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第6章 アブノーマル? それとも日常?

 本来なら、彼女たちは弓矢の餌食にはならない筈だった。
 それなのに。
 ぷすっ。
「ん?」
 恋人のセレアナ・ミアキス(せれあな・みあきす)と参拝中だったセレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)は、変な音を聞いたような気がして隣りを見る。
 いつもと変わらぬ美しい恋人の横顔。
 ああ、無事参拝もできたし、これであたしたちの愛は永遠ね……とか夢心地だったセレンフィリティに突然冷や水が浴びせられた。
「セレン……私を、いじめて」
「はぃい?」
 突然の恋人からの、しかもキャラに合っていない言葉。
 聞き間違えかと思い、もう一度聞いてみる。
「えーと、なんて?」
「だから、私を責めて。打って、言葉で嬲って狂わせて!」
「どどどどうしちゃったのよセレアナ。そんなガチMな事……」
「嫌?」
 跪きセレンフィリティを見上げるセレアナ。
 その青い瞳は潤み、全身からは香り立つほどのいじめてオーラ。
「こ、これは……」
 いつもと違う恋人の様子に、ぐらりとセレンフィリティの理性が揺れる。
「ね、お願い……」
 ぐらぐらがこーん。
 理性はあっさり崩壊した。
「よしきた任せて! セレアナ、一緒に獣になりましょう!」
 セレアナを抱えると、セレンフィリティは走り出す。
 目指すは人気のない、神社の裏手。
 どさりと、落ち葉の上にセレアナを横たえる。
「なんて……獣になるのは、あなただけね。セレアナ」
 くすりと笑うセレンフィリティの表情は、恋人に当てられたのか嗜虐の色に燃えていた。
「醜くって、汚らわしい獣。獣には、お似合いの目にあわせてあげる」
「は……あ、セレン。お願い……っ」
「あれえ、獣がおしゃべりなんかするかしら。おまけに、お願いだなんて」
「ああっ、すみません!」
「だから、おしゃべりは禁止」
「あ、ぐっ」
 セレアナの舌を掴む。
 顔近づけた二人は、どちらもこの上なく恍惚とした表情をしていた。

   ◇◇◇

 そしてこちらも、本来ならば矢の餌食にはならない人物。
 既に矢に射抜かれていた城 紅月(じょう・こうげつ)は、その道ならぬ想いに身を焦がしていた。
「じ……人外が……人ならざる者との交遊って、ロマンだよね……」
 紅月の視線の先には、五十嵐 虎徹(いがらし・こてつ)
(ああ、刀……人外……無機物! たまらないっ!)
 その滾る思いは止まらない。
「ああ、もう我慢できないっ!」
 紅月は突然、歌いだした。
 今の気持ち、人外への愛を。
「紅月がおかしくなった?」
 紅月の行動を比較的暖かく見守っていた虎徹も、これにはさすがに虚をつかれたのか立ちすくむ。
 しかし聞いているうちに、何とはなしに紅月の気持ちを理解する。
「へっへっへ。紅月の奴、そんな回りくどい事しなくっても良いのに……」
「ふぅ、スッキリした」
 歌い終え、気持よさそうに笑う紅月の腕を取る。
「なら、俺の方もスッキリさせてもらおうか」
「え……えぇ?」
 虎徹の手によって紅月は為す術もなく浚われて、神社の本殿の中へと連れ込まれる。
「だっ、駄目だよこんな所で……っ」
「何言ってんだ。欲しがってたんだろ? 神様にもたっぷりと見せつけてやろう」
 既に手慣れた所作で紅月の衣服を剥ぎ、その下の紅月の体に手を這わす。
「あっ……ああっ」
 紅月の抵抗が次第に薄れていく。
 否。
 途中から、まるで半ば望む様にその体をくねらせる。
「さあ、それじゃあお前の欲しいモノをくれてやるぜ」
「え、待って。俺は刀になった虎徹の方がっ」
「俺の抜身の刀、味わわせてやるぜ」
「そっちの刀じゃなぁい!」
 なけなしの抵抗を試みる紅月。
 それを軽くいなしている虎徹の袖口から、何かが落ちた。
「……それはっ!」
 性夜専用アイテム2点。
「ほら、準備はばっちりだぜ」
「……も、やだっ……」
 半泣きになりつつも、最終的には虎徹に散々啼かされる紅月だった。