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狂乱せし騎士と魔女を救え!

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狂乱せし騎士と魔女を救え!

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「ここが話しに聞いた……なかなか良い雰囲気の古城ですね」
 巨人とモンスターを掻い潜り古城にやってきていた東 朱鷺(あずま・とき)
 古城があると聞いてこの地にやってきていた。先にきていた調査班とは行き違いになったようだ。
「あの巨人のこともありますし、こちらに被害がなければいいのですが……おや?」
 朱鷺が感じたもの、それは激しい怒り。
「これが、この古城を震えている要因? ここに一体何が、後から見ると石像か何かが置かれていたと見受けられますが……少し、やってみましょうか」
 怒りが渦巻いている場所の床に散らばる石片に触れる。
 残留思念が朱鷺の中に流れ込んでくる。これが【サイコメトリ】の能力。
「なるほど、指輪を盗まれてしまった、と。朱鷺に任せてください。取り返してきましょう。その代わり、ここを見学させてもらいますね」
 立ち上がる。そのまま空に浮遊しようとするも失敗。瘴気の影響である。
「空中がダメなら地上から、と思いましたが……どうやら鼠は自らやってきたようですね」
 物音が聞こえる。古城を敬うでもなく、助かりたいためだけのがさつな物音。
「……古城から指輪を盗んだ野盗よ!! 葦原の東朱鷺を敵にしたくなければ、出てきなさい」
「ひいっ!?」
 【名声】と【警告】で迫力を増した朱鷺の宣言に声をあげたのは、野盗の一人。
「そこですか。では、式神よ。悪者退治と参りましょう」
 【ホークアイ】と【神の目】を使い一瞬でまぬけな野盗の位置を把握し、間髪いれずに式神を召喚する。
「く、くそう! 意表をついてここなら安全だと思ったのに!」
「つべこべ言わず、指輪を返しなさい」
「うおわっ!」
 容赦のない攻撃をギリギリでかわす野盗。
「に、逃げるが勝ちだ!」
「待ちなさい! ……ここが古城でなければ全力でいけるというのに」
 古城を傷つけないように動いているため、本来通りの力が出せないのだ。
 一度古城を荒らしにきて、古城内部を網羅している野盗は一目散に逃げさる。
「な、なんとかにげ」
「きれはしないですよ」
「年貢の納め時ね」
「なっ!?」
 野党の逃げた先には霜月とクコが立っていた。その後ろでは吹雪にイングラハムもいる。
「おや、助けが入りましたか」
「こちらこそ、助かりました。さて、指輪を返せば痛い目には遭わせませんが?」
「い、今さらどうにもならねぇだろーが! ならこの指輪はもらったって」

ドサッ。

「その気持ち、わからなくもないでありますが、諦めは肝心でありますよ」
「我よりも小物よの」
 音もなく忍び寄り当身で野盗を倒した吹雪。
「指輪、奪還完了ですね」
「自分のものであります! と言いたいところですがここは我慢するであります」
「乗りかかった船、最後まで手伝いましょうか」
 指輪を奪還した五人も巨人の頭頂部へ向い走る。

「各員へ連絡。騎士と魔女についてだが、一度石像に戻せば二度と治らない可能性が高い。指輪を使うか、使わないか現場の者たちの判断に任せる。以上」
「あはははーモンスターいっぱーい♪ でもこの猛吹雪に勝てるかな〜?」
「アニス、あまり派手に暴れて注意を引くなよ」
「りょーかい!」
 【ホワイトアウト】と【雪使い】で部分的に猛吹雪空間を作り出し、モンスターを一掃してアニス。
 これ以上派手にならないように和輝がそれをたしなめる。
「……指輪を使うか、そうでないか。さて、どう転ぶか」