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平行世界の人々と過ごす一日

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平行世界の人々と過ごす一日
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リアクション

 昼、空京。

「何か騒がしいな。事件か何かあったのか」
 匿名 某(とくな・なにがし)は平行世界の住人の乱入で騒がしい通りをのんびりと歩いていた。まさかこの後、自分も巻き込まれる事になるとも知らずに。

「……ここは空京だけど。私がいたのは……どうしてこんな所に」
 身長は150cm程の後ろ髪がセミロングの可愛く女の子の柔らかさのある容貌をした女の子がおろおろと周囲を見回していた。ちなみに胸のサイズはBカップくらいだったり。
「……誰か知っている人がいれば……」
 狼狽しながら通りをうろつく女の子はふと前方に見覚えのある姿を発見。
 途端、
「あれはお姉様、良かった。お姉様がいればきっと大丈夫!」
 一筋の希望を得たかのように表情は明るくなった。
「お姉様!」
 前方の人物に呼びかけながら女の子は駆けた。

「……平行世界の住人がこっちに来ているか。とんでもない事が起きているんだな」
 某は歩いている内におかしな状況の理由を知った。
 その時、
「お姉様!」
 女の子の呼ぶ声。
「お姉様、だと?」
 某は思わず怪訝な顔で声が聞こえた方向に振り返った。
 そして、
「……お姉様、じゃない?」
「……その見覚えのある顔は海か?」
 顔を見合わせた女の子と某は驚き疑問が重なった。
「……平行世界の海だな。俺は匿名某だ。今この世界では……」
 某はすぐに状況把握をし、相手が求めるだろう情報を先に与えた。
「それで私はここに来たのね。自己紹介がまだだったわね。私は高円寺海」
 平行世界の高円寺 海(こうえんじ・かい)はようやくこの状況の答えを得て納得した。
「そうか。良かったら帰れる明日の朝まで付き合おう。一人じゃ心細いだろうから。何より知った顔で放っておけないし」
 某は平行世界の友人という事で面倒を見る事に決めた。
「ありがとう、お姉……じゃなくて某さん」
 平行世界海は少しほっとしたように某の申し出を受け入れた。
 そして、二人は仲良く買い物をしたり店々を見て回る事にした。

 買い物の途中、
「……心配するな(というか妙な感じだよな。しかもこれってデートだよな)」
 某は不意にぎゅっと腕に身体をくっつけてくる平行世界海に優しく声をかけた。見知らぬ世界にいる不安からくる行動だと見抜いたから。
「大丈夫よ、不安なんか感じていないから。今は平行世界のお姉様と一緒だし」
 平行世界海は素直に不安を口にはせず、可愛らしい笑みを浮かべる。どうやら少々ぶっきらぼうで負けず嫌いらしい。
「……そうか(結構可愛いな。まぁ、後輩という意味で。しかし女の海に会うとは……俺と姉妹関係というオプション付きで)」
 某は平行世界海の笑顔に素直に可愛いと思ったり。激しい弁解付で。なんせ某には恋人がいるので。
「そのお姉様だが、そっちの世界はどうなっているんだ? 男の俺と海が女という事は……」
 某は平行世界について改めて訊ねた。
「そうよ。こちらの世界とは性別が逆転しているけど。丁度、お姉様の写真を持っているから見てみる? とても素敵なんだから」
 平行世界海はポケットから写真を取り出して某に見せようとするが
「……いや、遠慮しておく。世の中には知らない方がいい事もある」
 某は顔を背け断った。
「そう、つまらない。折角見せてあげようと思ったのに」
 平行世界海は写真に写る先輩の某を見つめた後、片付けた。ちなみに姉妹関係とは言え血縁ではなく先輩後輩の強い絆を示すものらしい。
「悪いな。ところで恋人はいたりするのか? それだけ可愛いといるだろ」
 某が次に投げかけたのはありふれた質問。
「あのね、褒めても何も出ないんだから……いるけど」
 平行世界海は何やかんやと言うも恋人について名前と特徴を喋った。
 途端、
「おいおい」
 某は思わず声を出した。なぜなら平行世界海の恋人がもろに知り合いだったので。
「ん? もしかしてこっちの世界の私も……」
 某の反応から平行世界海は理由を察した。
「あぁ、そうだ。同じ相手だ。当然性別は逆転しているがな。しかし、世界が変わってもお相手は変わらないみたいだな」
 某は驚くも妙に納得していた。
「へぇ、びっくり。でも当然ね」
 平行世界海は驚きつつも嬉しそう。よほど恋人を大切に思っているらしい。
「そうだな。世界が変わろうと大切な人は変わらない。なんかいいな、そういう世界の壁とかに囚われない、真の運命みたいなのを感じられるの」
 某は聞く方が恥ずかしくなるような事を口走り
「何、恥ずかしい事を言っているのよ」
 平行世界海に笑われた。
「笑うな、この野郎め!」
 某はお仕置きだとばかりに平行世界海の両頬引っ張った。
「野郎って男じゃないわよ」
 引っ張られながら平行世界海は口で反撃していた。
 この後もあちこち見て回り最後は空京のホテルに落ち着いた。

 空京のホテル、フロント。

「部屋は別でいいよな? それとも一緒がいいか?」
 某は口元を歪めて平行世界海に意地悪な事を言い出す。
「何言ってるのよ。別に決まってるでしょ」
 平行世界海は顔を赤くする。
「ちょっとした冗談だよ」
 某はカラカラと笑って平行世界海の部屋のキーを渡した。
「……もう」
 キーを奪い取るなり平行世界海は口を尖らせ、顔を背けた。いちいち仕草が可愛い。
 二人はそれぞれの部屋で休み翌朝、平行世界海は無事にお姉様と恋人が待つ世界に帰還した。