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リアクション
「店からここまでそんなに距離ないのに、その間に二回もナンパされちゃったね。びっくり」
芽依に薦められた穴場スポットにやってきて、すとん、と円がシートの上に腰を下ろした。僅か数十メートル程度の距離を移動しただけだったのだが、ちょうどその間に通った道がナンパしている人のたまり場だったらしい。
「円が『恋人同士なので』って言っているのにね」
ネージュの店で買ったハーブティーを持ったパッフェルも、続いて腰を下ろす。
「でも、本当にここは静かで良い場所だね」
「うん。あのお店で穴場を教えてもらえて、良かった」
そう言いながらパッフェルがクレープに目をやった。円はすぐに気付いて、小さく笑みを零す。
「それじゃ、はんぶんこして食べよっかー」
二人は、買ってきた食べ物を一緒に食べながら、とりとめもない話をしていた。クレープを食べさせ合ったり一緒にハーブティーを回し飲みしたりして、初夏の穏やかな丘に寝転がった。
そんな、何と言うこともない時間が、円にとってとても幸せだった。
「最近のお仕事はどんな感じ?」
「今まで通り……頑張ってる」
パッフェルはクレープを食べながら、答える。
「そっか。無理しないでね」
「ありがとう。……円も、ね」
二人はのんびりと雑談を楽しみながら、甘い時間を堪能した。
円はパッフェルの話を、うんうんと大きく頷いて聞いて、パッフェルは小さく頷きながら、微笑んで聞いて。
そんな二人の周りには、幸せそうな空気が漂っている。
「……ねえ、卒業したら開こうって約束してるサバゲーのお店、パッフェルはパラミタと地球のどっちに開きたい?
ボクは地球でもパラミタでも、パッフェルと一緒に居られればどっちでもいいよ」
円の質問に、パッフェルは少しの間口を閉ざして考えていた。
「――できれば、シャンバラがいい」
「シャンバラかあ」
「……でも、地球への出店にも興味がある。円の故郷だから」
パッフェルの言葉に、円は自分のことを考えてくれているんだ……と、嬉しくなった。
「うん! ――ボクも、これからも経理の勉強頑張るね」
円は幸せそうに微笑んだ。そんな円を見て、パッフェルも口元を緩める。
「あ、そうだ。あのお店で売ってるペアのお守り欲しいなー」
「ペアの……って、ウサギのお守り?」
「うん。人気なんだって! 今日の思い出に、どうかな?」
ちょうど、二人の座っている位置から土産物屋が見えている。
「あそこのお店にあるかな?」
「……見てみたい」
「見にいってみよっか!」
円とパッフェルは、手を取り合って立ち上がった。
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