First Previous |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
Next Last
リアクション
――だが、参加者たちの快進撃もここまでであった。
この次の戦う相手はエル。この相手に対し、参戦を名乗り上げたのは丈二と玄秀、ティアンの3名。
「さっき私の出番が全くなかったから、ここは出させてもらうわよ!」
鼻息を荒くするティアンが前に出る。相当鬱憤が溜まっていたらしい。
「さぁ行くわよ!」
意気揚々と挑みかかるティアンだった。が、そのやる気が全てが空回ってしまったようである。
まずティアンは一気に距離を詰めて、膝蹴りを放った。これをエルが受け止めるが、間髪入れずに頭を狙ったキックを放つ。こちらが本命の二段蹴りである。
だが、こちらもあっさりとエルは受け止める。それどころか足首を掴むと、背負い投げの様にして地面に叩きつける。身を捩り顔面から落ちる事は免れたが、衝撃に呻き声が漏れる。
「全く強引なんだからぁッ!」
ティアンは起き上がると、遠心力を利用し備え付けている盾ごと腕を裏拳の要領で接近するエルに叩きつけようとする。これに対しエルはバールのような物で受け止める。
(もうちょっと距離を作りたかったけど……やるしかない!)
ティアンは所持していた【雷のルーンカード】と【炎のルーンカード】を取り出そうとする。しかし、取り出したところで腕を捕まれ、捻り上げられ地面に押さえつけられてしまう。
「……その程度で私に勝てるとでも?」
ティアンは挑発する様にエルに笑みを見せる。【プロボーク】による挑発で隙を生み出そうとする。が、
「今この状態で貴女は勝っているとでも?」
と拳を振り下ろされる。後頭部に打撃を受け、呻き声が漏れる。
しかしこれで捕らえられていた腕が緩んだ。隙を突いて立ち上がるティアン。
「油断したわね! さぁ反撃……」
ティアンは気づいていなかった。拘束はエルが自ら解いた事に。
目に入ったのは既に立ち上がり、手榴弾を放っていたエルの姿。
「な、なんでこうなるのよぉぉぉぉぉぉぉ!?」
悲鳴のようなティアンの叫びは、手榴弾の爆風でかき消された。
巻き起こる煙は徐々に晴れ、残ったのは服がボロボロになったティアンの姿だった。
「ぬあああああ! し、視聴率が低下してしもたあああああ! こ、これ以上の低下は流石に不味いんで誰か頼みます!」
「ならば次は自分が出るであります!」
この悪い流れを変えようと次に挑んだのは丈二であった。
「これでも食らうであります!」
丈二は所持していた銃を構えるなり、エルに銃口を向ける。
だが引き金が絞られる瞬間、銃身にエルが投げたバールのような物が辺り、衝撃で手放してしまう。
「ちぃッ!」
落とした銃を拾いなおそうとする丈二。しかしその隙にエルは距離を詰めており、もう一つのバールのような物を振り下ろそうとする。
「甘いであります!」
丈二は銃を拾う事を止め、もう一つ所持していた拳銃をエルに向け引き金を引いた。放たれた弾丸を、エルは咄嗟にバールのような物で防ぐ。
だが丈二は引き金を引くのを止めない。引き金を引く度、応える様に弾丸が放たれる。その弾丸を一本のバールのような物でエルは防いでいたが、最後の一発で手から離れてしまう。
「ついでにこいつも食らうであります!」
弾丸を撃ち尽くした拳銃を、丈二はエルに向かって投げつける。頭に真っ直ぐ投げつけられたその鉄の塊を、防ぐものが無いエルは己の腕で庇おうとするが僅かに間に合わず額にぶつかる。
痛みのせいか、僅かに顔を顰めるエル。ぶつかった銃は、音を立てて床へと落ちる。
「貰ったでありますよ!」
その間に丈二はエルに接近していた。手にバールのような物を持って。
最初にエルが投げつけた物だ。これを丈二は拾い、己の武器としてエルに振り下ろそうとしている。
「あげません。それは私の物です」
だが、エルは丈二の腕を掴むなり、捻る様にして投げる。ふわりと丈二の身体が浮き上がったかと思うと、背中から床へと落下する。
一瞬痛みに丈二は顔を顰めるが、すぐに立ち上がり身構える。
互いに身構え、睨み合うような形で膠着する。
――直後、列車内の明かりが突然切れると同時に奇妙な音楽が流れ始める。
一体何事だ、と列車内が戸惑う中、闇の中を動く者が居た。
すぐにスタッフが明かりを点け、列車内が照らされるとエルに向かって行く2人が居た。
カーキ色のツナギに禿げヅラと羊マスク、ルーズなタンクトップとデニムを纏い髪を後ろに纏った髭モジャという何とも奇妙な格好をした2人――清正と氏郷であった。
実は2人はこの様にして護衛者を狙う機会を虎視眈々と狙っていたのだが、残念ながらザ=コも根暗モーフもあっさりとやられてしまったのである。
明かりは点いてしまったが、エルはティアンと戦った直後。隙を突き、2人はビックブートで顔面を蹴り抜こうとする。
