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婚活卯月祭、開催中!!

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【時に、小説より奇なり!?】

 混み合う丘の中腹で、お互いをぽかんと見つめている男女がいた。

 話は、今朝に遡る。セドナ・アウレーリエ(せどな・あうれーりえ)は、せっかくお祭りに行くことになったので瀬乃 和深(せの・かずみ)と恋人として行きたいと思いっていた。
 そこで出かける前、セドナは瀬乃 月琥(せの・つきこ)に「卯月祭で和深に本気で告白したい」と相談をしたのだ。
「兄さんはとりあえず口では背が高い巨乳大好きと言っていますが、実際の所、口だけです。ヘタレです。勢いだけです。本気で好きになってくれる人の好意は無下にはしませんし、ついでに押しに弱いです。セドナは――私と同じように妹みたいな感じで守ってやりたいと思っているぐらいでしょうね。ですから、まず女として意識させるためにガンガンアタックをするべきです。勢いでたぶんなんとかなります」
 と、月琥はアドバイスをくれたのだが……実は、月琥は寝ぼけており、思ったことを口にしているだけだったのだ。しかし、セドナはそんなことはつゆ知らず。
「分かった。それとなくアタックしていてはダメなんだな。ガンガンアタックしてみよう」
「とりあえず、がんばってください(二度寝したい)」
 心の中の声が半分漏れている状態でセドナを見送った月琥は、数分後には夢の中へと旅立って行った。


 さて、当の和深は何一つ知らず卯月祭にやってきた。隣にいるセドナの胸中など知らずに、丘の上のカップル達を眺めながら(からかってやるか?)などと呑気なことを考えていた。
 ようやく隣を歩くセドナの様子が違うことに気付いたのは、和深たちが丘の中腹を歩いている時だった。
「どうしたんだ?」
 とセドナに声をかけた瞬間。

「好きだ」

 セドナが、言った。セドナの頭ではその思いが一杯に溢れていて、つい口に出てしまったのだ。
 そして、話は冒頭に戻る。

「……は?」
 思わず間抜けな声を上げる和深。
「我は誰よりも和深のことが好きだ。いつまでもどこまでもお前の隣を歩いていきたいんだ」
 真剣な眼差しのセドナ。その真剣さに和深が言葉が出ずにいると、はっ、と我に返ったかのように、
「い、今のは我の本気の気持ちだが答えをいきなり貰おうとは思っていないぞ。とりあえず考えておいてくれ」
 と、焦った表情で言うセドナ。
「つ、次はどこを見に行こうか」
 告白をごまかすかのように、セドナは先を歩き始める。そんなセドナの後姿を見ながら、和深は自分の気持ちを真剣に考えることにしたのだった。