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【第四話】海と火砲と機動兵器

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【第四話】海と火砲と機動兵器

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 同時刻 海京沖合 海上
 
 一方、“ヴルカーン”部隊とは違う方向から攻めてくる敵機の迎撃へと打って出る者もいる。
『教官、よろしくお願いしますなんだよ☆』
 フェオンのコクピットから鳴神 裁(なるかみ・さい)は無線で話しかけた。
 相手は天学から出撃した十機のジェファルコンのうちの一機。
 そのパイロットは彼女の教官である。
『ああ。これは実戦だが、訓練で俺たち教官が叩き込んだことが役に立たないわけじゃない。心してかかれ』
『ごにゃ〜ぽ☆ もちろんなんだよ☆ 既にボクもフェオンも準備完了なんだよ☆ いつでもかかってこいだよ!』
 その言葉通り、裁は黒子アヴァターラ マーシャルアーツ(くろこあう゛ぁたーら・まーしゃるあーつ)を装着し、ドール・ゴールド(どーる・ごーるど)を纏っている。
 更には物部 九十九(もののべ・つくも)を纏っており、戦闘準備は万全だ。
『上出来だ――来たぞ! 行くぞ、鳴神!』
 教官の声を合図にフェオンとジェファルコンは標的である敵機――ガネットに乗った“ドンナーbis”へと仕掛ける。
『武術とはそも生存技法、ならば生き残るためにあらゆる手を尽くすのは当然のこと。まさか、二人がかりが卑怯だなどと甘っちょろいことを言ったりはしないよね☆』
 機外スピーカーで話しかけながら、フェオンは氷剣を振りかぶる。
 それと同時に教官機も光刃を振りかぶった。
 左右からのタイミングを合わせた同時攻撃、一方の“ドンナーbis”は素早く“斬像刀”を抜き放って応戦する。
 ほんの僅かに存在する時間差を利用してフェオン、教官機の順で攻撃を斬り払う“ドンナー”bis。
 この時点ではまだ互角だ。
『ごにゃ〜ぽ☆ まだまだいくよっ!』
 フェオンが追撃をかけようとした時だった。
 異変は突然起きた。
 なんとフェオンが突然システムに異変が生じ、機体のパフォーマンスが物凄い勢いでダウンし始めたのだ。
 裁の目の前ではモニターが大量のエラーメッセージを洪水のように流していることだろう。
 もはやろくに動けなくなったフェオンは水没しないのが精一杯。
 人間でいえば、立っているのがやっとの状態といったところだろう。
『ごにゃ〜ぽ……どういう……こと……?』
 混乱する裁の声がスピーカー越しに聞こえた途端、それをかき消すように教官の声がスピーカーを通して響く。
『こ、こんなことが……コントロール……ロスト! 繰り返す、当機はコントロールをロスト! このままでは危険だ! 周囲の友軍機は速やかに退避さ――』
 すべて言い切る前に教官機の動きが突如として元に戻る。
 そのまま教官機は光刃を振り上げ、フェオンへと体当たりしながら斬りかかった。
『ごにゃ〜ぽ……!? どうして……!?』
 ろくに動けない所に斬りかかられ、フェオンはろくに防御姿勢も取れないまま、海京の沿岸まで吹っ飛ばされていった。