だが、エルは身を屈めると清正と氏郷の喉元を掴み、足ごと抱えるように持ち上げてチョークスラムで叩きつける。
思わぬ反撃に蠢く清正と氏郷。そのまま立ち上がると2人でエルの首を掴みネックハンギングツリーで持ち上げようとするが、逆に捕まれ互いの頭を叩きつけられてしまう。
打撃にふらつく中、エルは清正と氏郷の喉元を掴むと持ち上げ締め上げる。
苦しそうに手足を動かしていたが、やがて清正と氏郷は手足をだらりと下げて動かなくなるのであった。
先程とは違いやられる展開、それも一方的な物が二度も起きたとなり視聴者としては不満が出た様だ。丈二は善戦はしたものの決着はつかなかったため、上昇にはつながらなかったようである。
一気に視聴率は20%低下。これに対して頭を抱え発狂したように壁に頭をガンガンと叩きつける阿部Pはティアンと清正、氏郷から100Pマイナスする。
更に3名は復活の為にポイントが必要となってくるが、ここで重大な事態が発生。
「……あ、清正さんと氏郷さんは足りませんね」
視聴率低下によりマイナスポイントとなってしまった清正、氏郷は復活する為のポイントが足りない。1どころか全く足りない。
この為今回初のリタイアとなったのであった。
※現在視聴率60%
ティアン・メイ 200P→50P(死亡一回目)
リタイア
加藤清正
蒲生氏郷
「はぁ……面倒くさいなぁ……」
負傷はしていないが決着がつかなかった丈二が退き、残った玄秀が周囲に気付かれないよう溜息を吐いた。
「まあ、やるからにはちゃっちゃと終わらせますか」
そう言うと玄秀はザ=コの時と同様に、笑みを浮かべながら【羅刹眼】で睨み付ける。
「……ちっ!」
が、すぐに小さく舌打ちし後ろに飛び退く。エルが投げた手榴弾が一瞬遅れて玄秀が居た場所で爆発する。
しかし避ける事も想定していたのか、エルがバールのような物を手にし接近する姿が玄秀の視界に入る。
「容赦しませんね……なら僕もそうさせてもらいますよ!」
玄秀が即座に【天のいかづち】を放つ。動きを止め、身構えるエルに電撃が放たれた。
「くっ……」
電撃の衝撃に、小さく呻き声がエルの口から漏れる。
「駄目ですよ、隙を見せちゃ」
一気に肉薄していた玄秀が、エルを掴んだ。その手は勿論【爆炎掌】を装備済み。
その場で発生した小規模な爆発がエルを包んだ。
煙が晴れ、所々コートに焦げ跡を残し立つエルが姿を現す。
「あれ、あの爆発で立っているとかしぶといですね。まぁいいでしょう……いい夢を見させてあげますよ」
笑みを浮かべた玄秀がエルを掴んだまま【グリムイメージ】を仕掛けようとする。
「……夢を見るのはそちらですよ」
エルの拳が玄秀に向かって放たれる。玄秀は咄嗟に腕でガードするが、衝撃で掴んでいた手を放す。
更にエルが追い打ちをかけようとするが、その足を止める。
「あれ、かかってこないんですか?」
動きを止めたエルに、玄秀が問う。
「かかっていったらアレがくるんでしょう?」
エルが玄秀に視線を外さず、親指で横を指す。そこには【淫獣】が待機していた。
「御見通しでしたか」
笑みを浮かべて玄秀が立ち上がる。
「それでどうします? このままどちらかが痺れを切らすまで睨み合いますか?」
「いえ、先程の爆発が結構効いたようでしてね。この後もあるので申し訳ありませんが退かせてもらいますよ」
「そう言われて素直に退かせるとでも?」
「ええ、それどころじゃなくなると思いますし」
そう言うと、エルのコートの裾から何かが落ちる。一つではなく、幾つも。
それは、何処に隠していたと言いたくなるほどの手榴弾を始めとした山の様な爆薬だった。
「では、次でお待ちしていますよ」
そう言うとエルは窓をぶち破り、外へと飛び出す。
――直後、残された爆薬が炸裂した。
衝撃で列車が大きく揺れる。そして更に大きな衝撃が列車全体を襲った。一体何事か、と列車内がざわめき出す。
「あ、すいません次までちょっと時間押してたんでスピード上げたら脱線しちゃいました」
阿部Pがてへぺろ☆と舌を出した直後、列車が横転する。壁が床となり、中にいた者達が叩きつけられた。
暫く地面を滑る様にして列車は進んでいたが、やがて動きを止め、中にいた者達が慌てて外へ出る。
「ふぅ……何とか少しだけど視聴率は上がりましたか……さて、これから標的も交えてバトルになりますけど……皆さんこれ以上ホント下げないでくださいねお願いしますよ!?」
外に出ると、大きく『標的』と書かれた看板を前にして阿部Pが立っていた。何時の間に出たんだお前は。
※現在視聴率65%
高月玄秀 400P→550P
First Previous |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
Next Last