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真冬の空と落ちたドラゴン

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真冬の空と落ちたドラゴン

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終章

 戦闘終了から一日。食料のために狩った獣たちは手際よくさばかれ、ドラゴン親子だけでなく契約者全員の腹を満たした。それから宴も開きつつ、時折現れる魔物を撃退しながら、ドラゴンの看病に当たっていた。
朝日が昇り、あたりが明るくなった頃、そっと、ドラゴンのまぶたが開いた。
「ぴぃ」
 それを見て、子供ドラゴンが甘えた声を上げた。
 子の姿が目に入ると、親ドラゴンは低く呻いた。
「きゅー。きゅー」
 子ドラゴンはぱっと飛び起きて、親ドラゴンの顔にすり寄った。
 ぐるぐる言いながら精一杯顔を擦り付けている。思い切り甘えているようだ。そんな子を、親はそっと手で撫でた。
「行くの?」
 そんなドラゴン親子に、突撃隊長リリアが語り掛けた。
「無茶してはいけませんわ。あらゆる手は尽くしたとはいえ、完治には程遠いはずですわよ」
 同じく、エリシアも語り掛ける。
 周りには契約者が集まり、口々に語り掛ける。
 まだ行くな。外は危険だ。治ってからの方がいいぞ。次は助けに行けないかもしれないぞ。
 人外の存在を助けに来た契約者たちは、ただただ親子を思いやる。
 すべての人間たちの目に敵意や悪意が宿っていないことが分かったのか、親ドラゴンの表情は穏やかだ。
「…………」
 ぐるりと全員を見渡し、そして自分の身体を見る。怪我の治療で包帯やら何やらがぐるぐるに巻かれている。そして子供を見る。大して怪我もなく、いつも通りの元気な姿。
「…………」
 そして、親ドラゴンはゆっくりと翼を開く。
 飛ぶつもりのようだ。子供もそれを察して、ぴょんと背に乗った。
 親ドラゴンが鼻先で、前に立つ契約者たちをそっと押した。離れろ、と言っているようだ。
 一部の契約者が龍の咆哮を使って制止したが、通じないのか聞き入れるつもりはないのか、姿勢は変わらなかった。
 しかたなく、人間たちはその場から大きく離れた。
「きゅー……」
 ふと、背中から子供ドラゴンが顔を覗かせた。心なしか、名残惜しそうに見える表情と声を上げた。
 いよいよ羽ばたく。たった一日の治療でそこまで回復しているのか。一同が不安に見守る中、大きな翼が力強く羽ばたいた。
 風が巻き起こる。どうやら今のところ問題はないようで、何度も何度も羽ばたく。
 ぐん、とドラゴンの足に力が入る。
 飛び立つその瞬間、彼らは確かに聞いた。
『ありがとう』
 それは、澄んだ女性の声だった。
 その声に驚いているその隙に、ドラゴンは飛翔。巨体が浮く衝撃で、砂嵐が巻き起こる。調理場が飛び、たき火の火も消えた。そして青い寒空に向かって高く高く羽ばたいていった。
ふと気が付けば、ドラゴンの姿は小指の先ほどに小さく、そしてどんどん遠ざかっていった。

 その後しばらくの間、パラミタ各地で不思議な噂が囁かれるようになった。
 魔物に襲われて危機に陥った冒険者たちが、謎のドラゴン親子によって救われたとか。山岳地帯で遭難した少女をドラゴンが人里まで導いたとか。人助けドラゴンとかいう話が出るようになった。
 教導団や各地のドラゴン研究家たちがこぞって調査しており、真相は究明中である。

 この噂は、冬の終わりに雪山で凍えていた冒険者をドラゴンが温めていたという噂を最後にぱったりと聞かなくなる。

担当マスターより

▼担当マスター

佐久間豊

▼マスターコメント

明けましておめでとうございます。大寒波襲来中の昨今、いかがお過ごしでしょうか。佐久間豊としましては文章力不足に嘆く日々でございます。ドラゴンものという無謀な挑戦にお付き合いいただき、感謝感謝でございます。今回参加していただいたプレイヤーすべてが同一の目的を持っていらっしゃり、団結力の強さを思い知りました。皆さんの持つドラゴンのイメージに近いものができていればなぁと思います。これに懲りず、また新たにシナリオを作成していくつもりですので、またお会いできることを楽しみにしております。

▼マスター個別コメント