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ホテル奪還作戦

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ホテル奪還作戦

リアクション

 2章


 パーティ会場から脱出した契約者達が、それぞれ事件解決の為に動く中、人質として捕まってしまった契約者達もいた。
 広瀬 ファイリア(ひろせ・ふぁいりあ)もその一人である。彼女は無力な人達を置いてはいけない、との思いから、会場に残ったのだ。
「大丈夫ですっ! 外の人が助けに来てくれるはずですし、ファイ達が力を使えるようになったら、みんなを必ず守り抜いて脱出できますです!」
 ファイリアは怯える財界人たちが騒いだりしないようになだめ、時には励ましていた。
「お母さんもウィルちゃんも、こういう状況を潜り抜けてきたベテランさんです。みんなの事はファイ達が守ってみせますです!」
 ファイリアが人質となった財界人と一人一人会話しているのを見て、ウィノナ・ライプニッツ(うぃのな・らいぷにっつ)は、ふう、とため息をつく。
「彼らを静めるのをファイに任せて正解ね」
 その言葉に、ウィルヘルミーナ・アイヴァンホー(うぃるへるみーな・あいばんほー)が反応する。
「そうですね。下手に騒いでテロリストを刺激してしまってはいけませんからね。こういうことに関してはファイリアさんには適任です」
「そうねぇ。でも……」
 そこでウィノナは、ファイリアに近づく数人のテロリストに目を向ける。ファイリアの行動が目に留まったのだろう。何か危害を加えようとしているのかもしれない。
「ああいう輩の相手は、ボク達の方が適任かもね」

   ■

「おい、そこのお前。さっきから何してる」
 テロリストの一人が、ファイリアに声をかける。それに対し、ファイリアは臆する事無く言い返す。
「こんな状況だし、みんな不安になるのは仕方ないと思いますです。ファイはそんなみんなを、元気づけてるだけです」
「目障りだ。やめろ」
「どうしてですか? 特に問題はないはずですよ?」
「いいからやめろって言ってんだ!」
 テロリストはアサルトライフルのストックでファイリアをどつこうとする。
「はいはい、ちょっと待った」
 そこでファイリアとテロリストの間に、ウィノナとウィルが割り込んで来た。ウィノナは強気な態度で言う。
「こっちはおとなしくしてるんだ。そっちも余計なことするんじゃないよ!」
 対し、テロリストはウィノナの言いように機嫌を悪くしたようで、
「お前らなぁ、この状況分かってんのか? 俺のきまぐれ1つで命が無くなってもおかしくないんだぞ?」
 言いながら、手に持つアサルトライフルをちらつかせる。
 ウィノナはそれを見て、はぁ、とため息をつき、
「ボクは長き時を生き抜いてきた魔女。技を、魔術を封じて圧倒する武器は無くても、長く生きて学んだ論理と経験までは奪えない。自分だけが武器をちらつかせないと脅す事も出来ないひよっこなんて怖くはないんだよ……?」
 続けて、ウィルも吼える。
「私は騎士の英霊。剣と盾を奪われても、この身は弱きものを守るために生き抜いた誇りがある。その誇りを、貴様達の武器如きで奪えると思うな!」
 2人に睨まれたテロリストは、苛立ちが頂点に達したらしく、
「ああそうかい分かったよ! あんたらが早死にしたいってことがよぉく分かった! 死ね!」
 2人に向けて銃口を向ける。だが、ウィノナとウィルは臆することなく前を見据える。そして、テロリストの指がトリガーにかかったところで――

「あ〜、ちょっと、ストップストップ」

 と、一人の女の子が止めに入った。
「何だ、お前も殺され――」
 女の子に銃を突きつけようとしたところで、テロリストの言葉が思わず途切れる。
 目の前に広がる光景があまりにも衝撃的だったからだ。
「な……何をしている……」
「えぇ〜? 見て分からないの? おっぱい揉んでるんだよ。おっぱい」
 テロリストの目の前では、クリームヒルト・オッフェンバッハ(くりーむひると・おっふぇんばっは)のその豊満な胸を、神月 摩耶(こうづき・まや)董卓 仲穎(とうたく・ちゅうえい)が一心不乱に揉みしだいていた。
「あ、ああんっ、摩耶、穎ぃっ♪ はぁぁ、そんなぁ♪」
 クリームヒルトは艶かしい声を上げ、
「こんなオバサンの相手するよりさぁ。ボクたちとイイこと、しない?」
 神月が妖しく微笑みながら言う。後ろでウィノナが「おばッ……!?」とキレているが、そんなことは気にせずに、董卓も自分の胸やお尻を存分に強調しつつ、テロリストを誘惑する。
「ほら、私たちのこと、好きにしていいのですよ?」
 さらにはクリームヒルトがミム・キューブ(みむ・きゅーぶ)のこれまた豊満な胸に、白魚のような指を食い込ませ、柔らかい弾力をもって変形させる。寄せてみたり、持ち上げてみたりと、誘惑する。ミムも自分の股をごそごそと触りながら、
「ミムちゃんのこと、いっぱい触って弄って欲しいのー」
 と、可愛らしい声で言う。
 そんな彼女達を見て、テロリストは、
「……ふん、いいだろう。どうなっても知らないぞ?」
 と、快諾した。それを聞いて神月は、
「望む所だよ♪ じゃあ、近くの部屋に移動しようか。あ、ヤりたい人は皆ついてくると良いよー、それこそ何人でも♪ ボク達の手練手管に性の経験を活かして、目一杯濃厚な御奉仕をしてあげる……♪」
 やがて、神月、董卓、ミム、クリームヒルトの4人と、テロリスト5人程が会場を出て行った。
 残されたウィノナは呟く。
「助けてくれたのかしら? ……正直、そうは見えなかったけど。それにしても、やっぱり男って単純ね」

