩売るって事がどういうことか教えてやるぜ』
 土佐の前方に滞空するフラフナグズのコクピットで斎賀 昌毅(さいが・まさき)は呟いた。
『敵もなかなか気合入ってますね。ここでどれだけ数を減らせたかで海京の被害が全く変ってきますから、一秒でも早く全部沈めちゃいましょう。ただ、みんな無理だけはしないでくださいね』
 サブパイロットシートに座るマイア・コロチナ(まいあ・ころちな)はフラフナグズの背後に控える天御柱学院イコン部隊に向けて通信で言う。
 マイアが開いた通信回線を使い、昌毅は友軍機の全帯域に向けて宣言する。
『さぁ、てめぇら思い上がった馬鹿共に目にもの見せてやろうぜ! 俺達は誰よりも長くイコンに乗っている! 俺達の背後には誰よりも深くイコン整備に馴染んでいる仲間がいる! 如何に敵の機体がオーバースペックだろうとチームで戦う限り恐れる必要は無し!』
 昌毅が宣言しているのと並行して、フラフナグズは抱えたバスターライフルのセイフティを解除する。
『決して迅竜が来るまで持ち堪えようなんて思うな! 攻めて攻めて相手に反撃の隙を当てないくらい攻め抜いてやれ! 救援が来るまでには終わらせるくらいの気概でいくぞ! ここが天学であるということを思い知らせてやれ!!』
 まさき宣言を終えるなり、通信帯域には雄叫びが幾つも重なって割れんばかりに響き渡る。
 雄叫びの響き渡る中、フラフナグズは打って出た。
 手始めにガネットの一機をバスターライフルで狙撃するフラフナグズ。
 被弾して沈没しかけるガネット、その上に乗る“ヴルカーン”もバランスを崩しかける。
『将を射んとすればまず馬を射よ』
 そう呟くマイア。
 ガネットが沈みかけたせいで、“ヴルカーン”が姿勢制御に注力する。
 それによって生じた隙を、昌毅は見逃さなかった。
『今だ! 全機一斉攻撃! あの“ヴルカーン”に全火力を集中させるんだ!』
 言いながら自分もバスターライフルを撃つ昌毅。
 それと同時に天御柱学院イコン部隊が射撃武器を“ヴルカーン”に向けて放つ。
 イコンの大部隊による一斉攻撃がたった一機に集中しては、たとえ一対多を想定した“ヴルカーン”といえども押し切られてしまう。
 たちまち“ヴルカーン”は大爆発を起こし、それを乗せていたガネットも巻き添えをくう形で爆発する。
『このまま一気に押し切る! いくぞ!』
 機体の性能、パイロットの練度の両面において最高レベルの天御柱学院。
 更にその上でまとまった数が揃った部隊とあれば、その戦闘力が高いことは想像に難くない。
 そして個々人は勿論、高い連携を活かしたチームでの戦いによって、天御柱学院イコン部隊は一機また一機と“ヴルカーン”を撃破していく。