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リアクション
――レストラン
「コッペパンを要求するですの! あとデザートぉ!!」
メニュー表を開いて、イコナ・ユア・クックブック(いこな・ゆあくっくぶっく)が注文を叫ぶ。だが、テーブルのインターフェイスにそのような叫び方をしても、音声認識はしてくれません。
「イコナちゃん行儀よくしないと」
ティー・ティー(てぃー・てぃー)がイコナを優しく叱ると、前に座る二人に尋ねる。
「二人も何か頼みます?」
向かいにするわって居るのは源 鉄心(みなもと・てっしん)、そして極東新大陸の研究者、一口A太郎。
「いいんですか? 僕もご一緒させてもらっても?」
「構いませんよ。どうせここで食べてからでないと、前の二人が怖いですし……」
『この国のご飯は美味しいのか?』と現在においては全くどうでもいいことに興味を持ったイコナとティに屈し、商業施設内のレストランに入ることになった。本当なら弁当で済ませるはずだったのだが、どうしてこうなったのか鉄心は心底疑問だった。
そんな折、商業施設内を彷徨いていたA太郎を見つけ、彼も食事に誘った。その理由は幾つもあるが、一番は彼の持つアタッシュケースの中身の事が気がかりだったからだ。
食事代の捻出はもちろん鉄心。タリスマンと腕時計を骨董品で売って多少の資金を得たが、この分だと数日持たないだろう。
「あまり高いもの頼むなよ。そう資金はなんだからな」
とんでもないものを注文しそうなイコナに釘を指しておく鉄心。
「お金がないだなんて、鉄心は甲斐性なしですの……」
「では、イコナにおごってもらおうか? 俺よりも”ここのお金”持っているみたいだし」
「わー!? わー!? れでぃに奢らせるつもりですのぉ!? 」
無論イコナはこの国のお金なんて持っておりません。ホント、食費のかかる料理本である。
「あれ? 鉄心さんと極東の人だよね?」
偶然同じ店に入った朝斗が声をかけてきた。
「あ、あさにゃんだ。でも猫耳ない!」
とイコナが指差す。
「……それやめて……」
「あら、可愛い子が二人も……隣の席にいいかしら?」
ルシェンがイコナとティーを見て顔が綻ぶ。よだれが垂れてます。
「皆さんも食事ですか?」
「今からここで歴史を調べるついでにね」
ティーの問にミルティアが答え、ルシェンから借りているブローチ型【AirPAD】から書籍を開く。
ブローチを見て鉄心が言う。
「ああ、それキミたちも買ったのか」
「これ、あたしのじゃないけどね。鉄心さんも買ってたんだね」
「ええ、教導団(うち)の歩くスパコンに『買え』と言われてね」
「僕らもそうだよ。なんか『前のより大分劣るな』とか言ってたけど」
《テレパシー》を受けていた朝斗もだったようだ。
「へえ、じゃあこっちで大まかな歴史の流れを本で見つつ、その【なんたらパット】で詳しいこと調べてみようか? 食事しながら」
ミルディアの提案に全員賛成した所で、アンドロイドがイコナの注文を並べはじめた。
鉄心はイコナの方を何も言わずに細目で睨みつけるのだった。
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