   ■

『リリン様、何と可愛らしい♪ ほら、こんなになっていますわ……♪
『やっ、そこはッ……ふぅッ!?』
『あらあら♪ ここがイイのですか? それではもっと……♪』
『ふぁッ!? あッ……んぅっ……うぁぁ……』
『ほらほらほらほらぁ♪』
『ひっ……ぁんっあっあっあっあっ!』

   (略)

「……なーんてことをしてるうちに、何か大変な事が起きていたようでございますね」
「そ、そうですね……ふぅ……」
 アンネリース・オッフェンバッハ(あんねりーす・おっふぇんばっは)リリンキッシュ・ヴィルチュア(りりんきっしゅ・びるちゅあ)は、そんなことを言いながら武器となるものを探す。
 ここはパーティ会場近くの一室である。2人共、パートナーと共にバイトに来ていた身であるが、真面目に働いていたというわけではないようだ。おかげでテロリスト襲撃という事件につい先程まで全く気づいていなかった。
「摩耶様達も人質になってしまっているのでしょうか……。心配です。あ、とりあえず武器はこれを使うことにしましょう」
 リリンは言いながら、側にあった消火器を掴む。消火器は煙幕代わりにもなるし、打撃武器として扱うこともできる。
「……リリン様。ちょっと」
 そこで、アンネリースがリリンを呼ぶ。部屋のドアの隙間を覗いている。リリンも同じように覗き込む。
「あ、あれは、摩耶様に穎様、それにミム様、クリム様まで! 男に連れられているみたいですね。助けに行かなければ……!」
 実際には彼女達がテロリストを連れているのだが、リリンにはそうは見えないらしい。
「リリン様、機会を待ちましょう。今行っても、銃で蜂の巣にされるのが目に見えております。それに、そう簡単に私達の主はやられませんよ? チャンスは必ず来ます。それまで辛抱でございますよ」

   ■

「い、いやっ! やめて!」
 ホテルの一室から、そんな声が漏れる。声の主はアリア・セレスティ(ありあ・せれすてぃ)である。
 彼女の今の状況を簡潔に表すと、一人のテロリストに目をつけられているのだった。
(どうして……もう、こんなこと、されたくなかったのに……)
 彼女は給仕としてホテルで働いていたのだが、容姿とスタイルの良さがテロリストの目を惹いてしまったのだ。
 テロリストはアリアの両手を掴み、もう一方の手で胸に触れてくる。
「遠慮なく楽しませてもらうぜ」
「いや、いや……もう嫌ぁ……」
 アリアは耐えきれなくなり、顔を酷く歪ませて涙を見せる。
「泣いてんじゃねぇよ。どうせお前も望んでのことだったんだろう?」
「そんなことないッ……あ、あ、お願い、や、やめ……いやあああああああ!!」
 男がアリアの下着を掴み、脱がそうとしたところで、
 
 バンッ! と、部屋のドアが勢い良く開けられた。

 男は瞬時に手元にあった銃を手に取り、構えようとするが、
「待て待て、俺達だ」
 ドアから入って来たのはテロリスト達だった。さらにその後に、4人の女の子が付いてくる。
「ありゃ? 先にお楽しみだったかしら?」
 入って来た女の子の一人、クリームヒルトはアリアとテロリストの男を見て言う。
「あぁ、まぁいいや。どうせだし一緒にヤりましょう♪ 何でも人数が多い方が楽しいからね♪」

   ■

「摩耶様が辱めに遭っておられる! …っく、このような狼藉…許すワケには参りません!成敗してくれます!」
「リリン様。落ち着いて下さいまし。……それでは行きますよ? せーのッ!」
 リリンとアンネは息を整え、女性の艶かしい喘ぎ声がこだまする部屋に同時に突入する。
「な! 何だお前ら……がっ!?」
 リリンは持っていた消火器で、うろたえるテロリストを片っ端から殴っていく。不意打ちは成功したようで、6人のテロリスト全員を昏倒させた。
「ふぅっ! これで悪は滅び……って、え、摩耶様…!?」
 リリンは突然抱きついて来た神月にたじろぐ。神月が裸だったから、というのもあるが、自分の主人が抱きついてきたことに驚いたのだった。
「もう、リリンちゃんやりすぎだよ。折角お楽しみの最中だったのに」
「ふぇ? お楽しみ?」
「そうですよ、リリン様。折角のお楽しみを邪魔するなんて無粋ですわ。これはお仕置きが必要ですかしら♪」
「? 穎様? どうしました? 何故にわたくしの服を脱がそうとしているので?」
「あれ? そいえばリリンちゃんとアンネちゃん、2人共何してたの? 何かえっちな匂いがするの」
「あ、ミム様、それはその……。って何しておられるのでしょうか? 何故わたくしの下着に手をかけて……?」
「そういえば、先程はテロリストの襲撃でリリン様とのお戯れが中断されたのでしたわね。ここで続きをしましょうか♪」
「ア、アンネ様? 続きって……」
「こういうことよ♪ リリン」
 そこでクリームヒルトはリリンの胸を掴み、勢いよく、揉む。
「ふぁッ!? クリム様!?」
「分かっているんでしょ? ふふ♪ あ、それからぁー」
 クリームヒルトは、こっそりと部屋から逃げ出そうとしていたアリアの首ねっこを掴む。
「ひっ!?」
「あ、な、た、も♪ 一緒に続き、しましょ♪」
「え、いや、遠慮しておこうかなーなんて……えっ、あっ! ちょ、ちょっと待って! そこは駄目っ! いや! いやああああああ!!」
 それからしばらく、ホテルのとある一室からは、女性の喘ぎ声だけが響いていた。