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失われた絆 第2部 ~ゴアドー島の記憶喪失者たち~

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失われた絆 第2部 ~ゴアドー島の記憶喪失者たち~

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■第四幕:人喰いの噂・目撃証言


 九条の元に検査結果が届く前のこと。
 行方不明者・白骨事件の解決に乗り出していた面々は情報を共有し合いながら調査を進めていた。
「目撃証言ないねぇ」
「そうだな」
 清泉はモーベットと共に街を歩いて情報収集に励んでいた。
 彼はメモ帳を開くと身元が確認できた被害者の足取りから犯行時刻をまとめる。
 メモ帳には犯行現場で得た情報も書かれていた。
 綺麗に骨だけ残した現場や肉片などが残った現場など、事細かく書かれている。
「朝昼晩……なんか食事みたいだねぇ」
「実際食べているんだから食事なんだろう。偏食だが……」
 進む先、街道で教導団員に指示を飛ばしているトマスの姿が見えた。
 何かあったのだろう。島民をどこかへ誘導しているようであった。
「あっちもあっちで忙しそうだなぁ」
 近づくと彼の声が耳に届いた。
「急がないで! 僕たちの指示に従って移動してください」
 ふう、とため息を吐いてトマスは呟いた。
「もうこれ以上の犠牲者は出さない。僕が、そう決めた」
 彼自身、この事件に思うところはあったのだろう。
 その言葉には重みが感じられた。
 清泉たちに気付く様子のないトマスから離れると清泉たちは調査に戻った。



 住宅街を中心に聞き込みをしていた夜刀神は成果のない現状に苦しんでいた。
「不審者もそれらしい事件もなしか……」
 住宅街を抜けて大通りに出た。
 昼間ということもあってか人通りは多い。
「こうなってくると人気を避けているというのも信憑性が高いな」
 見回してみれば見知った顔の混ざった集団がやってくるのが見えた。
「……ん? あれは……久瀬か……?」
 話しかけようとするが、なにやら楽しそうに皆で話している様子を見て考えを改めた。
(……調査が優先か)
 夜刀神は考え、彼らとは逆の方向に歩き始めた。
 道すがら聞き込みをするがニュースや噂で流れている以上の話は聞けなかった。
 しばらく歩いているとホリイ・パワーズ(ほりい・ぱわーず)とブリジットが各々店から出てくるのが見えた。
「どうだった?」
 彼の問いにホリイが答える。
「最近、あまりみたことのない人物を見掛けるようになったって話が訊けましたよ!」
「ワタシも同じです」
 ホリイは市場など朝早くから動き出している店を、ブリジットは夜に開く酒場などを調べていたようだ。話を聞いた夜刀神は得られた情報をまとめる。
「つまり早朝は老人が、朝は若い男が、夜は老人が、深夜は若い男が街で見かけられているってことだな」
「そうです。話を聞く限りだと若い男の人っていちごさんのことみたいですね」
「ワタシもホリイに同意します。老人の方は不明ですが……おそらく容疑者の老人と同一人物でしょう。モーベットたちからの報告を踏まえると時刻も一致します」
 彼の結論に夜刀神が頷いた。
 そういえば、とホリイが訊ねた。
「草薙さんは?」
「事件現場を調べに行っているはずだ」
 上がってきた報告を確認しながらブリジットが告げる。
「成果はないようです」
「このあとは裏通りとか調べる予定みたいですよ」
「そうか。わしらも引き続き調査をして情報を集めるとするぞ」
 夜刀神に二人は頷くとその場で別れた。
 彼らの間を一人の少女が走り抜ける。
 乳白金に輝く綺麗な髪の少女だ。